監視試験片(右)とケース(日本原子力研究開発機構提供)
特に30年以上が経過した高経年化原発の一部では使い切る寸前となっており、原子力専門家は「このままでは原子炉容器の安全評価ができなくなる可能性がある」と懸念している。
経済産業省原子力安全・保安院もこの事実を重視し、高経年化原発の長期保全計画策定の際に、試験片の残り数などを報告するよう、各電力事業者に指導している。
原子炉容器は合金製で、運転時に生じる中性子線を常に受けて徐々に劣化する。このため各原発には、容器と同じ材質の試験片が、数十枚を1組としてカプセル状のケースに詰められ、容器内に複数個入れてあり、一定期間ごとに1個ずつ取り出して中の試験片を割るなどして強度を確認している。