おおぎたに昭、平成18年11月1日、福岡県福智町を視察!
福智町は、今年3月、旧赤池町等3町が合併して出来た町です。
以下は、赤字再建団体から立ち直った福岡県赤池町の取り組みをリポートしたものです。


赤字再建団体・福岡県赤池町、財政再建の教訓

職員が職人になり、政策財源を確保し首長には使わせない!

歳入は辛く見積もり、歳出は徹底して叩くこと

 

= 福岡県福智町・行政視察報告 =

 

 

四條畷市議会議員  扇谷 昭

    日時 平成18111日 午前10時〜午後2

    場所 福岡県福智町議会事務局会議室

    出席 四條畷市:市民連合会派所属議員 山根、山本、扇谷

     福智町:田丸(財政課課長)、太田(企画課係長〜赤池町時代の財政担当者)

         長谷川(議会事務局係長&職員組合委員長〜赤池町出身)

 

はじめに

 赤池町は、平成183月、金田町方城町と対等合併し、福智町になりました。

 この3町(再建期間 金田町S56〜S61方城町S57H2赤池町H3H11)は、近年ともに赤字再建団体に転落し、再建した経過を辿っており、その中で最も直近の再建事例となったのが赤池町です。

 太田氏、長谷川氏は赤池町の出身者で、公式アナウンスに加え、再建の取り組みについて、体験から得られた教訓を赤裸々に語っていただきました。質疑が白熱し、大変失礼ながら、途中昼食休憩を取ることもなく、約4時間の質疑をさせていただきました。応対いただきました福智町職員の皆様に厚くお礼申し上げます。

 そして、長谷川さんが、財政再建途上の行政サービスのあり方について、住民とのやり取りの中で、一人の女性が発せられた次の言葉に、頭を『ガーン!』と強く打たれ、つくづく“公務”の責任を痛感したと発言されたことが、特に印象に残りました。

『私たちは、税金を納めてきました。
 職員の皆様は、一体何をしてこられたのですか。』

赤池町の財政再建

《赤字となった原因》

@ 公共施設、生活環境施設、失業対策事業等に多額の借金を投入し、公債費増を招いた。

A 土地開発公社の先行取得による保有地の塩付け化による多額の支払利息の発生。

B 病院会計の不良債務解消のための一般会計からの繰り出し金の増大。

C 昭和50年代の人件費の増と給与水準の高さが経費圧迫。

D 住宅家賃を含め各種使用料額に基準を下回り、町費圧迫。

 赤字の原因

野放しの公共事業による

借金の増大!

そして

市民のたかり体質!


    財政悪化の経緯

一時要因

炭鉱閉鎖に伴う公共事業の推進と雇用対策の展開

 〜 閉山後の施設建設ラッシュ 〜

結果、地方債の発行と急激な地方債残高の伸張

加えて、2次要因

 職員数の多さ

 給与水準の高さ 平成50年度ラスパイレス指数125.1

 低く抑えられてきた公共料金(水道、町営住宅、各種使用料等)

 

    財政再建団体入りの直接要因

土地開発公社の抱える塩漬け土地

赤池工業団地の造成工事 用地取得30.6万平方km 内11.8万平方kmは未売却

住宅団地の残地用地他、その他19.2万平方km 合わせて約31万平方kmの不良在庫

結果、土地開発公社の解散によって、

土地開発公社保有地の買取212800万円で、一挙実質収支大幅赤字に転落!

 公共事業による地方債の累積

 町立病院の赤字体質

 〜 これらが複合して、住民や関係者の行政依存体質の存在 〜

再建策

入るを図り、出るを制す、是のみ!

必ず見込める額を歳入に計上し

歳出は

「選択と集中」&「受益と負担」で厳選し、絞り込み、抑制する

歳入の余裕財源は、

借金返済に充て、基金に積み立てる

 

《再建の具体策》

支出の抑制

@ 行政組織の統廃合

A 職員数の削減

B 常勤的臨時職員の削減

C 給与水準の是正

D 特別報酬の据置

E 補助費の大幅カット

収入の確保

@ 住宅家賃のアップ

A 体育施設使用料のアップ

B 汚水処理負担のアップ

C 水道料金のアップ

 

    赤池町財政再建の具体的措置

再建の3本柱

@ 収入の確保、人件費・補助費等の抑制

A 公債費の軽減等による経常経費の削減

B 投資的事業の抑制

 

《赤字再建団体転落で、再建プログラムを可能にした背景》

@ 赤字再建団体になると、起債制限比率の制限が緩和される。

  起債制限比率が20%を超える団体は、一定の地方債発行を許可しない仕組みになっているが、赤字再建団体に指定されると、この制限が緩和され、起債が可能になる。特に、就労対策、同和対策関連事業の起債が認められた。

