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2007/02/13フォースフィードバックを語る今週も2つの記事が一度に掲載されてましたので、分割して紹介しましょう。まずは、皆さん注目の「フォースフィードバック」の対応について。
リードデザイナーの Dan Greenawalt が詳細に語っています。
なぜレーシングシミュレーションにおいて、フォースフィードバックがそれほどまでに重要なのか?シミュレーションでも現実のドライビングでも、車のもつ性能を最大限引き出すためには、人間のもつ五感のすべてを駆使して車の状態を把握する必要があります。 現実世界では、膨大な情報から様々なコンディションを把握できます。たとえば、タイヤや風の音、ブレーキペダルの踏力、ステアリングから伝わるエンジンの振動など。もちろん、現実の世界では加速・減速、コーナーリングによるG(加速度)も感じることができます。そういった感覚を総動員して、車のコントロールに専念しなければいけません。そう、現実世界でも500馬力で車重わずか1トンのような車をコントロールするのは至難の業です。完全なシミュレーションの世界でもそれは同様。そのためには車の状態を知るための十分な情報がなければ、さらにそれは困難な物となるのです。 フォースフィードバックとは?
先月は Turn 10 ではマイクロソフトが発売する Wireless Racing Wheel に対応させるべく最終的なファインチューニングを行っていました。そこで知ることができたいくつかのポイントを紹介しましょう。 まず、何はともあれゲームのデザインの視点において、ハンドル&ペダルのコントローラーと通常のコントローラーは全くの別物です。コントローラーもアナログのトリガーやスティックはあるけれど、ユーザーの多くはデジタル的に操作してしいます。例えば、ハンドルを左右いっぱいに切る、アクセルやブレーキを、ベタ踏みする、しない。こんな操作を本物の車でやったらどんなことになるかは想像がつきますよね。 この操作をゲームの中でソフトな動きにするべく、どんなレースゲームでも、プレイヤーが「自然だ」と感じるようにする「調整」を行っています。これが、ハンドル&ペダルのコントローラーでは、まずこの「調整」を完全に取り去ります。これによって、ダイレクトにユーザーの操作が挙動に反映されるようになります。そこに、ハンドルを持つ手に伝わる振動とフォースフィードバックを加えることで、レースゲームとして理想的なインターフェースになるのです。 触覚的インターフェース ゲームではプレイヤーに横方向のGをそのままの状態で伝えることはできません。したがって、それを画面上での微妙な表現や、3次元のオーディオ処理、そしていくつかの触覚によるフィードバックで代用します。このうち触覚で感じる情報は主に低周波効果と、振動、フォースフィードバックによって伝えます。この記事で伝えたいもともとの主旨は、フォースフィードバックをどう活用しているかですが、その前に、低周波効果と振動についてもお話したいと思います。どちらもレースゲームにおいて非常に重要です。 低周波効果(Low Frequency Effects:LFE)例えばサブウーハーによる重低音も車の情報を知るための情報です。パワフルなサブウーハーなら部屋も振動するくらいで、ゲーム「体験」をレベルアップさせることができます。特にLFEは、"Butt Kicker"(※尻を蹴るという意味:椅子に仕込んで振動を体感させるシステム)のようなシステムを組み合わせると劇的な効果を生みます。ButtKicker は基本的にはサブウーハーを椅子に直接組み付けて椅子を振動させることによって、本当にLFEを感じとることができます。実際、Turn 10 のテストラボにあるシートにもButt Kickerが組み込まれていて、チェックに使用しています。もし、Forza 1 とButt Kickerを組み合わせて使うチャンスがあったら、そのシステムでコースの縁石を生んでみたり、160km/hで壁に激突したときの衝撃を感じてみて欲しい。ただ、残念ながら、Butt Kickerを使ってもフィードバックとしての効果は付加的で微妙な効果です。
コントローラーの振動もレーシングシミュレーターにとって、非常に重要です。車の挙動はサウンドによってもプレイヤーに伝えられているものの、実際にテストをしてみると、コントローラの振動のほうが微妙な動きをはっきりと把握できることがわかりました。弱い振動から強い振動、ゆっくりとした揺さぶるような振動から”ブー”という速い振動まで、プレイヤーは数百の段階の情報を認識することができるのです。Forza 2 では、微妙なエンジンの回転による振動、シフトチェンジ、タイヤのグリップ状態、もちろんクラッシュなどの情報も含めて、すべてを加味して、プレイヤーに振動として伝えます。特にタイヤが限界を超えた時も、振動の変化で知ることができるのは凄いでしょう?この触覚による情報は、ハンドルコントローラーが使えない時に、ゲーム中で車の限界を引き出すときには絶対に必要な情報といっても良いでしょう。
