政府や警察庁は、日本で犯罪が急増し、日本は治安の危機にあると激しいキャンペーンを展開していることから、その実体を「警察白書」「犯罪白書」などから角田富夫が分析し、日本は「治安の危機」「治安の悪化」といわれるような状況にはないことを証明した文書を2004年1月15日〜19日に「[privacy 1945] 日本は「治安の危機」といわれる状況にはない(1)」、 「[privacy 1948] 日本は「治安の危機」といわれるような状況にはない(2)」「[privacy 1949] 日本は「治安の危機」といわれる状況にはない(3)」を公開した。全文転載可能ということから、これは警察危機を隠蔽するものであるとともに、警察官増員、警察権限強化、警察の更なる国家警察化を意図する政府や警察庁による一種の情報操作といえるため、ここに掲載する。
日本は「治安の危機」「治安の悪化」といわれるような状況にはない。
政府や警察庁は、日本で犯罪が急増し、日本は治安の危機にあると激しいキャンペーンを展開している。
自民党は5年以内に「治安の危機的状況から脱却」する、そのために「5年で不法滞在外国人を半減」「空き交番ゼロ」にするなどとし、また警察庁は昨年8月「緊急治安対策プログラム」を発表し、冒頭「平成14年の刑法犯認知件数は285万3739件と7年連続で戦後最多を記録し、刑法犯検挙率は過去最低の水準となっている」とし、危険水域にある治安回復のために3年程度で「日本の誇る治安の復活」をはたすとしている。
日本は「治安危機」といえるような状況にあるのであろうか。
警察白書、犯罪白書を検討した結果の結論は、否!である。
警察白書(警察庁)、犯罪白書(法務省)の統計などからいえることは、日本で犯罪が増えていることは確かだが、大きな意味で犯罪動向に変化はなく「治安の危機」「治安の悪化」といわれるような状況にはないということである。
警察白書の認知件数が7年増加し、ついに犯罪認知件数が285万台に達したと聞かされれば、誰でも驚くであろう。
この警察発表の問題点を明らかにするため、戦後の日本の犯罪状況はどうであったのか
から話をすすめることにする。
誰もが、刑法犯の何年度の認知件数が〇〇〇〇〇〇〇といわれてもピンとこないであろう。
そこでまず日本の犯罪状況を人口10万人当りの犯罪の発生率からみてみることとする。発生率とは、人口10万人当りの犯罪の認知件数である。この率を犯罪白書では発生率といい、警察白書では犯罪率といっている。警察白書のなかの「犯罪情勢と捜査活動」という章のなかで取り上げている統計の最初に必ず「人口10万人当りの主要罪種別犯罪率の推移」があげられている。要するに警察も犯罪率を重視しているということである。
1、人口10万人当りの犯罪の発生率
人口が増えれば基本的に犯罪も増加する、といってよい。その場合、刑法犯の認知件数だけをみても犯罪状況を的確にとらえることはできないが、発生率ならば、人口の増減に関係なく犯罪状況をとらえられる、といってよい。各国もそうした意味で発生率を重視している。
まず人口10万人当りの犯罪の認知件数をみてみる。
確かに、現在、犯罪の認知件数は増えているが、重要犯罪は長期的にみれば減少傾向にあるということである。
まず重要犯罪といわれる兇悪犯(殺人、強盗、放火、強姦)、粗暴犯(器準備集合、暴行、傷害、脅迫、恐喝)の犯罪状況をみてみる。
統計資料は警察白書(昭和50、54、59年版、平成1、6、11、15年版)による。
昭和40、49、58、平成6、14年を比較してみよう。最初を昭和40年としたのは、警察白書の中の統計資料は昭和40年からしか見当たらないからである。
昭和40、49、58、平成6、14年を比較すると次のようになる。
凶暴犯総数 14.6→8.9→6.8→5.9→9..9
内訳
殺人 2.3→1.7→1.5→1.0→1.1
強盗 4.0→2.0→1.9→2.2→5..5
放火 1.5→1..6→1.8→1.4→1..4
