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【国際】

ブット元首相暗殺 パキスタン首都近郊の選挙集会で

2007年12月28日 00時11分

 【ラワルピンディ27日共同】パキスタンの首都イスラマバード近郊ラワルピンディで27日、来年1月の総選挙に向けたベナジル・ブット元首相(54)の集会会場付近で自爆テロが発生、ブット氏が暗殺された。フランス公共ラジオによると、同国内務省報道官が死亡を確認した。集会の参加者ら少なくとも20人も死亡した。

 イスラム過激派の活発化などで政権基盤が揺らいでいたムシャラフ大統領は総選挙を控え、民主化の象徴として国民の支持を集めるブット氏との連携で安定化を画策。だが、ブット氏の死亡で政局混迷に拍車がかかるのは避けられない情勢だ。

 民放ジオ・テレビは、ブット氏は警官が発砲した銃弾を受けたと報じた。AP通信は党警備関係者の話として、ブット氏は自動車に乗り込む際に首と胸を撃たれ、銃撃犯がその後、自爆したと報道、情報は錯綜(さくそう)している。

 フランス公共ラジオによると、パキスタン内務省報道官は、自爆テロの犯人が散弾のような小型の球を詰め込んだ殺傷力の強い爆発物を用いたと述べた。

 ブット氏はイスラム圏初の女性首相に就任した経歴で知られる野党パキスタン人民党(PPP)総裁。約8年半に及ぶ事実上の亡命から帰国した直後の10月19日には、南部カラチで暗殺未遂の自爆テロに襲われた。11月3日の非常事態宣言で事実上の戒厳令を敷いたムシャラフ氏を「独裁者」と呼んで反発を強めたが、全面的対立は控えていた。

 軍部のクーデター後の1979年に処刑された故ズルフィカル・アリ・ブット元首相の長女で、88年の選挙では民主化運動を主導しPPPが圧勝、イスラム圏初の女性首相に就任した。

 首相を2期歴任したが、99年に在任中の汚職で有罪判決を受け、英国やアラブ首長国連邦などで事実上の亡命生活を送っていた。今年10月、汚職の訴追が大統領令で取り下げられたことを受け帰国した。

 

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