勝利のためのフォースフィードバック さて、それでは話をフォースフィードバック(FFB)に戻しましょう。FFB は、マイクロソフトの Wireless Racing Wheel を(電源に接続した状態で)使用すると機能します。他のPCやコンソール用の多くのホイールと同様です。ホイールにもよりますが、FFB は1つ以上のモーターがリアルタイムに強弱をつけて左右方向に回転することで生み出されます。また、プレイヤーの操作と逆方向に力をかけることでダンパーのような効果も生みます。これは従来のゴムバンドやスプリングでセンターに戻すだけのホイールとは全く違うシステムになっているのです。 Forza 2 でも触覚的な情報を伝える手段として FFB は非常に効果的に機能します。車の挙動を計算しているなかで、いくつかの重要な情報を FFB で伝えることができるのです。まず、アスファルト、縁石、芝生など路面の変化によるハンドルのトルク(重さ)の変化が挙げられます。FF(前輪駆動)の車のトルクステアも FFB で再現しています。とはいえ、FFB が最も効果的に情報を伝えてくれるのが、車のフロントタイヤの「アライニングトルク」の物理的なシミュレーションです。
車の挙動における用語では「アライニングトルク」は車のタイヤの取り付けの上下軸に対する回転する力で、分かりやすいようにショッピングカートの車輪で例で言えば、ショッピングカートを前に押し出した時に、その車輪がまっすぐ進むようにクルリと回ろうとする力のことです。もうちょっと詳しく言うと、カートを前に押し出すと、前輪とカート本体の取り付け部分を軸として、車輪が路面と接地している部分(接地面)が軸の後ろにくるように回転しようとします。軸を回るように接地面によってレバーのようにトルク(力)が生み出されるのです。 他のレバー同様、トルクの調節には2つ方法があります。1つは、レバーにかける力を調整すること。車のタイヤで言えば、接地面の摩擦抵抗の変化-例えば、タイヤ温度、空気圧、過重などです。もう1つは、レバーの長さを変えること。車のタイヤにおいては、キャスター角とタイヤ半径です。アライニングトルクは車のタイヤで言えば、接地面のスプリング効果についても影響を受けるのですが、これを説明するとさらに別の解説が必要になるのでここでは割愛します。
なぜアライニングトルクが必要なのか?
Forza 2 でアライニングトルクがなぜ重要なのか?それは、現実の車を運転するときに、皆さんの手がステアリングホイールか感じ取る力がアライニングトルクだからなのです。アライニングトルクは、ステアリングホイールを車の進行方向に沿うように回転させます。たとえば直進するときはセンターへ。オーバーステアやドリフト状態のときは、それを自動的に修正するような方向へアライニングトルクが働きます。アライニングトルクによって、アンダーステアの時のピークのタイヤグリップも探ることができます。基本的にはアライニングトルクによって、ドライバーがフロントタイヤの状態を知ることができるのです。 オーバーステアは通常リアタイヤの限界グリップを超えて、車の旋回角度が進行方向を上回った状態です。ドリフトもこの状態です。この状態を回復させる単純な方法は、進行方向にハンドルを切ることです。このテクニックが「カウンターステアリング」なのですが、この状態のとき、アライニングトルクが、進行方向に沿うようにステアリングホイールを回そうとします。これは、スライド状態から回復するカウンターステアを補助してくれる動きをするのです。 一方で、アンダーステアは通常、前輪が限界グリップを超えた時に発生します。この状態を回復するには、少しハンドルを戻してグリップを回復するまで待つしかありません。これは、ちょっと感覚的に違和感があるでしょう。この状況で、ドライバーは負の連鎖に陥ります。タイヤが限界グリップを超えていて、でも、もっと曲げたくてハンドルをさらに切る、あるいはブレーキを踏む。しかし、この操作によって、タイヤの車の進行方向を変えようとする力がますます減っていってしまいます。そして、最終的には曲がり切れずにコースアウトしてしまうのです。
このアンダーステアの状況では、アライニングトルクが突然軽くなり、現在アンダーステアの状態でハンドルを少し戻してグリップを回復しなければいけない、ということをドライバーに伝えてくれるのです。車の限界を引き出すのに非常に重要で、そのためにタイヤが限界すれすれのところで、グリップする・しないを探る必要があるのです。このトルクを感じとって、それに対応することで、タイヤのグリップをぎりぎりまで使えることができるようになります。コーナーを通じてギリギリのところでグリップを使い切ることで、速いコーナーリングが可能です。アンダーステアにおけるアライニングトルクの変化を FFB で再現しているゲームは非常に少ないです。現実の市販車を見ても、シビックからランサー、Enzo Ferrari や Porsche 911 まで、どんな車でもアンダーステアは発生します。これは、FFB において今まで見過ごされていた重要なポイントなのです。