強姦 6.8→3.6→1.6→1.3→1..9
粗暴犯総数 146.9 →71.7→42.9→29.2→60.1
内訳
凶器 0.1→ 0..2 → 6.1→ 0.0→ 0..0
暴行 44.9→22.1 →11.7→ 4.9→15..3
傷害 59.7→34.4 →20.0→14.5→28..5
脅迫 6.3→ 2.4 → 1.1→0.8→ 1.9
恐喝 35.9→12.6 →20.0 →9.0→14.4
窃盗犯 1045.5→927.3→11175→1250.7→1866.2
以上から明らかなように、兇悪犯、粗暴犯の人口10万人当りの発生率は最近は増加傾向にあるが、長期的にみれば明らかに減少傾向にある。脅迫犯、粗暴犯のなかで昭和40年段階の発生率を超えたのは強盗だけである。
それに比して窃盗犯だけは年々増加傾向にある。
(因みに、殺人の認知件数のピ-クは昭和29年の3,081件でそれ以降は減少にあり、平成3年の1,215件で底を打ったが,その後は横ばいで推移し、平成14年には1396件となっている。強盗の認知件数は,昭和23年の1万854件をピークに減少し,平成元年には1,586件と底を打ったが、以降増加し、平成14年には6984件になっている)要するに、兇悪犯、粗暴犯の人口10万人当りの犯罪の発生率は、平成14年段階では昭和40年段階と比較して明らかに減っていると言うことである。凶暴犯総数 は14.6→9..9 、粗暴犯146.9 →60.1である。
窃盗犯は1,045.5→1866.2と増加している。
2、欧米との比較
これを欧米諸国と比較してみる。そうすれば日本の治安状況がいかに安定しているか明確になろう。
平成14年版犯罪白書の「資料1-13 5か国における主要な犯罪の認知件数・発生率」「資料1-14 5か国における殺人・窃盗の認知件数・発生率」をみれば一目瞭然である。というのは先にあげた平成14年版犯罪白書の発生率(1988年から2000年)を見れば明らかなように、日本の治安状況がフランス、ドイツ、イギリス、アメリカと比較してよいことは明らかである。
殺人について1988年におけるフランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、日本を比較してみると、
フランスの1年間の認知件数2567、人口10万人当りの発生率4.6
ドイツの1年間の認知件数2543、人口10万人当りの発生率4.1
イギリスの1年間の認知件数992,人口10万人当りの発生率2.0
アメリカの1年間の認知件数20675、人口10万人当りの発生率8.5
日本は1年間の認知件数1476、人口10万人当りの発生率1..2
であり、認知件数、発生率とも低い。認知件数はイギリスにつぐが、発生率は一番低い。
これが2000年では
フランスの1年間の認知件数2166、10万人当りの発生率3.7
ドイツ1年間の認知件数2860、人口10万人当りの発生率3.5
イギリス1年間の認知件数1558、人口10万人当りの発生率2.9
アメリカ1年間の認知件数15517、人口10万人当りの発生率5.5
日本1年間の認知件数1462、人口10万人当りの発生率1.2
と日本が認知件数、発生率とも一番低い。この傾向は現在でも基本的に変わらない。
窃盗も同様である。日本は、殺人事件についても、窃盗事件についても主要国の中で認知件数、発生率とも一番低い。それは「5か国における主要な犯罪の認知件数・発生率」においても同様である。
日本で犯罪が増えてきていることは事実である。主にふえているのは窃盗犯の増加であり、この増加が犯罪認知件数の増加と検挙率の低下をもたらしている。兇悪犯といわれる犯罪のなかでは強盗が増えている。この窃盗、強盗の増加は、バブルの破綻、長期的な経済不況というなかで生起しているといってよい。
どこの国でも、殺人、強盗、傷害、放火などの重要犯罪に捜査の重点をおいている。
