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2007-12-19

小谷野敦さんによる卑怯な顕名批判

 わたしの友人でもあるブロガー・荻上チキさんの実名を小谷野敦さんがブログで暴露した。というか実名そのものを暴露したわけではないけれども、少し調べものの上手な人が調べればすぐに分かる程度のヒントを書いた結果、すぐに匿名掲示板や他のブログで実名が書かれる事態になった。

 九月にここで、ちくま新書が出たら荻上チキの実名を明かす、と書いたら、ほどなくチキから、やめてほしいという懇願メールが来た。会社で仕事をしているので、顧客などに知れるとまずい、というのだ。

(中略)

 しかし、それから三ヶ月たって、やはり、東大の院修了という身分を明かし、なおかつ変名というのは、卑怯だという念が消えない。それでチキにまたメールして訊ねたが、やはり困るという。そして私が実名を明かしたらそれは卑怯だという。私はそうは思わない。

 そこで、ちょっとだけ明かすことにする。指導教員は「天皇在位十周年」の人である。姓は「お」で始まり、名は、音読みすると「チキ」になる。

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20071218

 小谷野さんは匿名批判は卑怯であるという考えの持ち主で、このことは常々から主張していた。でもかれは、場合によっては匿名もしくはペンネームによる言論に意義が認められる、とも発言している。

 ある場合における匿名批判の意義は認める。自分が勤める企業の内部告発とか、自分の生殺与奪の権を握るような大物への批判とかである。

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20070915

 なぜ「自分が勤める企業の内部告発とか、自分の生殺与奪の権を握るような大物への批判」の場合であれば匿名もしくはペンネームによる言論が認められるかといえば、それは批判者がどこの誰なのか分かってしまうと批判対象による報復が懸念されるからであり、さらに言えばそうした懸念のために社会にとって有意義な批判や批評が世間に出なくなるから。

 チキさんの場合、批判対象による直接の報復はーーまったくありえないこともないけれどーーあまり考えられないかもしれない。それでも、チキさんは顧客と直接向き合う仕事をしていたわけだから、私的な時間に行なった言論活動が実名と結びつけられた結果、顧客との関係において周囲に迷惑をかけてしまうということは十分に起こりうる。チキさんが就職したばかりの新入社員だったことも考えれば、周囲に迷惑をかけてしまったら会社の中で立場をなくしてしまい、やっていけないと感じるのも当たり前。

 それでも「覚悟の問題だ」と言うのであれば、内部告発や大物への批判だって覚悟を決めてやれと言うべき。それでこそ一貫した態度でしょ。もし逆に、自分の生活に関わる場合は匿名やペンネームも認めると考えるのであれば、チキさんの置かれた状況がそれに該当しないと、一体どのようにして小谷野さんは確証を得たのか。人の生活がかかっているというのに、もし何の確証もなく実名を晒した(ヒントだけ出したと言うかもしれないけれども、実質同じこと)としたら、それこそ実名主義がなんら責任ある言論をもたらさない証左。

 てゆーか、この例からも分かる通り、卑怯な批判は匿名であろうがなかろうが卑怯なんだって。


 そーいえば、どこかで「小山エミは macska の筆名」とか書いていたバカもいたけど、笑えるので許す。

gerlinggerling 2007/12/20 19:54 いや、チキさんの会社での立場に公益性は存在しないんだから、全然違う話じゃないですか。

macskamacska 2007/12/21 00:40 批評が、学問や文筆でお金を稼いでいる人だけでなく、普通の会社に勤めている人にも可能になることが、公益だと思います。それを萎縮させるようなことは、より大きな公益のためでなければ避けるべき。少なくともチキさんの実名を暴露することが何ら公益に寄与しないのは明らか。

gerlinggerling 2007/12/21 01:20 たぶん、普通の会社に勤めているような人が匿名で、学問や文筆でお金を稼いでいる人の誹謗をして、それを萎縮させるようなことは公益ではないと考えている人もいっぱいいるはずですよ。

macskamacska 2007/12/21 01:45 誹謗は匿名であろうがなかろうが公益には寄与しないでしょうが、チキさんがやっているのは批評であって誹謗ではないでしょ。それに、チキさんの批評によって言論人の正当な言論活動が萎縮するとは考え難いし、現に萎縮していない。
 少なくとも、批評を行なう人はみな必ず実名を公開すべきだという社会的合意がないのに、特に公益に繋がるような理由もなく、どう見ても悪意としか思えないやり方で他人の実名を暴露する人が、公益を語らないでね。
 実名主義はひとつの立場として認めるし議論の余地もあると思うけど、自分がたまたま実名主義の立場に立つからといって、他人の実名を何の理由もなく暴露することは正当化されないでしょう。

gerlinggerling 2007/12/21 02:07 > それに、チキさんの批評によって言論人の正当な言論活動が萎縮するとは考え難いし、現に萎縮していない。

