第29回 「逆襲!武田軍」 7月22日放送

 上田原の合戦で武田は板垣(千葉真一)、甘利(竜雷太)の両雄を失った。初めての敗戦を認めたくない晴信(市川亀治郎)は陣の構えを崩そうとしなかったが、大井夫人(風吹ジュン)からの潔く負けを認めよとの手紙にようやく甲斐へ引き上げる。
 晴信は自問自答を繰り返し、敗北の原因が己の心そのものにあることにようやく気づいた。
 武田の敗戦により各地で反武田の動きが目立つようになり勘助(内野聖陽)はその対策に追われていた。
 信濃守護・小笠原長時(今井朋彦)は武田を怨む高遠頼継(上杉祥三)に焚き付けられ、反武田勢力を結集して諏訪の塩尻峠にいよいよ出陣する。
 対する武田は出陣こそしたものの、その動きは緩慢で敗戦の影を引きずっているようだった。しかし、それこそが敵の油断を誘う勘助の策だった。勘助は夏の酷暑と油断でゆるみきっている敵陣に奇襲を仕掛けた。その先峰には諏訪神号旗が翻っていた。諏訪を守るために勘助が板垣の遺志をくんで密かに用意したものだった。
 武田は小笠原軍に勝ち、見事に上田原の敗戦から立ち直った。「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」。晴信は亡き板垣にそう呼びかけつつ号泣した。