「南京大虐殺七十周年追悼式典」の会場で、日本の僧侶が中国人から小石を投げられた、と聞いて驚いた。虐殺事件の地ではあるが、「日本人といって嫌な思いをしたことはない」と在住者は言い、反日デモが頻発した2005年にも南京でデモはなかったからだ。
前段があったようだ。名古屋の特定非営利活動法人(NPO法人)の女性は会場で、笑顔で記念撮影をする複数の日本人を見かけたという。しかも、遺影を持つ遺族をバックに。20年も前だが、広島の原爆ドーム前で、笑顔で記念撮影をする白人旅行客を見て不快感を覚えたことがある。祈りの場に、笑顔は似つかわしくない。
日本の僧侶は6年間、霊を弔うため、中国の僧侶と一緒に合同法会を行ってきた。記念撮影をした日本人に悪気はなかったのだろうが、培った信頼関係も、配慮のない行動で一瞬に崩壊してしまうことがあると肝に銘じたい。
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