いやいや、あれは小谷野先生がタフな方だから良いようなものを、あのように的外れなシニカル的態度で人格攻撃をされたら、気の弱い人なら萎縮するどころの話じゃないですよ。

> 少なくとも、批評を行なう人はみな必ず実名を公開すべきだという社会的合意がないのに、特に公益に繋がるような理由もなく、どう見ても悪意としか思えないやり方で他人の実名を暴露する人が、公益を語らないでね。

少なくとも、ものを書く人がすべて匿名批評を甘受すべきだという社会的合意もないですよ。ぼくは、ハーバーマス的な信念を持って、常に公益性を第一に考えている男ですから。知らないかもしれないですけど。

> 自分がたまたま実名主義の立場に立つからといって、他人の実名を何の理由もなく暴露することは正当化されないでしょう。

相手がたまたま匿名主義者だから、匿名で好き放題言われたんではたまらないですよ。「正当化されないでしょう。」

さとせいさとせい 2007/12/21 04:47 >それは批判者がどこの誰なのか分かってしまうと批判対象による
>報復が懸念されるからであり、さらに言えばそうした懸念のために
>社会にとって有意義な批判や批評が世間に出なくなる
彼が行ったことは内部告発ですかね?
もう、彼は別件の内部告発が出来なくなりましたか?
何れも違うでしょう。

>チキさんは顧客と直接向き合う仕事
このような職種による、言論の匿名性の保護は聞いたことが無いです。
抽象的な意味での迷惑という可能性であれば、誰にでも起こり得ます。

別に上記が理由としてあるわけではないですが、
全員に匿名性を持たせた結果、はてブの「死ねばいいのに」問題であるとか、
或いは、毎日のネット君臨で出たような問題があります。もしくは、
政治的な扇動や最近の弁護士懲戒請求のwikiでも匿名性をもってなされてますね。

あなたは、こういう言論に対してあくまで「内容が卑怯」という意見
だと思いますが、卑怯であるかどうか、は誰が決めますか?
今回の問題からして、「卑怯」の基準はカナリ個人差がありそうです。

一方、こういう言論に対する匿名派の意見は「そういうものだ。慣れろ」とか
「覚悟が足りない」とかが主流なものです。これに対して「それは卑怯だ」とか、
「価値観の押付けだ」という反論は成立すると考えますか?
ウェブ炎上って本に書いてあるんだろうか?

そうそう、彼は本を出してますよね。本を出す程の学者センセイとも
なれば、立派な公人ですかね。そういう人がどのような素養を持った人物であるかを調べる。
彼はご丁寧にもプロフィールを公表してるから、そう難しいことでもないでしょう。
出版物を出し、社会に影響を与えようとする公人がどんな人物であるか。
そんなに規制されるべき表現ですかね?十分すぎるほど、公益に適うと思います。
ましてや、プロフィールからちょいと辿れる程度の情報です。
浮気してるとか、過去の逮捕暦とかそんな情報でもありません。
たんなる現実生活上のIDです。ちょっと覚悟が足りないのでは?とも思います。
どこが「卑怯」なのか理解できないです。
あそこまで書いてそれでは、「志村、押すなよ」に近いものすら感じます。

個人的には、ネットの影響が大きくなれば成るほど、そこで言論活動を
なされる方の公人としての性格はより強くなる、と思います。

それとも、彼は「ウェブ炎上なんて本は、アラシにあった私に
過去の記憶を呼び起こし、不快な気分で迷惑になるので止めて欲しい、
卑怯だ!」とか言ったら、やめてくれるのでしょうか?まさかね。

ImakitaSangyouImakitaSangyou 2007/12/21 06:54 絶望書店が小谷野を論争で負かす
→ 小谷野が関連したやりとりを自分で削除(証拠隠滅)
→ 絶望書店を脅して削除させる(証拠隠滅)
→ 小谷野が絶望書店の実名を晒して嫌がらせする

・・・という事が以前にあった。 

今回も似た経緯のようだが、荻上チキが小谷野を論争で負かした(負かされたと小谷野が思っている)
その内容を要約するとどういう感じになりますか?

