現在位置:asahi.com>政治>地方政治> 記事

総額3500億円に 大阪府の「赤字隠し」

2007年12月31日03時01分

 04年度から借金返済を先送りして財政赤字を少なく見せかけていた大阪府は30日、事実上の「赤字隠し」が今年度分も含めると総額3500億円にのぼることを明らかにした。資金を確保するため、一部の府債は返済期限がきても、まったく返済していなかった。苦しい財政状況の中、府は来年度予算案の編成作業でもこうした資金操作を続ける方針で、来年1月に選出される新知事の判断が焦点になってきた。

グラフ

「赤字隠し」の仕組み

 府の説明では、10年満期一括返済の府債(市場公募債、縁故債)は、本来なら満期時に元金の42%を返済し、残り58%を借り換えることになっている。市場公募債はこの通り返済していたが、銀行から資金調達する縁故債については、04年度以降は満期が来ても全く返さず、全額を借り換えて返済を先送りしていた。

 04〜06年度の先送り額は、満期一括の縁故債2597億円に、定時返済方式から満期一括に切り替えた府債を合わせ、2930億円にのぼるという。今年度の先送り額570億円を加えると、総額3500億円の返済を先送りして、同額を借り換えていた。この手法で、借金返済のために積み立てている減債基金の目減りを防ぎ、その分を一般会計に繰り入れて赤字を圧縮していた。

 返済を先送りしなければ減債基金の残高は06年度に0円になっていた。このため、07年度は一般会計の赤字を減債基金で穴埋めすることができず、赤字額の実態が表面化するはずだった。府の試算では、07年度の赤字は1100億円に達し、財政再建団体に転落する水準(約720億円)を大きく超えていた。

 府は11年までの財政を見通した行財政改革プログラムを作成し、10年度に黒字化を達成する計画を立てているが、返済先送りによる「赤字隠し」が明らかになったことで、新知事や議会の動向次第で大幅な見直しを迫られる可能性もある。

 財政課の担当者は「大幅な職員のリストラや府民サービスを低下させれば、返済の先送りをやめられる。段階的に事業を見直すためには、しばらくの間、このやり方が必要だ」と話している。

PR情報

このページのトップに戻る