|
2nd Anniversary / Kuripon_Kyou ♪
一日 スラム生活体験（前編）
くりぽんには友達が少ない。
ここ一年ほど「友達と電話」したことなんて記憶にない。
「友達」と呼べる人と会うのは、一年に一度くらい。だけ。
（年に一度、友達の元気な姿が確認できれば、
それでいい。ちょこっと話ができればそれで満足。）
この時期は毎年、彼は長期出張に出かけていないので、
くりぽんは一人ぼっちだから、年に一度の友達に会いに行くことにしている。
で、くりぽんは今年も、自堕落な大学時代を過ごした街まで
ちょっくら行ってきました。
大学時代、と言っても、大学でできた友達ではなく、
(大学にはほとんど通ってないから…）
毎日朝から晩まで働いていたアルバイト先で仲良くなった友達（T子さん）。
T子さんと、年はかなり離れているけど、よく遊んでもらったなぁ。
くりぽんをかわいがってくれた。
T子さんは美人じゃない。
大阪府知事のオバサンと、作家の林真理子を足して２で割ったような、
KABAみたいな間の抜けた顔をしている。
少々、目が飛び出し気味で、アゴがない。
ブサイクな顔を見ているだけで、少々疲れてしまう。
頭も賢い人じゃない。でも、義理とか人情とか溢れる人。
くりぽんは大学を辞めて地元に帰ってからも、
かわいがってもらったのを恩に感じて、毎年はるばる会いに行ってる。
それに、T子さんの子供の成長を見るのがすごく楽しみ。
T子さんは、子供が大嫌いだったのに、
できちゃった婚をしてしまい、現在3歳になる子供がいる。
子供を産んだ理由は、
「うち〜、今までに3回中絶してるから、これで（4回目の）中絶したら、
一生子供が生めへん体になるかもしれんから。仕方ないから産んだ。」
と、いうこと…。
（えぇんか？そんな理由で。
だったら、子供できないようにしっかり避妊しろよ！と、言いたいが…。）
しかも、できちゃった婚で籍を入れただんな様は、
借金まみれの、クソまみれ、借金王！！！！
毎月の「利子」分返済だけですでにヒーヒー言ってて、
借りた借金の返済はまるでできていない。
ますます膨らむ一方。
（何でそんな男と、生でヤルかなぁ？？）
結婚してからのT子さんは、めちゃくちゃ！？
産後太りが激しくて、ブヨブヨのデブになっている。
アゴも、肩も、背中も、全て丸い。
動物園から脱走したサイみたいだ。
T子さん、良く言えば「肩に力の入っていない人」でも、
悪く言えば段取りの悪い人。ルーズな人。
性格は分かっているから、今さら腹が立つこともないけど…。
去年は、日帰りでとっとと帰った。
T子さんって、ろくな話ししないから…。
確かに…。自堕落な大学生活を送っていた時、「腐ったくりぽん」だった頃は、
お互いチンタラチンタラ過ごしてそれで楽しかった。
でも、今、くりぽんは（あの頃とは）全くの別人だ。
でも！T子さんは、あの時から何も変わっていない。進歩していない！！
だから、日に日に、年々、お互いの間に「ズレ」が生じてくる。
くりぽんには、その「ズレ」が分かる。明確に分かる。痛いほど分かる。
しかし、T子さんは…。？？？？
T子さんは義理堅い人で？？「泊まって行きぃ。泊まって行きいやぁ。
もっとゆっくりして行きぃやぁ。」と、言ってくれる。
去年、くりぽんが日帰りでさっさと帰ったのをとても残念がっていた。
「ゆっくりして行きぃやぁ〜。」なんてお言葉、有難い。
でも、はっきり言って泊まりたくない。
もはや、一緒の空間で数時間過ごすだけでもくりぽんは辛い。
そうは言っても、有難いのでお言葉に甘えて、悩みに悩んだあげく、
今年は泊まらせてもらうことにした。
（泊まる以前に、会いに行くか行かないか、も、悩みに悩んだ！！！）
一年に一度のことだし、一人で家にいるのもつまらないし、
たまには超庶民的？？スラム的生活を
味わってみるのも社会勉強になるかもしれない！！！と、腹をくくった！！！
こうなったら、異文化コミュニケーションだ！！！！
何でも、自分で見て経験するのが一番だからね。
義理？？人情？？恩？？なんだかよく分からないんだけど、
とにかく大学時代に世話になったことは、くりぽんはとても感謝していて、
忘れてしまいたくない。
忘れてしまいたくないし、いつまでも恩を感じていたい。
でも、恩と、友人関係は別ものではないのか？？と感じてしまうようになってきた。
T子さんが住む町は汚い町だ。