 

A 一時借入金利子の地方交付税補給が行われる。

  赤字再建団体に指定されると、繋ぎ資金となる一時借入金の利子に対して、特別地方交付税が給付され、実質利子負担が無くなる。

 

B 財政担当者中心の再建作業が、全員作業になる。

  自主再建では財政担当者が中心の再建作業になり失敗することが多いが、赤字債権団体に転落すると、危機の共有化が進み、全職員一丸となって再建作業に取り組む土壌が出来る。

 

C 地方交付税が毎年増額されるよき時代

  この当時、地方交付税は毎年約2%程度の増額が続き、財政において明るい将来見通しの中で再建が可能になった側面が大きい。地方交付税が抑制局面に入った今日では、国からの財政支援は大きく望めず、財政再建は極めて厳しくなる。

 

D 再建スタート時に、9人の課長職が退職。退職金原資も不要。

  職員数の削減、給与水準の是正という課題について、再建スタート時に課長職9人がいっせいに退職したことで、大きな弾みがついた。課長職9人の人件費削減効果は大きい。赤池町は職員の退職金について、福岡県の退職金組合に加入しているため、大量退職が発生しても自治体に退職金負担が発生しないことも再建に大きく貢献。

 

E 標準税収が再建計画を上回り、繰上げ償還が急激に進行、同時に基金積み上げ。

  標準税収額が、再建団体に転落した平成3年度に48800万円であったものが、赤字再建団体から脱却した平成12年度には74100万円に増える等の時代背景を反映し、計画以上の繰上げ償還が可能となり、結果として、利子補給の大幅ダウンというメリットが生れた。

  またこのスピードアップ分を歳出にまわすのではなく、歳出はあくまでも再建計画に基づいて執行した結果、この分が基金積み上げに回り、再建団体転落直前の平成2年度末に53200万円であった基金が、赤字から脱却した翌年の平成13年度末には47100万円に大幅に増加した。

 

(財政再建策点検シート)

人件費・補助費等の抑制

    行政組織の統廃合

    職員数の削減

    常勤臨時職員の整理

    給与水準の是正

    補助金の削減

 補助金は原則65%の大幅カット

類似団体、近隣自治体の

一番低い助成率を採用

原則、H2年度の65%カット

最大削減は、70%カット

商工会補助は、250万円が100万円に

収入の確保

    町営住宅家賃の値上げ

    公共施設等の使用料値上げ

    汚水処理施設使用料の値上げ

    上水道料金の値上げ

 

経常経費の削減

    地方債の繰上げ償還の実施 平成3年から8年にかけて225700万円の繰上げ償還

平成02起債残高 715300万円 地方債現在高倍率3.02

平成11年度起債残高 389400万円に!

 

投資的事業の抑制

    建設事業の大幅な抑制

投資的経費は約10年間で3分の1から4分の1の水準にダウン

平成03年 投資的経費 369400万円

平成11年 同     84400万円に

 

(財政再建団体転落に伴う具体的措置のもたらした影響)

    住民の生活

税収の伸びは上昇

「住民に危機感共有の前向き効果」

各種ボランティア団体の活動活発化

 

    町職員

職員労組の弱体化

「財政再建計画を検討する財政再建委員会」からの労組委員の離脱

一方で、進んだ市政への積極参画

 庁舎建て替え事務局は、「建設」から「財政課」に 結果、建設費高騰阻止!

 

《赤字再建団体転落、そして再建の教訓》

@ 決して赤字債権団体に転落してはいけない!

  赤字再建団体に指定されると、再建計画に盛り込まれた内容を上回る収入があっても、支出にまわすことは出来ず、すべて計画に沿って財政運営が進む。

  結果、職員の政策形成能力は不要となり、国や都道府県に提出する膨大な資料提出作業に忙殺される日々を送ることになり、再建達成後には、骨抜きになった再建団体慣れ症候群に陥った職員が残る。

  住民の自治は無くなり、独自の政策展開は出来なくなる。赤池町で、国が認めた唯一の事業が、童謡のまち赤池町が実施した『童謡祭』であったが、この財源も、ふるさと創生資金1億円の利子を、次年度に執行する形で認められたもの。

 

A 人事部門が政策を確立すべし。

  若い職員があらゆる職場を経験し、政策提案のできる場を確立すべきであり、そのためには人事部門が適正な『評価制度』を構築することが大切である。

 