hogehoge 2007/12/21 09:08 エントリーは他者に対する影響を、考えながら書いたほうが良い。
タイトルを、「小谷野敦さんによる卑怯な顕名批判」と書いても、小谷野さんはああいう人だから、小谷野さんや小谷野さんの取り巻きが態度を改めるかと言えば難しいだろうし、他のブロガーも静観して終わりだろう。
私が気になったのは、顕名匿名の議論以前に、小山さんがこのエントリーを書いても、小谷野さんは痛くも痒くもないという点だ(このエントリーで彼が謝罪したり心を入れ替えたりすると思います?)。
無知で、正しいことを書けば、修正してくれる相手なら、小山さんのエントリーも有効だろうけど、相手は小谷野さんで、かつ確信犯でやっている。だからこのエントリーみたいに真正面から批判しても余り意味がないだろう。

対策は3つある。
1),小山エミは macska の筆名のように、荻上チキが本名ですとか、訳のわからない方向に持っていく。
2),小谷野さん並に空気読まずにやるなら、小谷野さん本人ではなく近親者に対する顕名匿名の論争に切り替える(もっとも卑怯な方法なので、双方ダメージが大きい戦法)。
3),池田信夫参戦のようにそもそも論点が何であったかすら分らないような大炎上をあえて誘発する。

上記三つが有効かどうかは分らないが、少なくとも相手をリングに立たせるには、正論よりはましだろう。小山先生の次回作に期待します。

macskamacska 2007/12/21 09:30
> 相手がたまたま匿名主義者だから、匿名で好き放題言われたんではたまらないですよ。

はいはい、だったら批判者に対して卑怯だと呼ぶなりなんなり批判すれば良いでしょう。それで足りなければ、チキさんははてなダイアリーで意見を書いているわけだからはてなに苦情を出してもいいし、チキさんの本を出した筑摩書房に抗議するのもアリでしょう。
 でも、相手が公開していない私的な情報を探し出してきて暴露するというのは、単なる私刑でしょ。普通に批判・抗議するなり裁判に訴えるのではなく、私刑に訴えるしかなかったという、緊急かつ重大な事由が、いったいどこにあるというわけ? まったくお話にならない。

> あなたは、こういう言論に対してあくまで「内容が卑怯」という意見
> だと思いますが、卑怯であるかどうか、は誰が決めますか?
> 今回の問題からして、「卑怯」の基準はカナリ個人差がありそうです。

内容だけでなく、匿名であることを利用して実名では言えないようなことを言っているのであれば、そうした行為自体も卑怯だと思います。しかしチキさんが実名で活動しないことには本人が小谷野さんにメールで伝えているように他に合理的な理由があるわけで、卑怯だとは思いません。
 「卑怯」の基準に個人差があると言いますが、わたしは小谷野さんが匿名批判を「卑怯」と呼んでいることについては問題にしていません。卑怯だと思うならそう批判するのは小谷野さんの勝手ですが、だからといって相手の本業に影響が及びかねないような手段で嫌がらせをするのは、かなり重大な理由がなければ駄目でしょう。

> 本を出す程の学者センセイともなれば、立派な公人ですかね。

チキさんは学者センセイでもないですし、そもそもあれは学術的な本ではないですが。
あなたはあれが学問だと思っているわけですか?

gerlinggerling 2007/12/21 11:30 > だったら批判者に対して卑怯だと呼ぶなりなんなり批判すれば良いでしょう。

自分が固有名であるのに、相手は容易に捨てられる名前である、っていう非対称性が常に問題になってるんじゃないですか?

> チキさんははてなダイアリーで意見を書いているわけだからはてなに苦情を出してもいいし、チキさんの本を出した筑摩書房に抗議するのもアリでしょう。

小谷野先生はそういうことを有言実行なされる方ですから。そういうことを例えばはてなのブックマーカーなどはどう評価していたでしょう?小谷野先生のことをまるでネタ扱いしていたじゃないですか。そういう正当な抗議をシニカルな態度でまともに取り合わないという、言論人としてあるまじき態度に問題があったんじゃないですか?

> 普通に批判・抗議するなり裁判に訴えるのではなく、私刑に訴えるしかなかったという、緊急かつ重大な事由が、いったいどこにあるというわけ?

いや匿名批判という「私刑」に訴えるしかない、という緊急かつ重大な事由が、いったいどこにあったんですか?

> しかしチキさんが実名で活動しないことには本人が小谷野さんにメールで伝えているように他に合理的な理由があるわけで、卑怯だとは思いません。

あれしきの説明で合理的な理由など推測できません。ご友人だから、合理的な理由も聞いているのかもしれませんが、これはネットコミュニケーションだということを分かっていただきたい。情報の寡多をめぐるディスコミュニケーションでもあるということです。

> だからといって相手の本業に影響が及びかねないような手段で嫌がらせをするのは、かなり重大な理由がなければ駄目でしょう。

チキさんのやってることは小谷野先生の本業である文筆業に影響は出ないんですか?

