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「公益性否定」の流れ一気 朝鮮総連施設への税減免「見直し拡大」 (2/2ページ)
「公益性」
公益性をめぐって法廷で争われたのは、「熊本朝鮮会館」(熊本市)。会館は4階建てで、延べ約440平方メートル。朝鮮総連県本部の幹部が役員を務める有限会社が所有している。
熊本市は、建物のうち県本部事務室など計約390平方メートルと土地の一部を「公民館に類する施設」とみなし、平成15年度に固定資産税と都市計画税のうち約87%に相当する約30万円を減免した。
これに対し、北朝鮮による拉致問題の支援組織「救う会熊本」の加納良寛会長は「公益性が認められない」と違法性を主張。熊本市を相手取って減免を取り消すよう求める訴訟を起こした。
一審の熊本地裁は原告の主張を退けたが、福岡高裁は18年2月、「朝鮮総連は北朝鮮と一体で、北の国益や在日朝鮮人の私的利益の擁護のために活動している」と指摘して公益性を否定し、逆転判決を言い渡した。
転換点
一連の裁判を担当した森本耕司弁護士は「自治体はこれまで、漠然とした博愛主義で話を詰めずに減免してきたのだろう。今後はこの(最高裁の)判断が地方公共団体の基準となる」と総連施設の「公益性」の転換点を強調する。
今後は日本人を対象にした語学講座などを開くことで朝鮮総連側が公益性を主張することも想定されるが、森本弁護士は「熊本など地方の総連では、弱体化がかなり進んでいて、そのような活動ができるかどうかは疑問だ。1カ月間、人の出入りを調べたこともあるが、一日中誰も訪れる人がいない日もかなりあった」と現状を指摘する。
総連施設への課税をめぐっては、東京都が中央本部の土地・建物に課税したのは違法として総連側が都に処分を取り消すよう求めて訴訟を起こした。東京地裁は7月、「不特定多数の利益のために使われていない」として総連側の訴えを退け、総連側が控訴した。
自治体で総連施設の課税を担当するある職員は「実際に地域住民が総連施設で集会を開いたりしている場合もあり、一概に『減免は違法』とするのは難しいが、今後は厳密に実態調査して課税を適正化する動きが加速するだろう」と話す。