B 再建団体に転落すると、職員と住民が首を絞められる。

  赤池町を教訓とするならば、赤字債権団体に転落して、犠牲になるところが一体どこであったか、よくみてほしい。赤字再建団体転落を招来した『首長』や『議員』は辞めていない。また、当時の『幹部職員』は、責任を取るどころか、今は悠々自適の年金生活に入っている。

  結局、犠牲になったのは、当時の『若い職員』と弱い立場の『住民』という結果が残った。

 

C 職員は職人=プロの行政マンになるべし。

  政治の責任において、『ダメなものはダメ!』という気概を大切に、しがらみを断ち切り、職員はしっかりと勉強して、政策形成能力を磨き、政策財源を確保し、首長には使わせない体制の構築が何よりも必要。

 

D 仮に再建団体転落を選択するとしても、短期間に再建を成し遂げること。

  あまり長く再建計画をやるとダメであり、再建団体慣れ症候群を回避し、赤字再建団体再生プログラム達成後自立する自治体運営を目指すのであれば、できる限り短期間に再建プログラムを成し遂げることが大切。

 

E 住民のボランティア活動は活発化する。

  基本的に『たかり』や『行政依存』の住民活動は衰退する。しかし、地域に根付いた本物志向の正味のボランティア活動は残り、ますます活発化する。

 

F 再建計画の変更協議は原則認められない。

  当初に作成した『再建計画』の変更は原則として認められない。例えば、学校施設の修繕については10項目のうち1項目のみ、介護保険の横だしサービスの配食サービスもだめだった。臨時職員の24人から10人への削減については、町立老人ホームの寮母さんについて国が認めてくれたもので、“よく認めてくれた”と思っている。

  自主再建では、毎年のように再建計画が見直しされ、骨抜きにされることが多い。決めた歳入は確実に確保し、歳出抑制はたとえ1円たりともオーバーを認めない、この気概と実践なくして再建はありえない。

 

G 財政再建のつくり方は、是だ!

  歳入を最悪シナリオ(=絶対達成が要件)で見積もる。

(歳入計画は辛く見積もること)

  歳出は徹底して叩く。一切の例外を認めない。

  借金の繰上げ償還を急ぎ、余裕が出れば基金に積み立てる。

  四條畷市の現状は、全く逆!

   できるか出来ないか分からないイオン進出・住宅開発を歳入に見込み

   歳出を徹底して叩いた結果として経費を計上していない

   非常に、甘い財政計画!

 

結論

    財政再建団体制度が自治体行政に与える影響はさほど大きくない。

    再建手法は、「入りを図って、出るを制す」一般的会計原則に従ったもの

    民主的意思形成システムの未熟性の暴露

    受益者層の偏在とそこにしがらみとして残る歳出増のバイアスが制御できない現実の暴露

 

急げ! 財政健全化計画の徹底的な見直し

歳入は現実を直視し、最大限辛く。

歳出は徹底して叩き、選択と集中で一層の抑制を。

 

 

データ

平成183月合併 赤池町金田町方城町

特徴 3町とも再建団体経験 赤池町 平成3年〜平成12

              金田町 昭和56年〜昭和62

              方城町 昭和57年〜平成3

 

