◇増額分負担、背景に
高知医療センター汚職事件で贈賄罪に問われた矢倉詔喬(のりたか)被告(64)は、25日高知地裁で開かれた初公判で、「役所も必要な予算についてはきちっと出してもらいたい」と批判。県・高知市病院組合(当時)が設計変更全般を前院長の瀬戸山元一被告(63)=収賄罪で起訴=に任せる一方、瀬戸山被告が連発した設計変更による増額分は負担しないという姿勢を取ったことが事件の背景となった事実が浮かび上がった。
契約では設計変更で増額分が発生した場合、病院組合と、建設を請け負ったSPC双方の責任が有る方が費用を負担するという内容だった。しかし、実際には原則としてSPC側が負担することが共通認識になっていたという。
そのため、矢倉被告らは少しでも増額分を圧縮し、減額変更を通そうとして、瀬戸山被告に取り入る必要があったという。矢倉被告は「やってはいけないこととわかっていた」としながらも「お世話になっていることはひしひしと感じていた」と当時の複雑な心境を振り返った。
また、「なぜこんなバカなことをしたのか、毎日が反省の連続。県民や関係者に申し訳ない。心からおわびしたい」と謝罪。質問が家族の話題に向くと、指先で涙をぬぐう場面も見られた。【近藤諭】
毎日新聞 2007年12月26日