2008/01/01 Today's NEWS
「がん診療センター」設置へ準備着々
県立中央病院、4月稼働へ試行態勢
1月中にもがん診療センターを暫定的に運営する県立中央病院


 県立中央病院が2008年4月の本格稼働を目指す「がん診療センター」の設置に向けた準備作業が進んでいる。同院のセンター化は建物を新設するのではなく、既存の病棟を再編し、総合病院の中にセンター機能を設けるという全国的にも珍しい方法。1月下旬には病棟再編の工事が終了、仮試行できる態勢が整うもようだ。地域の総合病院は限られた人員で、がん以外の疾患にも広く対応しなければならない。県病の方法は、限られた資源を最大限活用する現実的な選択として全国的にも注目を集めそうだ。

 県病のセンター化構想は「がん」「循環器」「脳神経」の三センターを設置、診療科の垣根を越えたチーム医療で、三大死因のがん、心疾患、脳卒中に対応するもの。
 特に県民の死因で最も多いがんには重点的に取り組み、放射線治療や化学療法を含めたチームによる医療を提供。がん相談窓口や緩和ケアの取り組み、同院で扱ったがん情報の蓄積・分析を行い、今後に役立てる「院内がん登録」の充実、他病院との連携体制の構築や情報発信など総合的にがん対策を充実させる。
 チーム医療実現のために着手したのが病棟再編。一般病床689床のうち、6―8階にがん診療を主体とする診療科(呼吸器内科、呼吸器外科、化学療法科など)を中心として270床を集約。同様に八階一部を循環器センター、九階一部を脳神経センターとし、病棟を組み直した。
 診断や治療方針は、センターとしてのガイドライン的なものを打ち出し、治療の検証なども全体として行うことで、底上げを図る。
 陣頭指揮を執るのは2007年4月に国立がんセンター東病院長から赴任した吉田茂昭院長だ。吉田院長は県病のセンター化の手法を「現実的な選択」と話す。がんセンターは新設すると財政負担はもちろん、専門スタッフの確保も厳しい。以前から、破(は)綻(たん)を招かない効率的な経営を行うためには、総合病院内のセンター設置が望ましいと考えていたという。
 総合病院はほかの疾患にも広く対応するため、がん以外の異常にも柔軟に対応できるのが強み。同院は今後、総合診療部門を設け、専門外の見落としもないような診療体系を構築していく方針。
 しかし病棟再編や職員の意識改革は容易ではない。関係者らは「吉田氏のリーダーシップが大きい」という。
 県立病院である県病はほかの自治体病院では対応困難な部分を集約、全県的に対応するのが使命―というのが吉田氏の考え。今回のセンター化で三大死因に対応するのを手始めに、周産期と救急医療の充実、また地域の医療資源をより効果的に活用するための連携についても検討を進める。


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