訪日した外国人旅行者が一番楽しみにしているのは日本食を食べることだそうだ。
独立行政法人国際観光振興機構が今年七―九月、東京の外国人向け総合観光案内所へ来た人にアンケートした。最も関心がある体験の問いに複数回答で七割以上が和食を挙げ、実際に体験してよかったことの問いでも「食事」が多かったという。
日本酒の輸出量が今年、過去最高を更新しそうとの記事もあった。国内ではコメ離れやお節料理をつくらない家庭の増加が言われるが、世界は健康志向を背景に和食ブームだ。確かに日本が冠たる長寿国であることと和食は無関係ではなかろう。
振興機構のアンケートでは、外国人旅行者が体験してよかったこと(文章記入)は、実は食事や観光地のすばらしさなどより日本人とのふれあいに関する記述が断然多い。日本人は親切、礼儀正しい、繊細、責任感が強い、笑顔で感じがよい。
宿泊先で従業員の接客態度がよかったのかもしれない。好印象を持ち帰りたい旅行者の思いも割り引かなければなるまい。それでも、偽装に揺れ不信が渦巻いたこの一年、日本人の美徳が失われてしまったわけではないと言われた気がして、ほっとした。
そろそろ帰省が始まる。年末年始、伝統の文化や古里の温かい人情としっかりとふれあうことで、自信と明るい気分を取り戻せるのではなかろうか。