T子さんは昔と変わらず、夜型生活を送っている。
子供もいるけど、お構いなしだ。
T子さんは、昼頃起きて、寝るのは夜中の3時頃がザラかな。
（こういう夜型生活を送る人って、肥満型が多い）
去年は、くりぽんが午前11時頃、家を訪ねると大変眠そうだったので、
今年はさらに遅くして、午後2時に約束した。
くりぽんは、2時前に最寄の駅に着いた、
そこからT子さんに電話しても、連絡が付かない。
自宅に電話しても、出ない。
「もしかするとT子さん、忘れているのかな？
でも、そこまでアホじゃないし…。」と、思いながら、
とりあえず、クソ暑い中、日傘をさして、少し重い旅行カバンを持って、
T子さんの自宅まで歩いて行った。
汚い町を、くりぽんが歩いているのはちょっと我ながら奇妙だった。
自分ひとりが「浮いて」見える。（自意識過剰かしら？？）
町も汚ければ、住んでる住人も汚く見える。
T子さんが住んでいるのは、クソ汚いスラム街のような団地だ。
しかも、築30年は優に超えている？？
言っちゃ悪いが、まるでゴキブリホイホイを４０個ほど並べたみたいな団地群だ。
地震が来たら、すぐにぺちゃんこになるだろう。
ちなみに、T子さんの実家もこの団地群の中にある。
くりぽんがT子さんの自宅まで訪ねて行き、ドアチャイムを鳴らしても
中から何にも反応がない…。
「どうしたんだろう？やっぱり忘れているのかな。」なんて思い、少し落胆するものの、
よく知ったT子さんの性格なら、ありえないこともないし、
今さら腹を立てても仕方ないので、近くのファミレスに入って少し時間を潰すことにした。
アイスコーヒーを頼んで、しばらくしていると、
T子さんから、携帯電話に電話がかかってきた！
「ごめ〜ん。今、風呂に入っててん！！！」
けっ、だったら事前に連絡くれよ、と思いつつ、
T子さんには「段取り」とか「事前に」などという概念は存在しないと分かっているので、
仕方ないか…、と思い、再度家を訪ねることに。
T子さんの自宅は、めちゃくそ汚い古い、エレベーターも付いていない
ボロマンションの一室。築35年以上だな。
ゴミとチリだらけの汚い廊下と、階段を上って行くと、古ぼけた鉄のドア。
ドアの側にくっ付いてる呼び鈴を押した。
去年は、ドアが開くと驚くほどの産後太りの、筋肉が落ちた力士みたいなT子さんが
冬眠から覚めたばっかりの豚みたいな顔でボケーッと出てきてくれた。
はてさて、今年は…。
ドアからのぞけた顔は、去年よりは少し小さいかな。
元気そうな顔を見るとホッとした。
でも、相変わらず冬眠中の眠たそうな顔だ…。
変わってないな…。と、思いつつ、
一年ぶりに会えるのは、やっぱりうれしいものだ。
この豚小屋のようなマンション、狭く汚く、物であふれ返った玄関を入ると、
いきなりドカーンと台所がある。
玄関から、家中が丸見えになる作りの家である。貧相だ。
７畳の台所、隣に６畳の和室２個、後は洗面所と極狭の風呂。
駅を降りるや否やスラム。
部屋の中もスラム。
くりぽんの普段の生活では、味わえない環境です！！！
何もかもが珍しい。ファンキー！！
こんなところでも人が住めるんだ〜〜！！！？？？
T子さんは、幼い子供がいるにも関わらず、
５分に１回は、タバコを吸い、
７分に一度は「暑い〜。」を連発していた。
エアコンを付けているので、中は涼しい。
部屋も狭いのだからよく効くはずだろう…と、思いきや、
T子さん曰く、「全然、クーラー効かへん〜！！！！」
それは、家がボロイからすき間から冷気が逃げて行くのだろう。
機密性が低すぎるから、仕方ないではないか…。
それに、T子さんの家の窓にはカーテンも付いていない。
レースのカーテンを設置するだけでも、省エネ効果があると言うのに…。
くりぽんは部屋が暑いだなんて、少しも感じなかった。
適度にクーラーが効いてて、心地よかったのだが…。
でも、T子さんは「このエアコンが悪いねん！！！！」と、
エアコンをボロクソに非難ゴウゴウしている。
くりぽんが、「エアコンは悪くないよ。これは仕方ないよ〜。
高島屋の店内みたいに、部屋をギンギンに冷やしてどうするのよ〜。
これでいいじゃない〜。」と、言ったのだけど…。
T子さんのエアコンへの怒りはなぜか頂点に…。
さらに、「これからエアコンを買いに行こう。
くりぽんちゃん付いて来てぇや〜」、と言い出した。
（くりぽんが到着して、まだ10分と経たないうちに…！！）
