ドワンゴ・ミュージックパブリッシングとクリプトン・フューチャー・メディアは25日、「初音ミク」関連楽曲の着うた配信および今後の協業に関する共同コメントを発表した。両社は、ユーザーに混乱と不安感を招いたことについて謝罪するとともに、これまでの経緯については両者とも今後一切争わないとした上で、今後の方針と権利関係について説明している。
この問題は、クリプトンの音源ソフト「初音ミク」を利用して制作された楽曲「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」が日本音楽著作権協会(JASRAC)に登録されたことが発端。JASRACへの登録に際してクリプトンの意向に反してアーティスト名が「初音ミク」として登録されてしまったことや、その他の楽曲が作者の許諾を得ないまま着うたとして配信されているといった指摘が相次いでいた。両社ではそれぞれ経緯を説明するコメントを発表していたが、それぞれの主張には隔たりがあり、お互いに相手の責任を問うコメントの応酬となっていた。
この問題について両社は25日、共同コメントを発表。音源データ制作者と両社のユーザーに混乱と不安感を招いたことについて、深く反省しお詫びするとして、両社で確認した事項を公表した。まず、今後、今回の件について事の経緯・事実関係については両社は一切争わず、独自の主張を行なわないことで合意したとして、現在「ドワンゴ」内で配信されている「初音ミク」関連着うたの配信が、引き続き円滑に継続できるように、音源データ制作者との契約締結を両社で協力し早急に進めるとしている。
また、今後「初音ミク」関連のコンテンツを新規に配信する場合には、音源データ制作者との契約締結を事前に行なうものとし、締結が終わるまでは配信しないことを確認したという。
今回の混乱の原因となった権利関係については、確認事項を整理。「初音ミク」のキャラクターの著作権および名称に関する商標権は、クリプトンが保有。「初音ミク」ソフトウェアを利用して作成された音楽データ(原盤)に関する権利は、ソフトウェア使用許諾契約書の諸条件のもと、音楽データ(原盤)の制作者が保有するとともに、その権利行使代行会社は制作者自身の意思により決定できるとしている。
また、アーティスト名などに「初音ミク」を引用して着うた配信を行なう場合は、クリプトンと音源データ(原盤)の制作者もしくはその代行会社との間で別途許諾が必要であることを確認。「初音ミク」を使用して作成された音楽データ(原盤)に使用されている楽曲の権利については作詞家・作曲家のものであり、作詞・作曲家は楽曲の権利行使代行会社を自らの意思により決定できると説明している。
ドワンゴ・ミュージックパブリッシングでは、今後「初音ミク」を使用して制作された楽曲の管理を著作者に申し入れる際には、JASRACへの信託、他の著作権管理団体への信託、管理団体非信託の選択肢があることと、それぞれを選択した場合のメリット・デメリットを説明し、いずれとするかについて著作者の意思を確認すると説明。両社は、音楽著作権の処理については、現在のシステムとルールがネット時代に即応できていない不十分な部分が存在するという認識で一致し、時代に即応した新しいシステムとルールを構築できないか両社で協力して検討するとしている。
関連情報
■URL
着うた配信及び今後の協業に関する共同コメント(ドワンゴ・ミュージック)
http://blog.nicovideo.jp/niconews/2007/12/000756.html
着うた配信及び今後の協業に関する共同コメント(クリプトン)
http://blog.crypton.co.jp/mp/2007/12/post_63.html
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( 三柳英樹 )
2007/12/25 12:59