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荒れた森林 乳牛が再生

2007年12月27日

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下草が生い茂る森林に放牧された乳牛=京丹後市弥栄町船木で

手入れが行き届かず荒れた森林に乳牛を放牧して、森をよみがえらせようという企業の実験が、京丹後市で始まった。急斜面の山間地で乳牛を飼う「山地(やま・ち)酪農」を森林保全に応用するユニークな試みだ。牛に下草刈りなどを任せる一方、牛から得られる乳製品を販売。収入減に悩む林業農家も取り組める新たな森林保全ビジネスを切り開く。

 京丹後市弥栄町船木の森林。森林の認証審査など環境事業を扱う企業「アミタ」(東京)が21日、標高差30メートル、広さ5ヘクタールの「森林ノ牧場」を開いた。大人の背丈ほどの下草が茂る森だ。

 林業衰退などで放置された森林は、保水力が落ちて災害が起こりやすくなるほか、きれいな水を供給する機能や二酸化炭素を吸収して温暖化を防ぐ力も弱くなるという。

 この牧場ではジャージー種の乳牛10頭が、急な斜面を自由に移動し、下草を食べ、ふんをする。雪が積もらない限り、餌はやらない。担当する末次貴英さん(26)は「間伐や植林には重労働の下草刈りが必要だが、ここなら牛が食べてくれる。枝打ちの一部も牛が体をぶつけながらやってくれる」。牛のひづめが土地を耕し、排泄(はいせつ)物が肥料となって土地が豊かになれば、木も成長しやすくなるという。

 搾乳量は1頭あたり1日10〜15リットルで、近くの工房で低温殺菌加工。来年1月から「森林ノ牛乳」として工房や京都市内の百貨店で売る計画だ。

 実験がうまくいけば、アミタは他でも牧場を開いたり、自治体や企業、個人などの森林の所有者にノウハウを提供したりして収益を上げたいという。広報担当者は「林業と山地酪農を組み合わせれば、木材価格の低下で減った収入を乳製品販売などの副収入で補うことが期待できる」と話す。

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