資料

    赤池町普通会計財政指数調

●平成16年度決算状況比較
(四條畷市と赤池町)
決算状況 千円 一人当たり金額 円
四條畷市 赤池町 四條畷市 赤池町
人口 57,129 10,041
四條畷市 赤池町
歳入 地方税 6,424,762 515,836 112,461 51,373
地方譲与税 230,322 69,192 4,032 6,891
利子割り交付金 68,963 5,189 1,207 517
配当割り交付金 17,774 884 311 88
株式等譲渡所得割交付金 14,811 991 259 99
地方消費税交付金 471,147 79,440 8,247 7,912
ゴルフ場利用税交付金 24,584 328 430 33
特別地方消費税交付金 0 0 0 0
自動車取得税交付金 128,306 30,141 2,246 3,002
地方特例交付金 225,570 18,277 3,948 1,820
地方交付税 3,666,909 1,860,542 64,186 185,294
小計 11,273,148 2,580,820 197,328 257,028
交通安全対策特別交付金 11,038 2,620 193 261
分担金・負担金 113,757 93,483 1,991 9,310
使用料 195,749 102,141 3,426 10,172
手数料 110,226 38,272 1,929 3,812
国庫支出金 1,977,137 658,346 34,608 65,566
都道府県支出金 760,480 309,443 13,312 30,818
財産収入 8,954 29,588 157 2,947
寄附金 10,740 188 0
繰入金 528,774 1,292,287 9,256 128,701
繰越金 0 278,314 0 27,718
諸収入 67,434 242,575 1,180 24,158
地方債 2,123,400 1,624,800 37,169 161,817
 減税補填債 80,200 7,200 1,404 717
 臨時財政対策債 843,700 236,700 14,768 23,573
合計 17,180,837 7,252,689 300,738 722,307
四條畷市 赤池町
性質別歳出 人件費 4,445,820 934,985 77,821 93,117
 内 職員給 3,293,065 599,101 57,643 59,665
扶助費 2,870,739 552,294 50,250 55,004
公債費 1,945,406 437,633 34,053 43,585
 元利償還金 1,940,866 436,841 33,973 43,506
 一時借入金 4,540 792 79 79
小計 9,261,965 1,924,912 162,124 191,705
物件費 2,394,432 461,140 41,913 45,926
維持補修費 38,216 58,589 669 5,835
補助費等 1,240,882 506,512 21,721 50,444
積立金 77,775 274,740 1,361 27,362
投資及び出資貸付金 5,000 126,486 88 12,597
繰り出し金 2,522,237 1,034,085 44,150 102,986
前年度繰上げ充用金 960,822 0 16,818 0
投資的経費 1,582,608 2,579,493 27,702 256,896
 内 人件費 70,950 64,428 1,242 6,416
 内訳 0 0
  普通建設事業費 1,580,812 1,137,645 27,671 113,300
   補助 449,353 475,674 7,866 47,373
   単独 1,119,749 647,571 19,600 64,493
   受託 11,710 993,644 205 98,959
  災害復旧事業費 1,796 31 0
合計 18,083,937 6,965,957 316,546 693,751
四條畷市 赤池町
目的別歳出額 議会費 224,567 89,312 3,931 8,895
総務費 2,326,921 779,085 40,731 77,590
民生費 5,305,667 1,945,411 92,872 193,747
衛生費 1,711,540 754,636 29,959 75,155
労働費 65,911 482,699 1,154 48,073
農林水産業費 67,791 134,649 1,187 13,410
商工費 36,785 3,784 644 377
土木費 2,274,790 263,851 39,818 26,277
消防費 1,012,668 124,989 17,726 12,448
教育費 2,149,273 956,264 37,621 95,236
災害復旧費 1,796 993,644 31 98,959
公債費 1,945,406 437,633 34,053 43,585
諸支出金 0 0 0 0
前年度繰上げ充用金 960,822 0 16,818 0
合計 18,083,937 6,965,957 316,546 693,751

 

福岡県赤池町・普通会計財政指数調
単位:千円
区分 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16
標準税収入額 A 416,339 448,992 488,048 536,881 593,907 587,146 642,397 684,795 716,558 740,857 726,198 741,440 769,487 741,937
普通交付税額 B 2,115,054 1,922,278 1,996,561 2,062,753 1,941,376 1,883,614 1,935,305 1,959,782 1,966,539 1,929,447 1,905,500 1,877,241 1,759,616 1,404,005
標準財政規模 A+B 2,531,393 2,371,270 2,484,609 2,599,634 2,535,283 2,470,760 2,577,702 2,644,577 2,683,097 2,670,304 2,631,698 2,618,681 2,529,103 0 0 2,145,942
財政力指数(平均) 基準財政収入額/基準財政需要額 0.152 0.147 0.146 0.158 0.171 0.182 0.195 0.202 0.211 0.219 0.224 0.228 0.236
同      (単年度) 0.130 0.152 0.157 0.165 0.190 0.192 0.203 0.211 0.219 0.226 0.226 0.232 0.251 0.270
実質収支額 -401,701 -395,956 -3,173,322 -3,167,258 -3,117,133 -3,061,189 -2,910,042 -2,151,035 -1,142,297 -469,248 -64,721 172,655 103,710 277,246 286,732
実質収支比率 実質収支額/標準財政規模 -15.9 -16.7 -127.7 -121.8 -123.0 -123.9 -112.9 -81.3 -42.6 -17.6 -2.5 6.6 4.1 13.4
経常一般財源比率 歳入経常一般財源/標準財政規模 100.5 101.5 101.3 101.2 99.9 99.6 98.8 98.2 97.7 97.4 99.6 77.9 98.1 99.1
公債費比率 27.8 25.7 28.0 18.2 16.8 15.9 11.9 8.4 9.6 11.2 12.6 10.6 10.6 10.0
起債制限比率(3年平均) 27.2 25.1 23.7 20.5 17.6 13.4 11.1 8.3 6.2 6.0 7.6 8.0 7.8 6.2
経常収支比率 歳出経常一般財源/歳入経常一般財源 84.4 88.5 99.3 84.6 79.7 81.8 76.5 73.9 75.1 76.8 79.5 77.9 85.1 98.5
同 人件費 26.0 29.5 30.4 25.0 26.4 27.6 26.9 27.1 27.5 28.5 28.4 28.3 30.8 34.4
同 公債費 36.3 33.7 35.1 29.7 25.9 24.3 18.9 15.5 15.9 16.6 17.3 15.2 15.8 14.6
起債借入額 465,700 344,700 325,200 336,200 305,900 325,800 259,960 286,992 370,784 393,620 334,100 304,800 443,100
起債現在高 7,403,796 7,152,567 6,365,364 5,916,556 5,468,340 4,835,762 4,119,708 3,892,471 3,933,514 3,960,390 3,893,806 3,771,911 3,853,796 5,587,650
歳出決算額 5,746,789 5,250,132 8,766,299 8,826,392 8,488,528 8,704,197 8,541,246 7,794,144 7,041,187 5,768,479 5,438,044 5,046,612 6,488,410 4,935,577 6,965,957
決算倍率 歳出決算額/標準財政規模 2.3 2.2 3.5 3.4 3.3 3.5 3.3 2.9 2.6 2.2 2.1 1.9 2.6
職員数 114 113 100 103 103 103 103 103 101 102 102 101 101 100
ラスパイレス指数 98.5 98.2 97.8 95.2 91.9 90.8 91.8 90.1 89.4 89.4 88.9 87.4 87.8
特別交付税 394,527 429,629 530,825 556,220 480,889 484,106 488,463 515,799 523,265 539,125 602,936 610,170 572,056 456,537
基金残高 532,000 2,826,000 4,701,000 4,071,296