これらの犯罪の認知件数、発生率がほかの五か国と比較して日本は低いということは犯罪動向は基本的に安定的ということができる。
3、体感治安について
この間体感治安の悪化ということがいわれているが、人口10万人当りの犯罪の発生率ということで考えれば、重要犯罪はこの昭和40年から平成14年の37年間で長期的には減少傾向にあり、窃盗は約2倍になっているが、大きな意味での変化はない。人口10万人当りの犯罪の発生率で犯罪動向の大きな変化がないのに、なぜ体感治安の悪化ということがいわれるのか。それはマスメディアの影響にによるということであろう。報道が頻繁に、しかも刺激的に取りり上げるによって発生率の大きな変化はないにもかかわらず、犯罪が急増し、身の回りの周辺で頻発しているかの感覚をもたらせられるにいたっているということである。
では、なぜこの10年間の犯罪の認知件数が増加し、検挙率が急激に低下したのであろうか。
結論的にいえば、二つの要因があると思われる。
一つは、バブル崩壊、長期的不況の影響による窃盗、強盗の増加であり、もう一つは、80年代後半に顕在化し、90年代を通して全面化した警察危機の進行である。
確かに、バブル崩壊、不況の長期化の中で、窃盗犯罪、強盗などがふえているのであろう。
それは統計からも読み取ることができる。
しかし、犯罪動向に大きな変化がないのに、なぜこれほど「治安悪化」「治安危機」キャンペーンがくりひろげられているのであろうか。
それは、昭和63年から平成1年にかけておこなわれた、警察の犯罪捜査の方向の路線転換とその破綻の結果によるものであると考えられる。
この時期、世界に検挙率の高さを誇ってきた日本の警察は、刑法犯全体の検挙率にこだわらないという一つの大きな転換をおこなった。それは、70年代、80年代の警察が蓄積してきた矛盾が、まず犯罪捜査能力の後退、刑事警察の危機としてあらわれたことによると思われる。
それは、警察白書の統計が雄弁に物語っている。
まず刑法犯認知件数、検挙率をみてみる。
1、昭和40年〜昭和63年までの認知件数、検挙率について
昭和40年〜昭和63年までとしたのは、警察白書にはそこまでしか統計資料が出ていないという単純な理由と平成1年以降との比較のためである。
というのは、明らかに平成1年以降、警察庁は犯罪対策の方向を転換したからである。
警察の方針転換前の昭和40年から63年の犯罪動向をまずみてみることとする。
これを昭和40年、45年、50年、55年、60年、63年でみてみる。
昭和40 →45→50→55→60→63
刑法犯認知件数
1343625→1279787→1234307→1357461→1607697→1641310
検挙率
60.5→55.5→57.8→59.8→64.2→59.8
凶悪犯総数
14279→11423→9702→8516→7425→6582
検挙率
92.0 → 89.4 → 89.0 →86.9 →89.5→ 87.0
粗暴犯総数
144371→105714→73198 →52307 →48495 →44814
粗暴犯検挙率
94.8 → 90.0 →91.5 →92.2→92.7→89.2
窃盗犯総数
1027473→1039118→1037942→1165609→1381237→1422355
窃盗犯検挙率
50.1→47.5 →51.6 → 55.0 → 59.9 → 55.7
全体の流れを見れば明らかなように刑法犯認知件数は増加傾向にある。その増加が窃盗犯の増加によることは明らかである。
重要犯罪といわれる兇悪犯、粗暴犯件数は明らかに大きく減少している。検挙率は90パーセントで推移。
窃盗犯は増加しているが、検挙率はさがることなく上昇し、60年には60パーセント近くになっている。(知能犯や「その他の刑法犯」は略)
全体として昭和40年から63年は重要犯罪は減少傾向にあり、治安は良好であったといえる。兇悪犯、粗暴犯の件数は平成1年から3、4年にかけて戦後最も少ない時期を迎えるにいたる。
