「軍強制」再三差し戻し/教科書検定申請
執筆者ら「不当」と批判
【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述に関する教科書検定の訂正申請をめぐり、文部科学省が「日本軍の強制」に関する記述などについて複数回、教科書会社に差し戻し、書き換えを求めていたことが二十七日、分かった。
九月二十九日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の記述では、「(主催者発表の)十一万人については異説や疑問の声も出ている」として、別の書き方を打診したという。差し戻し後、記述を書き換えた教科書会社の編集部長らの説明を受けた執筆者が都内で会見し、明らかにした。執筆者らは「文科省が不当な修正を強要した」と批判した。
執筆者によると、十一月一―九日にかけ各社が訂正申請した後、文科省の教科書調査官と各社の編集部部長、役員らが記述を調整。執筆者に問い合わせるなどした後、最終的に社の判断として記述を書き換えた。
実教出版の執筆者・石山久男さんによると、当初訂正した「日本軍は…集団自害と殺しあいを強制した」との記述について調査官の指摘があり、「日本軍が…集団自害と殺しあいを誘導し、強制した」と再申請した。
しかし、この記述も認められず、同社はいったん申請の取り下げを検討した。その後、調査官が「(申請の)不承認はあり得ない」として再々申請を強く求めたため、「日本軍」の主語を削除した。
東京書籍の執筆者・坂本昇さんは、体験者の証言を掲載した「囲み」で、「集団自決」について「軍から命令が出たとの知らせがあり」との記述を加えて申請したが、差し戻された。