> チキさんは学者センセイでもないですし、そもそもあれは学術的な本ではないですが。

ぼくもあれはくだらない本だと思いますよ!しかしだったら、東大院卒なんて書く必要はないし、ラジオで鈴木健介と話す理由はないですよね。

macskamacska 2007/12/21 13:43 > 自分が固有名であるのに、相手は容易に捨てられる名前である、
> っていう非対称性が常に問題になってるんじゃないですか?

チキさんはトラカレのドメインもとってますし、chiki というハンドル(紙媒体では荻上チキ)で一貫して活動をしているわけで、あなたがここで問題としている意味では匿名ではありません。もしチキさんが「荻上チキ」という名前との関わりを捨てたら、言論活動上それはかなりの損害を伴いますよ。問題を起こしては次々とハンドルを変えブログ名を変え書く場所を転々としている誰かと一緒にしないように。
 いずれにせよ、実名で発言している小谷野は偉い、それにひきかえ実名を明かしていない荻上チキとかいう奴は卑怯だし信頼できない、と思うのはあなたの勝手です。問題は、だからといって実名を一方的に暴露することに正当性があるのかということ。文筆家でも学者でもなく普通の企業に勤める人にとって、私的な時間に行なっている言論活動上の名前と実名が結びつけられれば本業に影響が及ぶ可能性はリアルにあるわけですから、それでも一方的に公開するというなら、かなり重大なやむを得ない理由を必要とするわけ。

> いや匿名批判という「私刑」に訴えるしかない、という緊急かつ
> 重大な事由が、いったいどこにあったんですか?

批判は普通の言論活動でしょ。なんでそれが「私刑」になるんですか。ばっかみたい(と言ったら私刑になるのかな?)。

> あれしきの説明で合理的な理由など推測できません。

普通に一般の企業で働いている人が、私的な時間に行なっている言論活動上の名前と実名を結びつけられることを脅威に感じることがおおいにありうる、ということが、あなたには分かりませんか?
 わたしはチキさんの置かれた状況をそんなによく知っているわけではありませんが、実名が公開されると周囲に迷惑をかけてしまいかねない、会社での立場を無くしてしまいかねない、という懸念は、普通に「ありそうなこと」だと思いましたよ。
 いずれにせよ、合理的な理由があなたに推測できるかどうかは関係ありません。どういう場合に合理的な理由として認められるかという議論はあってもよいですが、その議論がまだなのに一方的に実名を暴露することの合理的な理由こそまったくない。

> チキさんのやってることは小谷野先生の本業である文筆業に影響
> は出ないんですか?

わたしが守ろうとしているのは「本業における各人の権益」ではなく「社会的に有益な批評や議論がうまれる社会環境」ですから、(1)言論と関係ない個人情報を一方的に公開することは、批評を萎縮させるので基本的によくない、(2)言論に対する言論による批判は、基本的におおいに認められるべき、という2つの立場は完全に両立します。

gerlinggerling 2007/12/21 15:19 > チキさんが「荻上チキ」という名前との関わりを捨てたら、言論活動上それはかなりの損害を伴いますよ。

いや、ぼくはチキさんに捨てるほどの業績があるとも思いません。意見の相違ですね。試しに、街に出て百人に「萩上チキって知ってますか?」って聞いてみますか?それだと、ちょっと調査としては弱いかな。じゃあ、もしくは1000人に?それで何人、知ってるって返してくれるんでしょうね。それで、「小谷野敦」って知ってますか、質問と比べて、どっちが知ってる人の人数が多いでしょうね。

> 問題を起こしては次々とハンドルを変えブログ名を変え書く場所を転々としている誰かと一緒にしないように。

誰のこといっているのかわかりかねますが、ぼくはこのハンドルをチキさんよりは長く使っております。正直、あんまり気に入ってないんですけど。それから、実名ブロガーでもありますし。

> 問題は、だからといって実名を一方的に暴露することに正当性があるのかということ。

問題は匿名批評がいいという信念を持っているからといってそれを一方的に押し付けていいか、ということでしょう?

> 批判は普通の言論活動でしょ。なんでそれが「私刑」になるんですか。

批判は普通の言論だとしても、匿名批判は「私刑」であるといってるのです。分かりませんか?


> 普通に一般の企業で働いている人が、私的な時間に行なっている言論活動上の名前と実名を結びつけられることを脅威に感じることがおおいにありうる、ということが、あなたには分かりませんか?