アライニングトルクが FFB によって正確に再現されることで、アンダーステアもオーバーステアも、より素早くかつ正確に回復させることができます。ハンドルを切りすぎてラップタイムが大幅に落ち込むこともなくなります。ハンドルを使うことで、あなたの手に直接触覚的なフィードバックを与えてくれることで極めて直観的な操作ができるようになり、さらにゲームに熱中できるようなるはずです。Forza 2 で再現される挙動を、フィードバックとしてドライバーに伝え、それに合わせてハンドルを切るという双方向の会話が成り立つことよって、ドライビングはより易しくなります。多くのゲームではアライニングトルクはオーバーステアの時のみ再現されていて、アンダーステアを再現していたのは極く一部だったのです。
ハードウェアとソフトウェア
これまで、FFB のソフトウェアについての話をしてきました。私の経験では、FFB ホイールは全体のゲームの体験のあくまで一部です。レースゲームをホイールでプレイしているときに感じられる部分の多くは、ゲームのデザインとソフトウェアによって決定すると考えています。FFB がきちんとプログラムされていないと、どんなにいいホイールをつかっても、良く出来たゴムバンド式のハンドルコントローラのほうが操作しやすいことさえあります。振動機能のある通常のゲームコントローラーのほうが操作しやすいこともあるでしょう。FFB が正しくシミュレートされていないと、最高級の FFB ホイールに用意されている機能が、逆に車の情報をきちんと引き出せなくなってしまうということもあります。 例えば、アンダーステア時のアライニングトルクが FFB でシミュレーションされていなくて、ホイールが900度の回転ができるとします。でも、そのうち800度の回転は不正確か間違ったフィードバックを返すことになります。どの角度でアンダーステアになるのかが触覚で分からないと、あっという間にコースアウトしてしまいます。ほとんどのハンドルの操舵角で不正確な FFB しか返ってこないという状況なのです。
レスポンス もう一つ、良いフォースフィードバックには条件があります。ハードウェアとゲームを連携されることも難しいですが、さらに難題なのが、いかに高速に挙動計算エンジンにそれを計算させられるかです。レーシングゲームでも FFB がぎくしゃくしたり動きがつかえたりすることがよくあります。これは、ゲームからハンドルに送る情報の更新速度が遅いか、あるいは挙動計算の頻度が低いからという理由が多いようです。
一部のレースゲームでは毎秒60回の画面と同じ頻度で挙動を計算しています。60回というのは速く感じるかもしれませんが、こんな場合はどうでしょう?時速200km/hで走っていたとしましょう。そうすると、わずか1/60秒の間に車は1m近く移動しています。ご想像の通り、1mの間でも起きるときはいろいろなことが起きます。
例えば車が路面のちょっとした小さな突起、あるいは大きなギャップを超えるとき。この変化を挙動計算で処理しようとすると、おかしなことになり、場合によっては車が空を飛んでしまうことになるかもしれません。これに対処するにはいくつかの方法があります。ひとつはその間の路面の状態を平均化すること。しかし、そうすると”もっさり”した路面を走っているような結果になってしまいます。計算の頻度を上げて、より正確に挙動を計算することが、そのような問題を解決する最適な方法です。
この平均化した計算方法は明らかに不適切なのに、一部のレーシングゲームファンにおいては、この不適切な状態をアンダーステアや過重移動のリアルな表現と勘違いしてしまっているケースもあるようですね。
振動+フォースフィードバック=ハマれる! FFB とともに価値があるのが振動です。振動機能と FFB 機能が両方備わっているハンドルが理想的ですが、残念ながら一部のFFBホイールしか振動用のモーターは装備していないようです。その結果、ゲーム側で後輪のスリップやエンジンの振動、衝突の衝撃などをFFB を使って再現しなくてはいけません。優先度が高いのは前輪のアライニングトルクなのに、振動によって情報が歪められてしまうのです。理想的にはFFBに1つか2つのモーターを使用し、それとは別で2つの振動用のモーターを使っていれば、後輪のスリップやエンジンの振動とは別に、アライニングトルクをクリアな状態で感じることができるのです。
フィードバックが多ければ、よりリアルに いくつかフォースフィードバックの問題点に触れてみました。最後に、どうしてフォースフィードバックがレーシングシミュレーションにおいて、そんなに重要なのでしょうか?現実のレースは本当に人間の五感をフル稼働させています。フォースフィードバック(あるいは振動だけでも)を切るのは感覚の1つを失うようなものです。アンダーステアやオーバーステアのアライニングトルクの再現はフォースフィードバックの大きな価値です。振動機能が備わっていればさらに、理想的です。でもどんなに良いコントローラーでも、ソフトウェアがまずければその本当の価値を引き出すことはできません。 この記事で1つでも2つでも何か学んでもらえたら嬉しいです。私たちも今、まさに Forza 2 に合わせてフォースフィードバックを最適なものに仕上げています。 コメント
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