ネットの暴力を助長する人々(2):産経新聞編
炎上というネットの暴力を助長して、それを商売にしようという試みがあったというのです。
前回で、その「炎ジョイ」なるもの、及びその経緯をとりあげました。
今回は、産経新聞やJ−CASTなどのメディアが、ネットの暴力助長に果たしている負の役割について論じたいと思います。
「炎ジョイ」それ自体もひどいものですが、そのようなものを直接・間接に擁護・宣伝している……あるいは、しているとしか思えないようなメディアの報道。
「炎ジョイ」開発・運営者側の自己正当化の屁理屈をそのまま無批判に報じています。
炎上などのネットの暴力が頻発し、さらにそうした悪質行為を行う連中がはびこっているのは何故か?
ひとつには、産経新聞のようなメディアも、こうしたネットの暴力を擁護し、常態化させる役割を果たしているのからではないか?
私はそのような疑念すら抱いてしまうのです。
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前回で、「炎ジョイ」なる荒らしや炎上などを煽り、助長しているとしか思えないようなサービスが始められようとしていることについて、話をしました。
しかし……。
「炎ジョイ」自体も問題ですが、それを報じるメディアの方にも問題があるようです。
なんというか……。
「炎ジョイ」開発・運営側が流す、自己正当化のためを屁理屈を、ほとんど無批判にそのまま流すことによって、結果的に「炎ジョイ」を宣伝するという効果を生み出している。
産経新聞など一部メディアの報道を見ると、そうとしか思えません。
「日本のマスメディアから良い意味での批判精神がなくなった」というご意見はよく聞きますが、これは酷すぎます。
まずは、前回も紹介しました、「炎ジョイ」開始の記事。
ブログ炎上情報を共有するサイト「炎ジョイ」開始
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071121-00000935-san-ind
大量のコメントが殺到する、いわゆる「炎上」状態となったブログやホームページ(HP)の情報を共有するソーシャルブックマークサービス「炎ジョイ」が20日、公開された。炎上しているHPの情報をユーザーが投稿できるほか、HP上に動画共有サイト「ニコニコ動画」風のコメントを書き込むことができる。
開発元のスパイダーネットワークスのHPによれば、同サービスについて「炎上しているブログやサイトの情報をみんなで共有し、ボヤを大火事にしてしまうサイトです。また、シャイな人のために炎上サイトの上のレイヤーに攻撃・防御に分かれ罵声を書き込み鬱憤を晴らせます」と説明している。
産経新聞が11月21日に配信した記事のようですが……。
この報じ方からして、まず問題があります。
まず、開発者側の言い分を、何の批判もなしに、そのまま報じているという時点で問題です。
そんなもの宣伝にしかならないことは明らかじゃないですか。
産経新聞は、あるいはこの記事を書いた記者は、何か違和感等を感じなかったのでしょうか?
さらに、「炎ジョイ」が炎上により、サービス停止に追い込まれた後に書かれた記事。
サンケイ系のイザのニュースです。
「炎ジョイ」もう停止 “飛び火”止められず
11/22 19:09
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/105404
以下、引用(赤字部分は筆者による色付けです)。
20日公開されたばかりの、“炎上”情報を共有するウェブサービス「炎ジョイ」を運営するスパ イダーネットワークスは22日、掲載されたサイトの被害が拡大するとして同サービスを停止したと 発表した。
同社はサイト上の告知文で「炎ジョイ」の開発意図として、“炎上”サイトについて同サービス内 でディスカッションすることで「ブログ本体の炎上を一定数阻止できるのではないか」との考えがあ ったと説明。ところが同社が20日にサイトを開設した後、利用者の動向を調べたところ、約2%、 約400人が開発意図に反して「炎ジョイ」から“炎上”サイトへ流入し、炎上に加わってしまうと いう事態になっていた。
こうした事態を受け、同社はサイトで「反響の大きさから、一般サイトさまへの被害の拡大が大き くなるため、サイト機能の停止と全投稿データの削除を行わせていただきました」と説明。さらに「 ご協力いただいたサイト様以外に飛び火し、大変なご迷惑をかけ不愉快な思いをされたサイトオーナ ー様および、誤解を与えてしまいました多くのユーザー様に、社員一同心からお詫び申し上げます」 と謝罪した。
この教訓から、同社は「炎ジョイ」について「面白いニュースや画像で討論する目的」でサービス 再開したいとしている。
特に、赤字で色づけした部分に注目してください。
「開発意図に反して」ですって!?
前回記事でも取り上げましたが、あれは明らかに、「炎上を煽り、助長して商売しよう」という意図で作られたものです。そうとしか思えません。
特に、「炎ジョイ」に以下のような文句が並んでいては。
火事と喧嘩は江戸の華
炎上サイトはネットの華
炎上と思って勇んで駆けつけたら、既に沈静化。。そんな思いもうイヤだと、サービス開始
旬な炎上サイト情報を共有
炎上しているブログやサイトの情報を登録して、みんなで共有。レイヤー上でお祭り騒ぎ!
サイト炎上にコーソリ罵声を・・・
炎上サイトの上にレイヤーを張って、コッソリ罵声!シャイなあなたも楽しめる!攻撃・防御側で参戦可能。
飽き足りなかったら直接爆撃
レイヤー上で暴れて欲求不満や切なくなったら、勝手に直接爆撃に移行可能。
一体、「炎ジョイ」擁護ともとれる記事を書いた産経記者、及び産経新聞は、どこに目をつけているのでしょうか?
というか、本当に「おかしい」とか思わなかったのでしょうか?
