現在位置:asahi.com>スポーツ>一般スポーツ>国内> 記事 メイショウサムソン 夢追う「売れ残り馬」 凱旋門目標2008年01月02日00時59分 07年、史上4頭目の天皇賞春秋連覇を果たしたメイショウサムソン(牡(おす)、5歳)。元は北海道の小さな牧場の売れ残りの馬だった。「評価されてないもんが勝つのがうれしい」と安い馬を買い集めている兵庫県明石市の松本好雄さん(69)に引き取られて急成長。1番人気で迎えた暮れのG1レース・有馬記念は8着に沈んだが、今年10月にフランスで開かれる世界最高峰レースの一つ、夢の凱旋門(がいせんもん)賞を目指して走り続ける。
「競馬は投資じゃない。夢だ」。そんな哲学を持つ松本さんは、高額の馬は購入しないと決めている。平均1000万円前後。メジャーな血統なら1億、2億は当たり前の世界では、安い。松本さんは明石で大型船舶部品メーカー「きしろ」(従業員約400人)を経営する。「取引先も社員も見てるのに、走るかどうかわからない馬に億の金は投資できないしね」 それでも所有する約200頭のうち、3頭がG1レースで活躍する。「信頼できる調教師や生産者と思いが重なれば、どんな馬も強くなる可能性があるんです」 サムソンを見いだしたのは、松本さんから馬の選定を任されていた調教師の一人、瀬戸口勉さん(71)。03年、北海道東部の家族経営の小さな牧場で生まれたサムソンは、父は欧州で活躍した名馬だったが、母が未勝利馬だったため引き取り手がないまま1歳を過ぎていた。だが瀬戸口さんは「がっしりして、目が澄んでいた」と、気に入った。価格は700万円弱だった。 名馬オグリキャップも育てた瀬戸口さんの調教哲学は、血統のいい馬であろうとなかろうと、「馬の個性や素質をとらえて鍛える」。頑丈で素直な性格のサムソンにはスパルタ教育をほどこした。坂路を毎日走らせ、心肺機能を鍛えるためプールで泳がせた。 だが結果が出ない。2歳4カ月で小倉競馬場でデビューして各地を転戦したが、4カ月で2勝4敗。それが、05年12月の中京2歳ステークスで2着を2馬身引き離して優勝してから負けん気が前面に出てきた。競り合いに強い。06年の皐月賞(4月)と日本ダービー(5月)を制した。 昨年2月に瀬戸口さんが定年で引退。松本さんからサムソンを引き継ぐよう依頼された高橋成忠調教師(67)は毎夕、サムソンの馬房の前に立ち「私もがんばるから、頼みますよ」と話しかけている。「するとね、『わかってますよ、走ったるがな』というような顔をするんですよ」 昨年の凱旋門賞は、馬インフルエンザにかかり断念したが、新たな乗り手に武豊騎手を迎えて秋の天皇賞を圧勝。史上4頭目の天皇賞春秋連覇を果たした。 「サムソンほどの馬に巡り合えることはめったにない」と松本さん。今年こそ、凱旋門賞出走をめざすつもりだ。 PR情報スポーツ
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