2、だがこうした一見治安が良好に見える中で、警察庁は平成1年から犯罪対策の方向を大きく転換することになる。それは重要犯罪対策最優先路線ともいいうる方向への転換であった。
その結果について平成2年版警察白書は「犯罪情勢と捜査活動」で次のように述べている。
「元年の刑法犯検挙件数(注1)は77万2,320件、検挙人員(注2)は31万2,992人で、前年に比べ、検挙件数は20万9,845件(21.4%)、検挙人員は8万5,216人(21.4%)それぞれ減少した。なお、検挙人員には、触法少年を含まない。この減少の主な原因は、窃盗犯、特に自転車盗、万引き等の大幅な減少によるものであるが、これは、被害意識の希薄な事案の捜査等を合理化し、地域住民が不安を感じ、その解決を期待する犯罪の捜査に重点を置く方針をったことなどの理由によるものと認められる。」(平成2年版)
平成1年の認知件数は1673268でそれほど増えているわけではない。約3万件の増加である。
しかし、検挙件数が約20万減少、検挙率が46.2パーセントで約13パーセントの減少となっている。検挙率が40パーセント台に落ち込んだのは戦後はじめてのことであった。この検挙率の低下は、窃盗犯検挙率の低下によるものである。窃盗犯検挙率は55.7から41.7パーセントと14パーセント減少した。
減少した検挙件数20万のうち17万件は窃盗犯罪である。
警察は、こうした結果がでることを予想していた。
なぜ、この時期に警察は、こうした転換をしたのか、そして、それはいかなる結果をもたらしたのであろうか。
警察庁の政策転換はなぜおこなわれたのか。
1、一見治安が良好に見える中で、なぜ平成1年に警察庁の転換がおこなわれたのであろうか。
昭和40年から63年は基本的に重要犯罪といわれる兇悪犯、粗暴犯は減少傾向にあり、平成1年から3、4年頃は戦後最低の水準をむかえた。
窃盗犯は増加傾向にあったが、検挙率は上昇し、昭和62年には60パーセントをこえるにいたった。
こうしたなかで重要犯罪最優先路線への転換がおこなわれたのである。この転換は、警察白書によれば「被害意識の希薄な事案の捜査等を合理化」する、要するに手を抜き、重要犯罪捜査にポイントを置くというものであった。
なぜそうしなければならなかったのか。
統計からみると、兇悪犯、粗暴犯といわれる重要犯罪の検挙率は、90パーセント前後を推移していたが、犯罪件数が減少しながら、検挙率は上昇せず、明らかに犯罪捜査における捜査力の低下、刑事警察の危機という問題に直面していたと考えられる。
警察庁次長通達として「職務質問の適性化」がだされ、地域警察に対して、警備の犯罪の摘発より、重要犯罪の検挙の重点をおくよう指示がだされている。
この転換の結果が、平成2年版警察白書の報告としてあらわれた。
この転換は、世界に検挙率の高さを誇ってきた日本の警察からすれば、大転換であったたといえる。
検挙率至上主義の「放棄」ともいえるものだったからである。それしか、警察の捜査能力の低下、刑事警察の危機は突破できないところまできていたということであろう。
因みに、平成2年版警察白書からそれまで統計資料の「刑法犯罪種別検挙率の推移」に必ず記載されていた刑法犯総数の検挙率が削除された。平成2年の白書からは、兇悪犯、粗暴犯などの罪種別検挙率のみが記載されるようになっている。
刑法犯総数の検挙率が警察白書の「刑法犯罪種別検挙率の推移」に記載されるのは平成14年版警察白書からである。警察は、それまで白書では取り上げもしなかった刑法犯総数の検挙率の低下を治安危機の一つとしてキャンペーンしはじめるのである。
2、それではこの転換は、成功したのであろうか。否!である。
昭和63年から平成5年までのながれをみてみる。
昭和 63 平1 2 3 4 5
刑法犯認知件数総数
1641310 →1673268 →1636628 →1707877 →1742366 →1801150
検挙件数
982165 →772320 →692593 →654538 →636290 →732610