以上



四條畷市の将来推計人口

――― 平成14(2002)〜平成37(2025)年 ―――

 

平成16年1月 おおぎたに昭 推計

 

四條畷市議会議員:扇谷 昭 編集

 

日本の将来推計人口

 国立社会保障・人口問題研究所(略称『社人研』)は、20021月に「日本の将来推計人口」を、そして20023月には「都道府県別将来推計人口」を発表した。

 社人研の推計結果では、日本の総人口は2006年にピークの127741千人となり、その後減少し続け、2025年には121136千人とピーク時から約660万人(率にして5.17%)減ると推計する。

 日本は21世紀に入り、有史以来初めて“人口減少の世紀”を迎えることになる。そして、その減少のスタートとなる人口のピークは2年後とすぐそこまで迫っているのである。

 簡単に年齢区分別に見てみよう。

 014歳人口は、1955年に2979万人だったが、1980年には2750万人、そして2000年には1850万人まで減少した。この014歳人口の減少傾向は今後25年間変わらず、2025年には1408万人まで減少すると推計。戦後ピーク時の半分以下になる。

 1564歳人口は、児童人口の減少傾向をそのまま引き継ぐことになる。すでに1997年をピークに減少傾向に入っている1564歳人口(労働力人口)は、2000年の8638万人から2025年には7232万人まで減少すると推計されており、実に人数にして1400万人、率にして16.28%の大幅ダウンとなる見込。このため、労働力人口が総人口に占める割合も、2000年の68.1%から2020年には60%台をきり、2025年には59.7%になると予測される。今後25年間で、8.4ポイントダウンすると見込まれる。

 65歳以上人口は、今後驚異的な伸びが見込まれており、2000年に2204万人(総人口比17.4%)が、2025年には3472万人と、実に1.58倍の増と見込まれており、高齢者人口は総人口の28.7%を占めるに至るとされる。

 結果、2025年には7000万人強の労働力人口、3500万人の老齢人口になると予測されており、“二人が一人を支える社会”に突入するのである。

 

四條畷市の将来推計人口

国立社会保障・人口問題研究所(略称『社人研』)は、『将来の人口規模ならびに男女・年齢別構成は、基準となる人口及び今後の男女・年齢別死亡数ならびに国際人口移動数、更に出生数と出生性比が与えられれば求められる』という。

具体的に、t年の男女年齢別人口から翌t+1年の人口を計算する場合を考えると、まず、すでに生まれている人口については、当該の男女年齢別生存率および国際人口移動数(率)をt年の当てはまる人口に適用することにより、翌t+1年の1歳年長となった人口が求まる。次に、新たに生まれる人口については、女子の年齢別出生率および出生性比を女子人口に乗じて男女別出生数を計算し、これに生存率ならびに国際人口移動数(率)を適用することによってt+1年の満0歳男女人口が求まる。これらを合わせて満t+1年の推計人口とする。

