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  •  相続人たる資格・法定相続分について        


1、法定相続人と法定相続分(民法900条)

 

配偶者

直系尊属

(子がいない場合)

兄弟姉妹

(子・直系尊属がいない場合)

配偶者

全て相続

   12

12

  13

23

  14

34

  12


12

全て相続

(後は人数割)

直系尊属

(子がいない場合)

  23


13

全て相続

(後は人数割)

兄弟姉妹

(子・直系尊属がいない場合)

34


1
4

全て相続

(後は人数割)

 配偶者のみが相続人の場合  ⇒ 配偶者が全て相続
 配偶者と子が相続人の場合  ⇒ 配偶者2分の1、子2分の1
 配偶者と直系尊属が相続人の場合 ⇒ 配偶者3分の2、直系尊属3分の1
 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 ⇒ 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1



2、配偶者

(1)「配偶者」とは??

 相続資格を有する配偶者とは、有効な婚姻届が提出されている夫婦関係における被相続人の夫あるいは妻

(2)いわゆる「内縁の配偶者」は法定相続人にあたるか?

「内縁」=婚姻届が提出されていないが、双方に婚姻意思があり、社会的には正当な婚姻と評価される夫婦関係を営んでいる者
   ↓
 (原則)内縁の配偶者には法定相続権はありません!
 
 (例外)
 @ 他に正当な相続人が誰もいない場合

⇒ア)特別縁故者(民法958条の3)に該当する場合があり得ます
→ この場合、家庭裁判所の判断により、清算後残存する相続財産の全部または一部が与えられることになります
 イ)借家権の承継(借地借家法36条)はできます
 A 内縁関係の解消に基づく財産分与
⇒「死亡による内縁共同体の解消に基づく財産分与は可能」(大阪家庭裁判所平成1731日)であるとして、内縁の妻は、夫の相続人に対し、財産分与を請求できることを認めた判例もあります

    
 B 遺族給付の関係

⇒多くの場合、内縁の配偶者は法律上の配偶者と同等の保護を受ける扱いとなっています
例)
 労働災害における遺族補償

 厚生年金保険における遺族年金

3、子

(1)「子」とは??

 @ 実子

⇒生理的親子関係がある者
⇒ア)嫡出子
法律上の婚姻関係にある男女(夫婦)の間に生まれてきた子
 イ)非嫡出子
そうでない男女の間に生まれてきた子(※但し、父子関係について認知されていることが必要)
いずれも法定相続人となります
⇒但し、嫡出子と非嫡出子では、法定相続分については差異があります
「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」(民法9004号)

A 
養子
⇒養子縁組により、養親の嫡出子たる身分を取得した者(民法809条)
⇒他方、実親との親子関係も消える訳ではありませんので「子」に変わりなく、実親との関係においても法定相続人となります
(例外:特別養子 民法817条の2〜)

B 代襲相続人
⇒相続人である「子」が
ア)相続開始以前に死亡したとき
イ)相続欠格(後述)に該当して相続権を失ったとき
ウ)廃除(後述)によって相続権を失ったとき

に、その者の子(被相続人からみれば孫)が、その者に代わって相続する場合(民法8872項、3項)
※ 相続人である「子」が相続放棄をして相続権を失った場合には、その者の子は相続人とはならないので注意
⇒親と子が同一事故で死亡した場合
 同時死亡の推定(民法32条の2)がなされ、子が親の相続開始「以前」に死亡した場合に該当しますので、代襲相続が生じます
⇒代襲相続人になれる者は、被相続人の直系卑属(被相続人からみれば孫)に限られます
 例)養子の連れ子は代襲相続人にはなりません!(“直系”ではないから)
⇒「子」の代わりに代襲相続するはずの「孫」についても、同様の原因がある場合には、その次の世代の直系卑属(被相続人からみれば曾孫)が相続人となります(民法8873項:再代襲)

 

(2)胎児は法定相続人にあたるか?

 法定相続人である「子」には、相続開始時(被相続人の死亡時)に、まだ生まれていない胎児も含まれます(民法8861項)
 但し、胎児が母胎から生きて生まれてきた場合に、初めて相続人たる資格が与えられることに注意(民法8862項)



4、直系尊属


(1)「直系尊属」とは??

 被相続人の父母の他、それより上の世代の親(祖父母など)を含みます
 この内、親等の近い者が優先します(民法88911号但書)
  ⇒ 例)相続開始時に、被相続人の母が生存、父が死亡、亡父方の祖父母は生存という場合、相続権を有するのは母のみ


(2)実親と養親との関係

 法律上は、実親と養親を区別していませんので、養子(特別養子を除く)が被相続人である場合、その実父母及び養父母がいずれも相続人となります

 

5、兄弟姉妹


(1)「兄弟姉妹」とは??

@ 全血兄弟姉妹
⇒父母の双方を同じくする兄弟姉妹
A 半血兄弟姉妹
⇒父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹
 但し、「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする」(民法9004号)
B 代襲相続人
⇒「子」の場合と同様
 被相続人からみれば、甥や姪が相続人になるということ
⇒但し、兄弟姉妹については、再代襲はなく(民法8892項で同8873項を準用していない)、被相続人からみた甥や姪の子どもが相続人になることはありません!


6、特別縁故者(民法
958条の3

(1)「特別縁故者」とは??

 相続人が誰もいない場合(相続人不存在)、その相続財産は国庫に帰属するのが原則(民法959条)
 しかし、その前に、下記の特別縁故者への分与制度が認められています(民法958条の3
@ 被相続人と生計を同じくしていた者
A 被相続人の療養看護に努めた者
B その他被相続人と特別の縁故があった者
⇒例)内縁、事実上の養子、おじ・おば、先妻の子 等々


(2)手続は?

 家庭裁判所が行う相続人捜索の公告(民法958条)における公告期間満了後3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して、相続財産処分の申立を行う必要があります(民法958条の32項)
 申立を受けた家庭裁判所は、裁量的判断に基づく決定によって、相続財産を分与します

以上


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