諏訪赤十字病院(諏訪市)は、脳卒中の治療を受けた患者がその後、別の病院でリハビリをする際に、患者の治療情報を共有するための「脳卒中地域連携パス」を今春から導入する。同院がパスを発行する相手先の病院には山梨県内の病院も含まれ、県医療政策課によると、県境を越えたパス導入はほかに「聞いたことがない」という。
脳梗塞(こうそく)などの脳卒中について、諏訪赤十字病院は発症間もない急性期患者の治療が専門。言語障害や手足のまひなどの後遺症の治療には、多くの場合、専門のリハビリ病棟での長期の入院が必要だが、同院には専門の病棟がない。このため、同院で治療を受けた患者のほとんどは、専門病棟を持つ塩尻市の桔梗ケ原病院や山梨県笛吹市の山梨リハビリテーション病院などに転院する。
これまでは、転院先の病院には紹介状を出すだけだったが、医師同士がより詳しい患者情報を共有し、系統的な治療、リハビリにつなげようとパスの導入を決めた。
パスは、患者用と病院用があり、ともにA4判の用紙1枚。患者用、病院用ともに記載する内容はほぼ同じで、諏訪赤十字病院での急性期治療、転院先でのリハビリ、退院後のかかりつけ医や介護施設への通院、入所の3つの期間について、それぞれの担当医師が治療内容や後遺症、リハビリ内容などを記入する。患者は治療からリハビリ後までの経過を把握することができるようになる。
諏訪赤十字病院脳卒中治療チームの滝沢壮臣(たけおみ)第二脳神経外科部長は「医師同士の連携が強まるほか、患者さんの安心にもつながる」と話している。
県内では松本市の相沢病院が近隣の病院や開業医との間で既に脳卒中の地域連携パスを試験導入し、この1月から本格運用する。