師走の風の冷たさが人一倍、身に染みているのではないか。自民党の杉村太蔵衆院議員である。前回の選挙で初当選した「小泉チルドレン」と呼ばれる議員の一人だ。次の衆院選で北海道1区から出馬を目指していたが、地元の候補者選考で落選した。
杉村氏は南関東ブロックの比例単独で当選した。自民党が次期衆院選の候補者選定基準で比例単独は極力絞り込むとしたため、小選挙区に活路を求めていた。逆風にさらされる杉村氏の姿は、チルドレンの苦境を象徴しているとされる。
前回は郵政選挙と言われる中、小泉純一郎元首相の肝いりで多数の新人が出馬し、八十三人が議員になった。郵政造反組のいる小選挙区に送り込まれて話題を集めたり、比例名簿で優遇され当選した人が多い。
熱気が去った今、周囲の空気は冷ややかだ。テレビなどでちやほやされた反感もあるのだろうが、自民党はチルドレンを次期衆院選で優遇しない方針を強調する。
頼みの小泉氏は郵政造反組の議員が復党する際、「政治は権力闘争で、出たり入ったりは当たり前」とチルドレンを突き放した。政界の厳しさを思い知らされたに違いない。
杉村氏のように出馬する小選挙区が決まらない人も少なくないが、いつまでもチルドレンと子ども扱いされるのは心外だろう。議員として実績を積み、逆風をはねのける力が問われる。