「偽まみれ民の怒りを一文字にさしも知らじな世直しの願いを」。最後まで世界激動の二〇〇七年。日本もまた政官の不信、生活の不安が重苦しい。行く年を百人一首もどきで詠めば 「分水嶺立ちて見渡す嶺々に平和の道の恋しとぞ思う」。テロ、核、温暖化、資源、サブプライムローンなど火種尽きず。「六者協議手さぐりしつつの足取りに北の思惑見えつ隠れつ」「温暖化防止に総意まとまれど各論に尻込むエゴのむなしさ」 日本は、政治とカネ、宙に浮いた年金などへ民意の嵐。「わびぬれど口約束と人はいう五千万の記録の処理の重さよ」。参院選で自民惨敗。安倍首相の突然辞任。「契りおりし美しき国は棚上げに辞任騒ぎの秋はいぬめり」 代わって福田政権。新テロ特措法は越年。「なげけとてねじれは固くほぐれずに衆をたのまんわが胸のうち」。「言ったとか言わぬとかいう大連合政治の闇間に消えておどろし」 能登半島、中越沖とM6級地震相次ぐ。「被災地に絶えぬ援助の温かさ人のきずなをかみしめて涙す」。ありがとう。「年の瀬のいまに千里の思いありふるさとのあすに夢多くして」。来る年よ良き年に。
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