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社説

教育再生会議 役割は終わったのでは(12月26日)

 政府の「教育再生会議」が第三次報告をまとめた。学力向上策としての理数教育充実、六・三・三・四制の学校制度の見直し、「道徳」の教科化などが柱だ。

 子どもに学力や規範意識を身につけさせるという提言の狙いは、間違いではないだろう。問題はそのやり方だ。

 再生会議が、今の教育のどこに問題があるのかをデータで明らかにし、対策を模索した形跡はない。政策の効果がどの程度なのかも判然としない。

 提言の実現性や実効性があいまいでは、公教育の再生はおぼつかない。

 学力向上が重要だと強調しながら、「できる子」への対策が並び、「そうでない子」への目配りが欠けている点でも不満が残る。

 再生会議のメンバーには元スポーツ選手、エッセイスト、財界人など教育問題の素人が大半だ。

 専門家でない人が、教育について独自の発想や意見を述べることが悪いわけではない。だが、その提言には実現性に疑問符がつく内容が散見される。

 例えば、六・三・三・四制の見直しのためには、義務教育課程のカリキュラム編成のあり方や高等教育の内実に関する吟味が不可欠だ。

 これを怠って、いきなり小中一貫校の制度化や「飛び級」の検討を促すという提言には無理がある。

 「飛び級」は「できる子」には有利な制度だ。逆に「そうでない子」との格差を広げかねないことが心配だ。

 再生会議は、学校選択制と予算配分を組み合わせた教育バウチャー制度のモデル事業化も提言した。

 バウチャー制度は、保護者に利用券を渡して学校を選択させる。子どもが人気校に集中することが予想され、専門家や父母の間では学校間格差を助長するという批判や不安がある。

 それを素通りして、素人の思いつきに近いアイデアが政策に反映されれば教育現場は混乱するだけだろう。

 道徳の教科化もそうだ。特定の価値観を「教科」という形で子どもと学校に押しつければ、教育はゆがむのではないか。

 再生会議は、安倍内閣が掲げた「戦後体制から脱却」を教育分野で後押しした。文部科学省と再生会議の間には教育の「二重構造」も生まれた。

 しかし、政権が代わり、再生会議の提言の実現性も薄れている。

 再生会議そのものの存在理由と役割に疑問符が付いているのではないか。

 学校現場は子どもの学力低下やいじめ、教員の資質向上など多くの課題を抱えている。

 教育改革は、子どもや父母、教師、地域住民など多くの国民の声に耳を傾けながら、国が責任を持って進めるべきものだ。文科省の責任は大きい。

 このことを忘れれば、政府の教育改革は国民の共感を到底得られまい。

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