ここから本文エリア

現在位置:asahi.com>関西>ニュース> 記事

教育論で激突、暮らし向上に三様 知事3候補初顔合わせ

2007年12月27日

 「私の考えとは決定的に違う」と橋下徹氏が言えば、熊谷貞俊氏は「教育への無理解だ」と詰めより、梅田章二氏が「競争をあおりすぎだ」と切り返す――。3氏の初顔合わせは、時に激しい言葉の応酬となる白熱した論戦になった。特に子供の教育や府民の暮らしをめぐるテーマでは3氏のぶつかり合いに。33年ぶりに主要政党の対決となった大阪府知事選。来年1月10日の告示を前に、早くも本番さながらの様相だ。

写真熊谷貞俊氏
写真橋下徹氏
写真梅田章二氏

 「好きなことだけをしていて、社会へ出ていけるのか」。教育者でもある熊谷氏が、顔を紅潮させて橋下氏にかみついたのは子供の教育論だ。

 今秋、公表された全国学力調査で大阪府の小中学生は教科によっては全国45位だった。橋下氏は「まったく悲観していない。何を大騒ぎしているのか」と発言、「英数国理社は二の次。やりたいことをやればいい」などと持論を展開した。

 我慢ならなかったのは熊谷氏。政策ビジョンで、大阪の学力を日本のトップ5にすることを掲げたばかり。「どんな競争にも打ち勝つ基礎学力を強めないといけない」と反論し、「学校で充実した勉強ができる環境を整えるのが府政の役目」と切り返した。少人数学級の推進を掲げる梅田氏も「ほったらかしでは、負け組の子供たちはそのまま貧困を背負っていく」と指摘した。

 歯切れの良さが際だったのが、テレビ出演が豊富な橋下氏だ。

 「決定的なビジョンの違いを話したい」。橋下氏がそう切り出したのは、熊谷氏が企業誘致や中小企業支援などを軸に物流のネットワークで産業振興をはかると説明したときだった。「府民所得のアップで生活基盤を安定させる」という熊谷氏に対し、「産業の総生産を上げ、府民の所得を上げることは行政には不可能」と断言した。

 財政再建についても「府庁の抵抗と戦うエネルギーさえあれば中学生でもできる」と強調。46の指定出資法人を見直せば毎年の委託料・補助金約500億円が浮くと説明。維持管理に180億円かかる府営住宅13万戸についても「市に全部任せればいい」。

 核武装や徴兵制をめぐる過去の発言については「私人の立場での話芸。公職の立場ではそうした表現や考え方はとれない」と語った。

 落ち着いた語り口の梅田氏の言葉に力が入ったのはセーフティーネットの議論だ。「障害者施設で働く人の多くはボランティア。正規で働いても年収200万〜300万」としたうえで、「社会保障制度は崩壊し始めている。責任は国にある。知事として国に医療制度や障害者制度をきっちりやれと言うことが必要だ」と訴えた。

 前回知事選で太田知事に約100万票差をつけられたことには「私が一番早い9月に出馬表明した。マニフェストは街頭で人気があり、府民の期待感は高い」と強調した。

PR情報

このページのトップに戻る