第21回 「消えた姫」 5月27日放送

 由布姫(柴本幸)は亡父・諏訪頼重の供養と称して三条夫人(池脇千鶴)を寺参りに誘う。そこで由布姫が三条に勧めた甘酒を、三条の侍女・萩乃(浅田美代子)が飲み干す。萩野は毒が入っているのではと疑ったのだ。結局毒は入ってなかったものの、由布姫の奇矯な言動に波紋が広がる。
 あくまで由布姫をかばう勘助(内野聖陽)は、重臣たちから激しく非難される。大井夫人(風吹ジュン)は『そなたはもう武田家の人間』と諭すが由布姫は泣き崩れるばかり。ついに晴信(市川亀治郎)は由布姫を諏訪に戻すことを決断する。それは、家中の動揺を鎮めるとともに由布姫の心を落ち着かせるためでもあった。
 ところが、諏訪への道中、由布姫はすきを見て逃げ出してしまう。雪の中、勘助は独り由布姫の姿を求めて諏訪をさまよう。一晩さまよった末に勘助はようやく由布姫をお堂の中で見つける。由布姫は、甲斐へ戻って晴信の首を取ろうと思ったがそれももうできなくなった、と話す。一緒に逃げるように勧める勘助だったが、意外にも由布姫は『御屋形様(晴信)と離れて暮らすことなどできぬ。一目でよい、お会いしたい』と答える。由布姫の心は、晴信への思いと武田への恨みに引き裂かれていた。恨みは忘れ晴信のちょう愛を存分に受けてほしい、という勘助の言葉に、由布姫の心はようやく解きほぐれていく。