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【産経抄】12月28日
このニュースのトピックス:沖縄集団自決
今さら改まっていうことでもないが、小紙は少数派に属しているらしい。きのうの各紙(東京版)と見比べて、つくづく思った。沖縄戦集団自決をめぐる高校日本史教科書の記述について、事実上の「再検定」が行われた問題を、1面で取り上げたことは共通している。
▼問題は見出しだ。「『軍の関与』復活」(朝日)「『日本軍関与』が復活」(毎日)「集団自決『軍の関与』記述」(読売)「『軍の関与』認める」(日経)「軍関与の記述復活」(東京)。これに対して小紙は「“再検定”で軍強制復活」だった。
▼昨年1月にも、平成17年10月の小泉首相の靖国神社参拝について、支持したのは小紙だけだ、と朝日新聞から指摘されたことがある。意見の違いなら、「それがどうした」ですむ話だが、事実のすり替えには黙っていられない。
▼小紙以外の見出しは、今年3月の検定に合格した教科書には、軍の関与の記述がなかったことを示している。小欄ですでに何度も書いてきたように、それは事実と違う。軍の「強制」をめぐる論議が、なぜ「関与」にすり替わってしまうのか。
▼検定といえば、25年前の誤報事件と構図は同じだ。華北への「侵略」が「進出」に変わったと報じられ、中韓両国から抗議を受けたが、そんな事実はなかった。読者は承知のことだろうが、きちんと訂正したのは小紙だけ。世間では、いまだに事実だと思いこんでいる人も少なくない。
▼こうして誤報はいつしか“歴史的事実”となっていく。沖縄には異論を認めない空気があるようだが、日本全体に広がっているのではないか。もしそうなら、小紙は喜んでKY(空気が読めない)の“汚名”を引き受けよう。でなければ、新聞として存在する意味がない。