次のJ−CASTニュースもおかしいと思います。
「炎上」情報共有サイト 運営会社が真っ先に「炎上」
11月22日18時4分配信 J-CASTニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071122-00000003-jct-sci
以下、一部引用です。
それが、「炎上」を助長するようなサイトとして話題になり、複数のメディアも取り上げたことか らユーザー数も急増。2007年11月21日午後4時〜22日午前11時までの19時間で、約90万ページビュー を記録、ユニークユーザー数も約14万人に上った。実際、「炎ジョイ」のレイヤーで書き込んでいる 人のうち、実際に当のブログやホームページに書き込む人はわずか2%。レイヤーへの書き込みが「 ガス抜き」になることが実証されたというわけだ。
はぁ?
そんな眉唾物の言い訳をそのまま載せるとは……。
「そもそも、そんなサイトに晒されさえしなければ、炎上など起こらなかった」などという可能性は考えなかったのでしょうか?
どうやら、産経新聞もJ=CASTも、開発者側の以下の言い分をそのまま垂れ流したものと思われます。
以下、「炎ジョイ」サービス停止後の、開発者側の謝罪文より引用です。
ただ、反響の大きさから、一般サイトさまへの被害の拡大が大きくなるため、サイト機能の停止と全 投稿データの削除を行わせていただきました。調査の結果としましてはコメントを書き込んだユーザ ーの方の2%が直接行かれ、残りの方は、行かないというデータになりました。また、炎ジョイに関 しましては、当初予定しておりました、面白いニュースや画像で討論する目的の炎ジョイになります 。
最後になりますが、当サイトにより、ご協力いただいたサイト様以外に飛び火し、大変なご迷惑をお かけましたことと、不愉快な思いをされたサイトオーナー様および、誤解を与えてしまいました多く のユーザー様に、社員一同心からお詫び申し上げます。
以下に、今回のレイヤーによって炎上に受動的に参加しているユーザーの方が、サイト本体に行く割 合の実験データを発表させていただきます。
集計期間:11月21日午後4時から11月22日午前11
訪問ユーザー数:141,491人
ページ閲覧数:899,908ページビュー
サイトからの直帰率27.59%
コメントを書き込んだユニークユーザーの数:20,315人
コメント総数:85,323コメント
1ユーザーあたりの平均コメント投稿数:約4コメント
コメントを記入したユーザーの本体サイト移動率:約2%
2007年11月22日 株式会社スパイダーネットワークス
さて、こんな自己正当化の屁理屈のためとしかいいようがない論理など、信用するわけにはいかないと思います。
もし開発者の言い分どおりだったとしても、問題が出てきます。
逆に言えば、2%だけとはいえ、本当に部外サイトに攻撃を仕掛けた者たちがいた、ということです。
しかもそれが約400人。大変な数です。
それだけでも十分問題ではないでしょうか?
もし仮に、この私が、このサイトで「○○市にある○○警察署を破壊・放火しろ」などという煽動を、具体的な方法まで示して行ったとしましょう。
そしてそれで、本当に○○警察署の破壊・放火を行った者たちがいたとしましょう。
そんな時に、私が以下のような言い訳をしても、通用するでしょうか?
「実際、弊サイトで書き込んでいる人のうち、実際に当の○○警察署の放火に加担した人はわずか2%。弊サイトへの書き込みが“ガス抜き”になることが実証されたというわけだ。」
そんな理屈が通用するはずがないでしょう。少なくとも、まともな一般社会ならば。
しかし、一般社会で通用するはずのないような理屈を振りかざして自己正当化を図ろうとしているのが、「炎ジョイ」、つまり開発者のスパイダーネットワークスなわけです。
そして、そのようないい加減な言い分を垂れ流し、結果的に擁護・宣伝の役割を果たしているのが、産経新聞とJ−CASTなわけです。
それは、「荒らしや中傷などの悪質行為への世間の抵抗感を和らげる」という結果をもたらすことも考えられるのです。
以前から、「何か変だぞ」と思っていましたが、やはりダメダメじゃないか、と思いました。
蛆3K(ウジサンケイ、もといフジサンケイ)グループは。
「ネットでの悪質行為がはびこるのは、ネット社会で指導的立場にある人たち(ネット企業家や知識人など)の甘さや無責任があるからだ」
以前から抱いていたその思いをさらに強くしました。
さらに、
「蛆3Kなど一部のメディアも、悪質行為を肯定し、結果的に助長する役割を果たしているのではないか?」
という疑念も抱くに至りました。
最後に参考までに、前回も紹介しました、村野瀬玲奈さんの言葉を紹介します。
『集団・匿名でのいじめを商売にする会社。そんないじめに好意的な新聞。』(「村野瀬玲奈の秘書課広報室」2007年11月23日記事)より引用。
そのような「炎上」をあおって「遊び」にし、それを商売の種にする会社がついに日本で立ち上がったというわけです。
教育現場では良心的な先生がたがいじめをなくそうと心を痛め、努力しているはずですが、こんなことをやる会社があり、それをあおる報道機関がその努力を台無しにしています。
日本を憎悪と差別と暴力の国にしたい勢力が日本には確かに存在することがわかりました。そして、そのような勢力のかなりの部分が声高に「愛国者」を自称していることを私は知っています。
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産業経済新聞そのものは
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さらに東京の大手町(東京駅とちゃいまっせ,あくまで地下鉄の駅)のフジサンケイグループと手を組んで,さらにカトリック放送局の文化放送まで買収してしまったのが現状.カネにあかせて無茶苦茶する総会屋の論理が,いまのフジサンケイグループの正体なんですよ.今度はネットを買収する気じゃあないんでしょうかねぇ.ホリエモンの逆のやり方で…….ライブドア買収も有り得るかも.