佐賀県警は２８日、唐津市発注の航空写真撮影業務の入札で不正をしたとして、競売入札妨害（偽計）の疑いで、市総務部長根岸保（６０）＝同市千々賀▽不動産会社「富士」役員生駒浩一（６７）＝同市鏡▽建設コンサルタント会社・ＧＩＳ九州（北九州市）社長山口和美（６１）＝福岡市南区＝の３容疑者を逮捕した。

　調べでは、３人は共謀し、唐津市が昨年７月に実施したデジタル航空写真撮影業務の指名競争入札で、ＧＩＳ九州に落札させようと計画。同年６月ごろ、ＧＩＳ九州の競合業者を指名から外そうと３人で打ち合わせ、さらに根岸容疑者が山口容疑者に予定価格と指名業者名を漏えいし、公正な入札を妨害した疑い。根岸、生駒両容疑者は容疑を否認、山口容疑者は認めているという。

　指名業者はＧＩＳ九州を含め５社で、入札参加は４社。山口容疑者は自社が落札できるよう競合業者に談合を働きかけたが断られた。結局、ＧＩＳ九州は３０９３万円の予定価格に対し、９７０万円で落札した。

　県警によると、同業務は土地や家屋の固定資産税算定システムに使う航空写真の撮影と加工。予定価格を大幅に下回る低額で落札したＧＩＳ九州は、契約通りにデジタル撮影せず、安価なフィルム撮影で済ませていたという。

　県警は１３日、受注した山口容疑者が、契約通りに業務を行う意思がないのに同市から９７０万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕（処分保留）した。２８日には、競売入札妨害容疑で市役所など十数カ所を家宅捜索した。

　根岸容疑者の逮捕を受け、坂井俊之市長は「まじめな部長だっただけに衝撃を受けている。事実関係を調べ、厳正に対処したい」と話した。

＝2007/12/29付 西日本新聞朝刊＝