分かりかねます。ぼくは実名ブロガーなって二年、このようにチキさんより自由な言論をやっております。

> どういう場合に合理的な理由として認められるかという議論はあってもよいですが、その議論がまだなのに一方的に実名を暴露することの合理的な理由こそまったくない。

どういう合理的な理由があって匿名批判が出来るのかという議論もまだだったと思いますけど。

> 「社会的に有益な批評や議論がうまれる社会環境」

だから、「普通の会社に勤めているような人が匿名で、学問や文筆でお金を稼いでいる人の誹謗をして、それを萎縮させるようなことは公益ではないと考えている人もいっぱいいるはず」だと言いましたし、はっきり言ってチキさんの言論など無益どころか有害だと言っているのです。意見の相違ですね。まさか、立場を押し付けるなと言っているはずのmacskaさんが、チキさんの言論が有益であるなどと言う立場を押し付けませんよね。とすると、チキさんの言論が有益であるというコンセンサスを形成できない→チキさんの言論が有益であるという前提から議論が出来ない、あれ、矛盾が生じますね。

macskamacska 2007/12/21 15:57 > 問題は匿名批評がいいという信念を持っているからといってそれを
> 一方的に押し付けていいか、ということでしょう?

現実問題として筆名で批評活動をする人なんていくらでも存在しますし、いまさら良いか悪いかを議論する必要があるような問題だとはわたしは感じないのですが、もしそれが問題だと思うならどうぞ是非ご自由に議論してください。「荻上チキは匿名批評を一方的に押しつけている、卑怯だ!」とでも書けばいいじゃないですか。そのことにわたしはとやかく言う気はありません。
 しかし、仮に筆名を使うのが卑怯だったとしても、本人が本業に差し支えがあるから公開しないでほしいと懇願している実名を勝手に暴露することが自動的に正当化されるということにはなりません。それが正当化されるとしたら、ただ単に「匿名で批判した」というだけではなく、かなり大きな理由が必要になると思うのですが、あなたはそれを何ら提示していません。議論をすり替えないでくださいね。

> ぼくは実名ブロガーなって二年、このようにチキさんより自由な言論
> をやっております。

恵まれた境遇にいるんですね。でも、誰もが自分と同じだけの自由を横臥していると思い込まないように。

> はっきり言ってチキさんの言論など無益どころか有害だと言ってい
> るのです。

だったら、実名を暴露したりはてなキーワードを作って嫌がらせしたりせず、チキさんの言論がどう有害であるか徹底的に批判したらいいじゃないの。それとも、あなたが有害だと認定した言論人は、私刑によって口を塞いでも良いとお考えですか?

> まさか、立場を押し付けるなと言っているはずのmacskaさんが、チキ
> さんの言論が有益であるなどと言う立場を押し付けませんよね。

チキさんの言論が有益であるかないかという話はしていません。チキさんやチキさんと同じ状況にある多くの人たちが本業への悪影響を心配することなく批評を書けるような社会的環境が社会一般にとって有益だと主張しています。反論するなら、ちゃんと本文を読んでからにしてね。

yokoyarisanyokoyarisan 2007/12/21 17:35 gerlingさんの意見があまりにヘンテコなので横槍

■言論活動上の損害は、業績への一般的な認知度の高さに関係なく生じるので、統計調査の話を振るのは的外れ。
■「匿名批評がいいという信念」を「一方的に押し付けていいか」という論点からは、実名を晒す行為を当然に正当化する結論が出てこない。匿名批評がいいという信念の押し付けは、匿名批評を全く受け付けないという、より穏当で効果も認められる仕方によって達成できるので、結局「実名を一方的に暴露すること」の正当性が問題になる。
■匿名で批判=普通の言論を行っているブログは多数見られる。また、そうしたブログが「炎上」するケースがあるということは、当事者の一方は「私刑」を行っていないことを意味する。普通の言論でない「私刑」を行っているか否かは、顕名か匿名かで区別されるわけではない。
■「私的な時間に行なっている言論活動上の名前と実名を結びつけられることが、脅威でありうる」か聞かれているのに対して、自分の状況を答えるだけでは、論理的にありえないことを示せないことがはっきりしている。だから、とぼけたつもりであろう「分かりかねます。」は、ただマヌケなだけである。
■匿名批判が出来ない(許されない)としても、匿名批判を行ったことを理由に、当然・一方的に実名を暴露することが認められるわけではない。だから、匿名批判が出来るのかという議論もまだだったとしても(匿名批判に問題があると仮に前提したとしても)、当然・一方的に実名を暴露する行為の是非を論ずることを妨げる合理的な理由はない。
■「意見の相違」という表現は、相違(矛盾)する可能性を持つ意見の性質を無視して、無条件に「意見」として存在するものとみなす態度であり、文字通り無益かつ有害な言論である。そうした手法で簡単に著作を否定することは、誹謗そのものである。
■特定の言論を有益とみなさない立場に立てば、macska 2007/12/21 13:43 の(1)に反してもよいという考えは、要するに「Aの言論が無益と判断したなら、Aの個人情報を一方的に公開してよい」と言っているに過ぎない。明らかに間違った考えである。