 

今回の将来推計人口算出の基礎データは以下のとおり。

男女年齢別基準人口

 推計の出発点となる基準人口は、平成15年(2003年)41日現在の住民基本台帳法及び外国人登録法に基づく数値である。

女子の年齢別出生率の仮定

 各年次の出生数は、その年に再生産年齢(1549歳)にある女子の生んだ出生数の合計として求める。

 社人研は、年齢別出生率の推計結果として、高位・中位・低位の三つの仮定に基づいて出生率が推計されている。本推計では、社人研発表後の出生率動向を勘案し、中位推計と低位推計の平均値を採用した。その結果、2003年が1.35922025年が1.2842となった。

 出生率の将来推計は、近年の出生動向が前提となる。1950年当時の日本の合計特殊出生率は3%台を保っていたが、その後減少の一途をたどり(唯一の例外はヒノウエウマ年の昭和41年:1966年)、2000年には1.36に至っている。近年における結婚の動向は、晩婚化と非婚化が同時進行しており、加えて夫婦の持つ子ども数の減少=夫婦完結出生児数の減少傾向が顕著で、出生率の回復は難しいと見るのが妥当。

 社人研の高位推計、中位推計とも、数年後には上昇に転じるとの分析結果となっており、低位推計のみが低下を続けると分析する。

出生性比

 過去の出生性比は年次別変動が極めて小さいことから、1996年(平成8年)から2000年(平成12年)の平均値、男:女=105.5100が今後一定と仮定。

生存率の仮定

 将来推計を行うために必要な生存率は、将来死亡率を推定して将来生命表を作成することで仮定する。既存の人口によってすでに経験されている年齢別死亡率を用いる「経験的方法」、既存の死亡率統計の傾向を数学関数によってあてはめ、補外することによって将来の死亡率を推定する「数学的方法」、更にこの二つを折衷した方法によって推計する「リレーショナルモデル法」の3種類の推計方法がある。

 今回の生存率の仮定については、原則として1997年(平成9年)から2003年(平成15年)の7年間の年齢別死亡率を採用。しかし、四條畷市の「年次別・年齢・男女別人口」は、出生・死亡という自然動態と転入・転出という社会動態が混在しているため、純粋な年齢別死亡率でないことが課題として残る。そのため、補完データとして大阪府の「男女・年齢(5歳階級)別生存率」を採用した。

社会動態

 転入・転出に伴い発生する社会増減は、この数年間次のとおり。

年次

転入

転出

社会増減

1997

3,497

3,434

63

1998

3,734

3,339

395

1999

3,242

3,507

265

2000

3,082

3,381

299

2001

3,456

3,256

200

2002

3,091

3,118

27

2003

3,143

2,898

245

 本推計では、社会動態については不確定要素も多く、除外した。

 

四條畷市の人口は2011年をピークに減少する

 推計結果は、下記のとおり。

 四條畷市の人口は、今後2011年まで微増傾向を示し、2011年をピークに下降局面に入ることがわかる。

 014歳人口は、20039091人だが、2006年まで微増した後、減少傾向に転じ、2025年には5578人まで減ることが分かる。人数にして3513人、率にして38.64%の減となり、国の少子化傾向を上回る結果となる。

 1564歳人口は、200339981人だが、減少の一途をたどり、2025年には32770人と、人数にして7211人の減、率にして18.03%の減となる。

 65歳以上人口は、20037753人で、高齢化率は13.64%となっているが、高齢化の傾向は止まらず、2025年には10043人増えて17796人に、高齢化率は18.06ポイント増えて31.70%まで上昇する。今後20数年間、四條畷の高齢化は国水準を上回る水準で進み、2015年に逆転した後、2025年には3ポイント以上上回るものと推計できる。

 分析結果は、国を上回るスピードで四條畷市の少子高齢化が進むことを表しており、この人口構造の変化を踏まえた社会システムの構築が急がれる。

 

納税義務者数も減少の一途

 

 可能性としての納税義務者数を20歳から60歳までの男女と仮定して、その納税義務者数の推移を見てみよう。

 200333914人の納税義務者数は、毎年減り続け、2025年には27788人と、人数にして6126人、率にして18.06%減少することが分かる。

 納税義務者数の推計から判断すると、2002年度の四條畷市一般会計決算によると、個人市民税収は2752147千円となっているので、2025年までの22年間、ほぼ毎年3千万円から2千万円程度減少し続け、2025年には約49700万円減少し、225000万円水準になるものと思われる。

