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2008年1月1日

 一八九三(明治二十六)年生まれの北國新聞はことし百十五歳を迎える。最近の最高齢者の年齢とほぼ同じである。奇跡的だが不可能ではない、長い命の連続を思う

創立者・赤羽萬次郎は、教師から民権思想に目覚めて記者になった一人である。二十歳の旅立ちだった。以来、自ら築いた新聞が号を重ね、年があらたまるたびに語った。「改良、成長、発達、繁栄。あらゆる進歩の蓄積を意味するものとして節目を祝う」

企業も社会も、そして人も、歳月を重ねて成熟していく。一年一年、進歩と繁栄の蓄積になっているかを自問し、改革を重ねていくなら老いることはない。「日々新たにまた日に新たならんことを期す」。これも大先輩が残した教訓の一つである

平成二十年。時代の節目である。今夏、本社隣に誕生する赤羽ホールに名を刻む創刊者の主張は常に具体的だった。未来に視線を定めながらも足元を見据え、北陸全体の発展には鉄道が必要なことや、小学校教育には女性教師登用が欠かせないなど、今も色あせない論を張った

難しくても、実現不可能ではない目標に向かって、われわれもまた新たな一歩を進めたい。


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