yokoyarisanyokoyarisan 2007/12/21 17:38 すんまそ
匿名批評がいいという信念の押し付けは、→匿名批評がいいという信念の押し付けの回避は、

gerlinggerling 2007/12/21 18:05 自分が生半可な知識で他人を誹謗したことはスルーですか。いいですね、英米的なディベートって感じで。

> 現実問題として筆名で批評活動をする人なんていくらでも存在しますし

具体的に「筆名で批評活動をする人」とは誰のことですか?それで完全に実名と結びつかないでやっている人は?

> いまさら良いか悪いかを議論する必要があるような問題だとはわたしは感じないのですが、

そうですね、今更存在しないジャンルですし
http://d.hatena.ne.jp/ykurihara/20050519#1116439208
日本では匿名批評は卑怯なこととされており、自ら実名を公表することもあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%86%E9%9D%A2%E5%BA%A7%E8%AB%87%E4%BC%9A%E4%BA%8B%E4%BB%B6

> 恵まれた境遇にいるんですね。でも、誰もが自分と同じだけの自由を横臥していると思い込まないように。

誰もがそんなに制限を受けてると思い込んでもいけないでしょう?

> しかし、仮に筆名を使うのが卑怯だったとしても、本人が本業に差し支えがあるから公開しないでほしいと懇願している実名を勝手に暴露することが自動的に正当化されるということにはなりません。

ですから、小谷野先生もおっしゃるとおり、チキさんの振る舞いは一般人としてはいいのかもしれませんが、言論人としての振る舞いではないということです。

> それとも、あなたが有害だと認定した言論人は、私刑によって口を塞いでも良いとお考えですか?

少なくとも、チキさんのような振る舞いは言論人としては適切でなく、小谷野先生の怒りももっともだということです。

> チキさんやチキさんと同じ状況にある多くの人たちが本業への悪影響を心配することなく批評を書けるような社会的環境が社会一般にとって有益だと主張しています。

だから、そうとは思わない、と書いてるじゃないですか。

gerlinggerling 2007/12/21 18:57 > 言論活動上の損害は、業績への一般的な認知度の高さに関係なく生じる

誰も知らない人に言論上の損害なんて起こりようがないじゃないですか。

> 匿名批評がいいという信念の押し付けは、匿名批評を全く受け付けないという、より穏当で効果も認められる仕方によって達成できるので

いや、自分が無視したって、他人が無視してくれるわけではないでしょう。達成されてないですよ、全然。

> 匿名で批判=普通の言論を行っているブログは〜

意味が分かりません。

> 論理的にありえないことを示せないことがはっきりしている。

「論理的には」ありえないことを示すことは大変難しいので、ありえることを示すべきだと思うんですが。

> 当然・一方的に実名を暴露する行為の是非を論ずることを妨げる合理的な理由はない。

だから言論人として間違っていると言っているのです。

> 「意見の相違」という表現は、相違(矛盾)する可能性を持つ意見の性質を無視して〜

これも意味が分かりません。

> 特定の言論を有益とみなさない立場に立てば、macska 2007/12/21 13:43 の(1)に反してもよいという考えは、要するに「Aの言論が無益と判断したなら、Aの個人情報を一方的に公開してよい」と言っているに過ぎない。明らかに間違った考えである。

短絡的過ぎるでしょう。

さとせいさとせい 2007/12/21 22:27 >チキさんは学者センセイでもないですし、そもそもあれは学術的な本ではないですが。
>あなたはあれが学問だと思っているわけですか?

やや、すみません。てっきりプロフィールからして学問的なものだと思ってました。
ヨタ話なんでしょうか?実は読んだことないので、なんとも分かりません。

しかし、それが、その道の専門家(?)からして真に学問的であるであるかどうかは
あまり関係ないですね。専門家然としてればいいというか。マスメディアを通して、コメントしたりして、
専門家風であればいいというか。著名人ってやつですね。
あなた紹介するようにネット上でもご活躍なされていて、捨てるには惜しい業績
(があるの?知りません)があれば、公的な性格も強くなっていくわけです。

別に学問とか学問っぽい何か、に限った話じゃないんですよ。
最近だと、「あんなのは文学じゃねえ!文学ってもんが分かってない!」と
好評らしい、女子高生がケータイで書いた小説。本として、物凄く売れて映画化
もされたらしいです。その女子高生が、どんな人物であるか、というのは
週刊文春で記事になったらしいです。その手の記事は殊更卑怯というわけでは
ありません。十分表現の自由とか報道の自由とかの範囲内です。

容易に現実生活上のIDにリンクし得る情報を自ら公開しておいて
実際に書かれてしまったら、「卑怯だ、止めてくれ」って言うのは、
なんというか、無断リンク禁止論に似てますね。

macskamacska 2007/12/22 00:53 > 自分が生半可な知識で他人を誹謗したことはスルーですか。

あなたに言わせれば、なんでもかんでも誹謗になってしまうようですね。

> 具体的に「筆名で批評活動をする人」とは誰のことですか?
> それで完全に実名と結びつかないでやっている人は?