検挙率
59.8 → 46.2 → 42.3 → 38.3 →36.5 → 40.2
凶悪犯総数
6582 → 5899 →5930 → 6014 → 6388 → 7064
凶悪犯検挙率
総 計
87.0 → 84.6 → 83.8 → 82.9 → 80.6 → 89.3
粗暴犯総数
44814 → 39941 → 37899 → 35824 → 36630 → 37085
粗暴犯検挙率
89.2 → 85.4 → 84.1 → 81.7 → 79.3 → 80.3
窃盗犯総数
1422355→ 1483590 → 1444067 → 1504257→ 1525863 → 1583993
窃盗犯検挙率
55.7 → 41.7 → 37.2 → 32.8 → 30.7 → 34.9
平成1年から4年にかけて兇悪犯、粗暴犯、窃盗犯とも検挙率が急激に減少している。
窃盗犯の減少は「効率化」のために手を抜いたのだから当然である。問題は、地域警察(交番など)もふくめて重要犯罪捜査に投入しながら、しかも重要犯罪の件数が最も少なかったこの時期に検挙率の低下が更に進行したことである。
この流れは凶悪犯罪についてはいったんとまり、平成5年から7年までは上昇するが、平成8年以降再び低下していく。粗暴犯のそれは一貫して低下している。
警察の捜査能力の低下、刑事警察の危機が深く進んでいたことは明らかである。
「検挙こそ犯罪の抑止」という警察の立場からみれば、警察組織、警察のあり方にこそ、検挙率低下の最大の原因があったということである。
これは、明らかに公安警察、行政警察優先で突き進んできた日本の警察の矛盾が捜査能力の低下、刑事警察の危機として爆発したものといえる。
3、平成10 年頃を転機とする刑法犯認知件数の急増、検挙率の低下について平成1年以降、日本警察は重要犯罪捜査最優先で取り組んできたが、兇悪犯、粗暴犯の検挙率は低下し続けている。
その場合、重要なことは、凶悪犯、粗暴犯などの件数が増えているが、急増しているわけではないことである。
警察は、平成1年以降重要犯罪捜査に重点をおいた捜査へ転換したが、捜査能力の後退、刑事警察の危機という構造的問題を抱え込んだまま、神奈川県警・新潟県警不祥事事件、市民から激しい批判をあびた桶川事件などに直面した。
第一線の警察官の士気は沮喪し、警察中枢は激しいい批判の前に、動揺し、警察に激震がはしった。
これら一連の事態が、重要犯罪の検挙率の更なる低下の最も大きな原因となったと考えてよい。
重要なことは、市民の警察不信が頂点にあった頃から刑法犯認知件数が増加していることである。
4、認知件数の増加について
平成10 年頃からの刑法犯認知件数の急増については、既に多く指摘されているように警察不祥事、桶川事件以降、激しい市民の批判をあびた警察が、それまで刑法犯として認知しなかった被害届などを事件として積極的に受理するようになったことによると考えられる。いままで事件として取り上げられなかったものが、取上げられるようになったということである。
確かに、長期不況の結果、窃盗、強盗などが増えたことは疑いないと思われる。しかし、平成10 年以降の犯罪認知件数の急激な増加は統計に疑問が残り、信用できない。
それは、平成1年以降の政策転換以来、警察白書の統計から削除してきた刑法犯総数の検挙率を平成14年の白書から突然復活したことと通ずる問題といえる。
結論。
日本は「治安危機」という状況にはない。確かにバブル崩壊、不況の長期化によって窃盗、強盗などが増えていると思われる。しかし、それは「治安危機」というようなものではない。
叫ばれている治安危機キャンペーンの核心は、警察危機そのものにあるといえる。
問われているのは警察の改革であり、警察官増員や権限強化ではない。
治安危機キャンペーンは、警察危機を隠蔽するものであるとともに、警察官増員、警察権限強化、警察の更なる国家警察化を意図する以外のなにものでもない。