 四條畷市は昭和45年に市制を引いた。

 当時の人口は34,741人、職員数は214人、財政の規模は253700万円だった。

 現在(2003年度)では、人口は1.64倍の57000人、職員数は2.22倍の475人、財政の規模は7倍の178億円になっており、各種の行政サービスは飛躍的に向上したが、旧来型の行政システムを続けてきた結果、行政の肥大化を招いている。

 バブル崩壊後長引く経済の低迷を受け市民生活は大変厳しい状況にあり、一方、国や地方自治体財政も大きな赤字を抱える破綻状態となっている。このような状況下、国から交付を受ける地方交付税や補助金は今後の増収が期待できない中、自前収入も大変厳しいことが分かる。自立した自治体経営の基盤作りが急務である。

 本稿が、四條畷の自立する自治体作りの一助となることを願っている。


●四條畷市の将来推計人口
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
人口総数 56,825 56,923 57,023 57,125 57,225 57,281 57,295 57,357 57,371 57,348 57,285 57,187 57,157 57,098 57,007 56,894 56,759 56,699 56,617 56,502 56,359 56,193 56,144
28,221 28,247 28,293 28,320 28,346 28,351 28,334 28,345 28,328 28,290 28,231 28,151 28,107 28,047 27,969 27,878 27,778 27,721 27,649 27,557 27,448 27,328 27,286
28,604 28,676 28,729 28,805 28,879 28,930 28,961 29,012 29,043 29,057 29,054 29,037 29,050 29,051 29,038 29,015 28,982 28,979 28,968 28,945 28,911 28,865 28,859
社会増減
自然増減 98 99 102 100 56 14 62 14 -23 -63 -97 -31 -59 -91 -113 -134 -60 -82 -115 -143 -166 -49
出生 650 614 594 572 546 519 493 464 441 420 402 385 374 365 359 355 353 350 351 353 355 356
死亡 551 515 493 471 490 505 431 450 464 483 499 416 432 456 472 490 414 433 466 496 521 405
合計特殊出生率 TFR 1.3592 1.3592 1.3142 1.3142 1.3142 1.3142 1.3142 1.3042 1.3042 1.3042 1.3042 1.3042 1.2992 1.2992 1.2992 1.2992 1.2992 1.2892 1.2892 1.2892 1.2892 1.2892 1.2842
人口構成
0-14 9,091 9,146 9,206 9,226 9,215 9,159 9,087 8,973 8,814 8,615 8,405 8,139 7,883 7,578 7,281 7,038 6,752 6,500 6,263 6,049 5,863 5,704 5,578
4,679 4,706 4,761 4,777 4,770 4,743 4,688 4,629 4,538 4,419 4,318 4,181 4,060 3,906 3,735 3,601 3,455 3,327 3,206 3,096 3,001 2,920 2,858
4,412 4,439 4,445 4,449 4,445 4,417 4,399 4,344 4,277 4,196 4,087 3,957 3,823 3,672 3,546 3,437 3,297 3,173 3,057 2,953 2,862 2,784 2,720
15-64 39,981 39,645 39,176 38,629 38,038 37,499 36,961 36,572 36,339 35,899 35,256 34,630 34,194 33,909 33,664 33,471 33,363 33,269 33,206 33,135 33,062 32,901 32,770
20,163 19,981 19,707 19,407 19,095 18,829 18,568 18,388 18,275 18,061 17,732 17,480 17,259 17,133 17,038 16,950 16,886 16,831 16,783 16,739 16,697 16,611 16,544
19,818 19,664 19,468 19,222 18,944 18,670 18,393 18,184 18,065 17,839 17,525 17,150 16,935 16,776 16,625 16,521 16,477 16,438 16,423 16,397 16,365 16,290 16,226
65- 5,006 5,243 5,586 6,046 6,550 6,938 7,314 7,546 7,608 7,824 8,170 8,602 8,760 8,706 8,531 8,272 7,975 7,757 7,617 7,243 6,657 6,108 5,737
2,482 2,606 2,772 3,013 3,275 3,462 3,648 3,756 3,772 3,873 4,037 4,189 4,262 4,214 4,119 4,009 3,875 3,800 3,752 3,577 3,302 3,107 2,955
2,524 2,637 2,814 3,032 3,275 3,476 3,666 3,791 3,836 3,951 4,133 4,413 4,498 4,492 4,412 4,263 4,100 3,957 3,864 3,666 3,355 3,001 2,782
