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わたしは、贈ります。
父に憧れて書いた年賀状
──坂本さんが生まれてはじめて他人に出した手紙は、年賀状じゃありませんでした?
坂本 あ、そうかもしれませんね。
──もちろん小学生の時だと思いますが…。
坂本 はい。一、二年でしょうか。
──どういう年賀状を書いたか覚えていらっしゃいますか? たとえば干支の絵を描いたとか。
坂本 うーん、あまり記憶にないです。絵を描いたか、あるいはイモ版のようなものをつくったかも(笑)。
──年賀状を書く、あるいはつくる作業は小学生の坂本さんにとって、冬休みの愉しみのひとつでしたか?
坂本 愉しみってことは……。かといって義務でもなかった。ただ、父(三島由紀夫らを手がけた高名な編集者・坂本一亀(かずき)氏)がしていた年賀状書きと同じことをして、おとなに近づく感じはあったかもしれませんね。
おとなは年末年始には年賀状を書くもの、というイメージがあったんでしょうか。それがおとなの正月の過ごし方というか、そのころはそんなふうにとらえていた気がします。
友達と枚数を競った年賀状
──その頃は、クラスの好きな女の子に年賀状を出したりしました?
坂本 ……えーと(笑)、好きな女の子がいても、その子向けの特別な年賀状は書かないで、あえてほかの子と同じ内容にする。そうするとバレないという(笑)。
──自分あてに届いた年賀状について、印象に残っているものはありますか?
坂本 たぶん子どものころは、内容よりも量、枚数ですね。父にはこれぐらい(と指で15センチぐらいの幅を示す----もっとかな? 30cmぐらい?)届くのに、自分はこれっぽっち(1センチぐらい)。だからもっと増やしたい、と。それもおとなに近づきたいということだったんでしょうか。 それで、三学期に学校へ行って「お前何枚もらった?」「おれなんかこんなだぜ」みたいな(笑)。
それで、三学期に学校へ行って「お前何枚もらった?」「おれなんかこんなだぜ」みたいな(笑)。
あと最近でいうと、相変わらず多い家族の写真の年状なんですけど、子どもがだんだん大きくなって、家族が減っちゃって夫婦と犬だけだったりすると印象に残る(笑)。がんばってねっていう気になります。
パソコン、メールと年賀状
坂本 母が近年、パソコンを覚えまして、まあ私が勝手に送りつけたんですけど。それを使って、年賀状をつくってますね。自分で撮ったデジカメの画像を取り込んで、干支の絵を描いたりして、年賀はがきにプリントしてますよ (坂本さんのお母さまは元帽子のデザイナー)。
──それはすてきですね。一方パソコンというと、最近メールでの年賀状が増えましたが。
坂本 あー(笑)。年賀状に限らず、時候のあいさつや誕生日だとかに、イラストなどが入ったポストカードふうのメールが増えましたね。あれはちょっと……。
──イラストが入っているとメールの容量が大きくなりますよね。
坂本 それでも絵心がある人が自分で描いているのならまだしも、たいていは出来合いのものを選んだだけのものですし。ときには音楽付きのメールが来たりします。
──えっ、坂本さんに音楽付きのメールを? チャレンジャーですねえ。
坂本 ところがそれも出来合いの音楽を適当につけたものなんですよ。こちらは音楽家ですからね。 「気をつけろ」って言いたい(笑)。
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