わが国では、少子・高齢化が急速に進み、労働者の家庭を取り巻く環境も変化してきています。
少子化問題の要因の一つとして、仕事と育児の両立の負担が大きいことが挙げられます。また、高齢化に伴い、働きながら家族の介護を行う労働者が増えています。
このような状況の中、働きながら子どもを産み育てやすく、介護問題にも対応できる雇用環境を整備していくことは、国の経済の活力を維持していくうえでも、少子化の流れを変えるうえでも、重要です。
国は仕事と子育ての両立支援として、平成3年に「育児休業等に関する法律」により育児休業制度を設け、平成7年には同法を改正し、介護休業制度を設けました(後に「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(略称「育児・介護休業法」)に改称)。以降、順次法改正を行い、平成9年には深夜業の制限制度の創設、平成13年には、時間外労働の制限制度の創設、勤務時間短縮などの措置の対象となる子どもの年齢の引き上げ、平成16年には育児休業の対象労働者の拡大、育児休業期間の延長など、両立支援制度を充実させてきました。また、平成15年に成立した「次世代育成支援対策推進法※」に基づき、企業が行動計画を策定・実施し、それぞれの企業における目標を立てて仕事と家庭の両立支援の取り組みを行うことを促進しています。
現在、育児休業の取得率は女性で72.3%(平成17年度女性雇用管理基本調査)まで上昇しています。しかし、仕事を続ける希望を持ちながら、妊娠、出産を機に退職する女性も依然として多いのが現状です。また、男性の育児休業の取得率は0.5%(同年同調査)と低く、勤務時間短縮などの措置の導入状況をみても、男女ともに育児や介護をしながら働き続けられるような職場環境が整っているとはいえない状況です。
国や地方公共団体が雇用環境の整備に取り組むだけでなく、自主的に企業が労働者のライフサイクルに応じ、家庭・個人生活の事情に柔軟に対応できる働き方を提示することが必要になってきました。
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