75- 2,747 2,890 3,054 3,224 3,422 3,685 3,933 4,266 4,610 5,009 5,454 5,817 6,319 6,905 7,531 8,114 8,669 9,174 9,531 10,074 10,777 11,480 12,059
897 954 1,053 1,123 1,206 1,317 1,430 1,573 1,744 1,937 2,145 2,300 2,527 2,794 3,077 3,318 3,561 3,762 3,908 4,145 4,448 4,691 4,929
1,850 1,936 2,001 2,101 2,215 2,367 2,503 2,694 2,865 3,072 3,309 3,517 3,792 4,111 4,454 4,795 5,108 5,411 5,623 5,929 6,329 6,790 7,131
人口構成率
0-14 16.00% 16.07% 16.15% 16.15% 16.10% 15.99% 15.86% 15.64% 15.36% 15.02% 14.67% 14.23% 13.79% 13.27% 12.77% 12.37% 11.90% 11.46% 11.06% 10.71% 10.40% 10.15% 9.94%
8.23% 8.27% 8.35% 8.36% 8.34% 8.28% 8.18% 8.07% 7.91% 7.71% 7.54% 7.31% 7.10% 6.84% 6.55% 6.33% 6.09% 5.87% 5.66% 5.48% 5.32% 5.20% 5.09%
7.76% 7.80% 7.80% 7.79% 7.77% 7.71% 7.68% 7.57% 7.45% 7.32% 7.13% 6.92% 6.69% 6.43% 6.22% 6.04% 5.81% 5.60% 5.40% 5.23% 5.08% 4.95% 4.84%
15-64 70.36% 69.65% 68.70% 67.62% 66.47% 65.46% 64.51% 63.76% 63.34% 62.60% 61.55% 60.56% 59.83% 59.39% 59.05% 58.83% 58.78% 58.68% 58.65% 58.64% 58.66% 58.55% 58.37%
35.48% 35.10% 34.56% 33.97% 33.37% 32.87% 32.41% 32.06% 31.85% 31.49% 30.95% 30.57% 30.20% 30.01% 29.89% 29.79% 29.75% 29.68% 29.64% 29.62% 29.63% 29.56% 29.47%
34.88% 34.54% 34.14% 33.65% 33.10% 32.59% 32.10% 31.70% 31.49% 31.11% 30.59% 29.99% 29.63% 29.38% 29.16% 29.04% 29.03% 28.99% 29.01% 29.02% 29.04% 28.99% 28.90%
65- 8.81% 9.21% 9.80% 10.58% 11.45% 12.11% 12.77% 13.16% 13.26% 13.64% 14.26% 15.04% 15.33% 15.25% 14.97% 14.54% 14.05% 13.68% 13.45% 12.82% 11.81% 10.87% 10.22%
4.37% 4.58% 4.86% 5.27% 5.72% 6.04% 6.37% 6.55% 6.57% 6.75% 7.05% 7.33% 7.46% 7.38% 7.23% 7.05% 6.83% 6.70% 6.63% 6.33% 5.86% 5.53% 5.26%
4.44% 4.63% 4.94% 5.31% 5.72% 6.07% 6.40% 6.61% 6.69% 6.89% 7.21% 7.72% 7.87% 7.87% 7.74% 7.49% 7.22% 6.98% 6.83% 6.49% 5.95% 5.34% 4.96%
75- 4.83% 5.08% 5.36% 5.64% 5.98% 6.43% 6.86% 7.44% 8.03% 8.73% 9.52% 10.17% 11.06% 12.09% 13.21% 14.26% 15.27% 16.18% 16.83% 17.83% 19.12% 20.43% 21.48%
1.58% 1.68% 1.85% 1.97% 2.11% 2.30% 2.50% 2.74% 3.04% 3.38% 3.74% 4.02% 4.42% 4.89% 5.40% 5.83% 6.27% 6.64% 6.90% 7.34% 7.89% 8.35% 8.78%
3.26% 3.40% 3.51% 3.68% 3.87% 4.13% 4.37% 4.70% 4.99% 5.36% 5.78% 6.15% 6.64% 7.20% 7.81% 8.43% 9.00% 9.54% 9.93% 10.49% 11.23% 12.08% 12.70%
世帯数
65歳以上 人数 7,753 8,133 8,641 9,269 9,972 10,623 11,247 11,812 12,218 12,833 13,624 14,418 15,079 15,611 16,062 16,385 16,644 16,931 17,148 17,317 17,434 17,588 17,796
13.64% 14.29% 15.15% 16.23% 17.43% 18.54% 19.63% 20.59% 21.30% 22.38% 23.78% 25.21% 26.38% 27.34% 28.18% 28.80% 29.32% 29.86% 30.29% 30.65% 30.93% 31.30% 31.70%



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