誰のことですかって、ブロガー多数とかじゃいけませんか?
 あと、チキさんは「完全に実名と結びつかない」という意味の匿名ではありませんよ。出版社や周囲の人には知られていたわけですし、調べようと思えば調べられないわけでもなかったですが(現に小谷野さんは出版社に問い合わせていますね)、自ら一般に公開しているわけではないというだけで。仮にチキさんが民法あるいは刑法上の責任を問われるような発言をすれば、チキさんを訴えることは十分に可能でした。

> 日本では匿名批評は卑怯なこととされており、自ら実名を
> 公表することもあります

リンク先の事件について読みましたが、匿名批評は卑怯だと批判した作家ですら、実名の公表を拒んだ批評者について実名と直接繋がる情報を一方的に暴露しようとはしませんでした。あくまで匿名批評者を言論によって批判しています。あなたが「匿名批評は卑怯」の根拠とする先例と比べても、小谷野さんの行為がいかに非常識であるか明白だと思います。
 さらに言うと、この事件における座談会のメンバーは A から E までの座談会内のみで通用する記号に隠れて発言しており、一貫した筆名を名乗っているチキさんよりはるかに匿名性が高い立場にいます。もしあの座談会がチキさんのように「実名は一般に公表していないが、一貫した筆名を公表して言論活動をしている人たち」によって構成されていたなら、そもそもあのような反発は受けていないでしょう。今回の件とまったく比較になりません。

> 誰もがそんなに制限を受けてると思い込んでもいけないでしょう?

制限を受けているということが「ありうる」とは思いませんか、とこっちは質問しているのに、「自分は大丈夫だ、誰もが制限を受けていると思い込むな」と応えられてもねぇ。
 あなたは、他人の公開されていない個人的な情報を暴露する前に、相手がどういう状況に置かれているのかをどれだけ知ったのか、とわたしは言っているんですよ。

> チキさんの振る舞いは一般人としてはいいのかもしれませんが、
> 言論人としての振る舞いではないということです。

だから、それを非難するなり出版社に抗議するなりすればいいでしょ。実名を暴露することの正当化にはなりません。

> 小谷野先生の怒りももっともだということです。

怒りがもっともだとしても、それは「荻上チキは卑怯である」と書けば良いし、批評では済まないような内容だと思うならはてなや出版社に抗議するという方法もあるわけです。それでもどうしようもなければ、裁判に訴えることだってもちろん可能。相手が「本業に差し支えがある」と言っている個人的な情報を一方的に公開することの正当化にはなりません。

> だから、そうとは思わない、と書いてるじゃないですか。

わたしは言論のプロだけでなく一般の社会人が批評を書けるような社会の方が望ましいと思っていますが、あなたはそうではないと言うんですね。そういう意見は尊重しますが、わたしがチキさんの言論は有益だから認めるべきだと言っているかのような歪曲はやめてください。

gerlinggerling 2007/12/22 21:48 > あなたに言わせれば、なんでもかんでも誹謗になってしまうようですね。

虚偽の事実で相手の信用を貶めようとする行為が誹謗以外のなんなんですか。だいたいぼくの信用なんて貶めてどうしたいんですか?口げんかで勝ちたいだけですか?じゃあ、そういうことは止めたほうが良いですね。むしろ、印象が悪くなりますから。

> 誰のことですかって、ブロガー多数とかじゃいけませんか?

