JR東海が25日、リニア中央新幹線を自己負担で整備する方針を示した。県内自治体からは早期開業への期待感の一方、同社が南アルプスを貫通する「直線ルート」を想定している−と説明したことには「沿線の要望と異なる」と強い反発の声が出ている。
県や自治体でつくる「リニア中央エクスプレス建設促進県協議会」は、これまで、一貫して諏訪地方から伊那谷を通るBルートでの建設を求めてきた。だが、JR側が想定するルートでは諏訪地方は通過しないことになる。事務局の県交通政策課は「地方の協力なくしてあり得ない事業のはずだ」と不快感を示す。
山田勝文・諏訪市長も「県を挙げてBルートを求めてきたので心外だ。今後も、県内の広い範囲に経済波及効果をもたらすこのルートでの建設を要請していく」と強調。小坂樫男・伊那市長も「県と協力し、上伊那を通る路線を要望していきたい」とする。
一方、JRの自己負担方針について、牧野光朗・飯田市長は「実現に向けて一歩踏み込んだ発言として受け止めている」と評価。「早期着工と駅の設置に向けて、要請活動を粛々と進めていく」と話した。
JR方針について国土交通省は「リニアは、国土の骨格を形成する国家的プロジェクト。関係自治体とも十分に相談して進める必要がある」(幹線鉄道課)としている。