2007年12月29日 [土]
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証言否定「容認できない」 実行委、年明けに上京へ

政治

証言否定「容認できない」 実行委、年明けに上京へ

 高校歴史教科書の「集団自決」(強制集団死)検定問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会(仲里利信実行委員長)は28日、県議会内で会合を開き、渡海紀三朗文部科学相が「日本軍による強制」の直接的記述を認めない形で教科書出版社の訂正申請を承認したことについて「到底容認できない」と批判。福田康夫首相や文科相に対し、教科書への「軍強制」記述の明記と、検定意見撤回を求めることを全会一致で決めた。実行委員会代表が年明け早々に上京し要請する。
 会合では「訂正」承認に対する実行委の公式見解を「要請文」として集約。仲里実行委員長が示唆していた実行委員会の解散については協議せず、当面存続することが事実上決まった。
 要請文では、「集団自決」に関して「住民に対する直接的な軍の命令により行われたことを示す根拠を確認できない」とする文科省や審議会の認識について、「係争中の裁判を理由にし、かつ一方の当事者の主張のみを取り上げている考え方であり、かつ集団自決体験者の証言をすべて否定するもので、到底容認できない」と批判している。
 今回の「訂正」承認で「集団自決」の背景がこれまでより詳述されたことは「一定の改善」と評価。しかし「『日本軍による強制』の記述がなくなるという重大な問題が生じている」とも指摘した。
 また文科相の大臣談話についても「検定意見の撤回や教科書検定で沖縄戦の改ざんが再び引き起こされないようにするための措置などについても何ら触れておらず、極めて不満が残る内容」と指摘。さらに、実行委がこれまで要求してきた(1)検定制度の在り方や審議会の審議の透明性確保(2)沖縄戦の実相に関する調査研究を進めること―などを「全く無視するもの」と重ねて談話を批判している。
 仲里実行委員長は「記述回復がほぼなされ、検定意見が自動的に消滅した」との認識をあらためて示した上で「ベストとして(日本軍による強制の)文言を入れていくことを求める」と強調。また記者会見で、要請文と、個人的な評価が違うのではないかとの質問には「超党派である以上、最後まで実行委の一致した意見を探りながらやらないといけない。そのために小異を捨てて大同につくということと理解してほしい」と話した。

(12/29 9:39)