いけません。

> あと、チキさんは「完全に実名と結びつかない」という意味の匿名ではありませんよ。

であるなら、普通の言論人としての責任ぐらいは全うすべきです。

> リンク先の事件について読みましたが、匿名批評は卑怯だと批判した作家ですら、実名の公表を拒んだ批評者について実名と直接繋がる情報を一方的に暴露しようとはしませんでした。

いや、この事件について具体的に検討しようといっているわけではないし、結局誰か分かってるじゃないですか。誰なんだ、って話しにはなってるでしょう、明らかに。

> 制限を受けているということが「ありうる」とは思いませんか

思いません。なぜなら、どのような事情があるかなんて、具体的な説明がある限り分かりようがなく、チキさんの説明は充分でないからです。

> 相手がどういう状況に置かれているのかをどれだけ知ったのか

知りません。だからこそ、充分な説明をすべきだといっているのです。

> だから、それを非難するなり出版社に抗議するなりすればいいでしょ。実名を暴露することの正当化にはなりません。

言論には言論を、なんていう割にはまったく言論での解決じゃないじゃないですか。実名での討議による解決というのは、充分、言論での解決ですよ。

> わたしがチキさんの言論は有益だから認めるべきだと言っているかのような歪曲はやめてください。

じゃあ、チキさんの言論は無益なんですか。友達なんでしょう?友達に酷いこと言いますね。
小山さんはどう考えているのか分かりませんが、一番初めの誹謗のことといい、そういうふうに意味のないところで意地を張るのは止めてください。ぼくに口げんかで勝ってもなんにもなりませんからね。何のために自分の意見を主張しているのかをもう少し考えてみてください。

みたみた 2007/12/22 22:28 gerlingさんの議論は、文脈を少し確認して読めば、一見してむちゃくちゃだと分かるようなものなんですが、そういう文を投稿し続ける理由は何なんでしょうか? 例えば、「チキさんの言論は無益なんですか。友達なんでしょう?友達に酷いこと言いますね。」から辿るだけで、gerlingさんが、とんでもなくバカか悪質かのどっちかだってことが、簡単に分かりますよね。

「ぼくに口げんかで勝ってもなんにもな」らないという言葉は、gerlingさんにこそ、あてはまりますよ。「gerlingさんが口げんかに負けても」なんにもならないなら、gerlingさんが黙ればいいだけのことでしょう。macskaさんは、gerlingさんのブログにコメントし続けたりなんかしないんだから。

macskamacska 2007/12/23 01:04 > いや、この事件について具体的に検討しようといっているわけ
> ではないし、結局誰か分かってるじゃないですか。誰なんだ、
> って話しにはなってるでしょう、明らかに。

あなたが論拠としてあげた先例を見ても、「匿名批評は卑怯だという意見がある」ことは分かっても、「匿名批評をした者の実名を一方的に公開して良い」という論拠にはなりません。むしろ、抗議文を書いた人がいたり、パロディ小説にして発表する人がいたりとする中、一方的な実名の暴露だけは誰もやっていない。あなた自身があげた例によってあなたの主張が否定されているというわけです。ましてやチキさんは座談会の参加者と違い、匿名ではなく一貫した筆名を名乗っているわけですから、実名公開の意義はさらに弱いでしょう。

> どのような事情があるかなんて、具体的な説明がある限り分かり
> ようがなく、チキさんの説明は充分でないからです。

どのような事情があるかなんて分からなくて当然ですが、わたしは「何らかの事情により実名公開ができないことが『ありうる』とは思わないか」と聞いているんですよ。質問をはぐらかすのはやめてください。
 だいたい、チキさんの説明が十分でないから事情が分からないと感じたのならば、「十分な説明をせよ」と要求することだってできたわけで、一方的に実名を公開して良い理由にはなりません。勝手に実名を暴露しておいて、「十分な説明をすべきだった」と後から言っても意味がありません。

> 実名での討議による解決というのは、充分、言論での解決ですよ。

暗い劇場で「火事だ!」と叫ぶのが言論として認められないのと同じく、他者の公開されていない個人的な情報を(当人が公開しないでくれと言っているのに)一方的に公開するのは言論ではありません。
 もっとも、実際に火事が起きているときに「火事だ!」と叫んでも問題ではないように、実名公開だって場合によってはやむを得ない手段として正当化されることはありうるでしょう。しかしあなたは、そこまでしなくてはいけなかった重大な事由を全く述べていません。

> じゃあ、チキさんの言論は無益なんですか。

チキさんの言論そのものが有益であるか無益であるかということは、わたしの論旨とは関係ありません。学問や文筆以外の仕事をしている人が、顧客や上司の視線に気兼ねすることなく批評活動をすることができるような社会環境は有益だと主張しているのです。…って分かっているくせに、言ってもいないことを捏造しないように。

> ぼくに口げんかで勝ってもなんにもなりませんからね。

負けてると思っているわけだ。

> 何のために自分の意見を主張しているのかをもう少し考えてみてく
> ださい。

自分のブログにいただいた読者のみなさまの貴重なご意見にお返事しているだけですが。

匿名匿名 2007/12/23 10:52 gerlingさん「言論人としての態度じゃない」をもっと具体的にどういう害があるのか述べないと話になりませんよ

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