えぇっ！エアコンなんて、だんな様と休日にでも一緒に見に行けばいいじゃん！！
と、思ったけど、まぁ、毎年来てもろくなことしてないし、
電気屋めぐりもまぁいいか…。と思って、
T子さんの車で、電気屋へ…。
さらに狭い密室「車」の中でもタバコの嵐。
くりぽんは煙たくてヘトヘト…。
（でも、子供は全然平気…。？？？）
エアコンにもいろんな種類があって、
６畳用の一間用から、１４畳以上、リビングダイニング用とか、
部屋の広さに合わせて色んな種類がある。
T子さんは、１９畳は対応できるでかいエアコンが欲しいらしい。
（家が狭いのに、なんでそんなでかいエアコンが必要なのだ？？？）
T子さんは、選ぶどころか、エアコン売り場の前にボケーっと突っ立っているだけで、
なかなか決まらない。
早く決めて買えよ…、と思いつつも、仕方ないのでじっと待つ。
（あんなボロ家、どんなエアコンつけても同じだって…。
エアコン以前に、すき間を目張りでもしろよ…、と思いつつも、
口に出しては決して言わない。）
（それに、借金まみれなのに、どうして壊れてもいないエアコンを
さらに買い換えるわけ？？？
非常に余計な出費じゃん！！！！
エアコン買ったら、だんな様のボーナスがふっとぶくらいなのだから、
ますます余計な出費なんじゃないのか…金は大事に使えよ…。
だから目張りしろよ！！！！と、思った。）
でかい部屋用のエアコンは、値段も張る。
それに、コンセントは２００ボルト対応型ばかり。
T子さんの家には、２００ボルトのコンセントもない。
むやみにでかいエアコン、ボルトも分からずに購入して、
家中のブレーカーがぶっ飛ぶよ。爆破だ…。もうあの家は破壊だ。
くりぽんが、「T子さん家、２００ボルトのコンセントないでしょ。」と、言うと、
「え〜〜、何それ！！２００ボルト？？２００ワット？？？何それ〜〜？？」と、
パニック状態に陥り出した。
「だから、今日は目星だけ付けて、後日だんな様と一緒によく相談して、
買いに来たらどう？？」と言っても、
「分っからへんわ〜。分からへん。分からへんわ〜〜〜！！」と、
目をむき出してパニクリ状態。
結局、３件も電気屋を巡り、時刻は午後７時を過ぎた…。
T子さん、かなりの優柔不断で、エアコンが決められない。
せっかくくりぽんがはるばるやって来て、電気屋めぐりで日は沈んだ。
いつもこんな調子。これでいいんだ…。
（一昨年に、泊まりに来た時も同じようにひどかった。
一昨年は、「前の彼氏、引越ししてん。
新しい家が知りたいねん！！」と言って、夜中家を探して
団地を徘徊した。
住所も分からない。ただ「前の彼氏の車」だけを頼りに…。
団地中の駐車場をかたっぱしから見て回った…。
あれは、大変疲れた。）
あ〜ぁ、毎年同じだ…。腹も減った…。夕食は回転すし屋に行った。
すし屋でくりぽんが、「T子さん、そんなに悩むなら、業務用のエアコン取り付ければ？？
そしたら百貨店並みに家中冷えるよ。」と、言うと、
「もう〜〜、そんなん無理に決まってるやんーー！！」って笑ってたけど、
冗談じゃないよ、ジョークじゃないよ。
マジで言ったんだよ。
すき間風が吹く、ゴキブリホイホイ風の家は、業務用のエアコンじゃないと無理だよ。
車の中でも、T子さんは５キロ走るごとに１本はタバコを吸うから、
くりぽんの目はショボショボ。鼻も目もマヒ状態。
さらに驚いたのは、風呂。
（前回、泊まらせてもらったのは、T子さんの実家だった）
風呂釜って、みかんの箱級。ちっちゃい。
体操座りで入らないといけないような、風呂釜。
ビジネスホテルの湯船の方がまだでかいよ。
なんと、T子さんの家庭では、夏は風呂に湯を溜めないらしい。
なので、夏場は風呂釜が倉庫代わりになっているようで、
何か物が入っていた…。
湯船に入れないといことで…、
シャワーを浴びさせてもらうことに。
でも、水圧が低い…、低すぎ！！！！
どうやって、シャワー浴びんのよ？？？？？？
これ、雨よりも水圧低い。
にわか雨の方が水圧あるよ！！！！
花の水遣りで使う、ジョロよりも水圧が低い、水が出ない！！！
何じゃこれ！！？？？？
しかも、水と湯の温度調節が全く制御不可能。
夏だから我慢できたけど、水で洗顔をどうにかこうにかして、
体もどうにか洗った。
ストローから出てくる水で体を洗うも同然。
ストロー級のシャワーを初めて味わった。
これもスラム、これも一興。
今は平成16年…。ここは一体…。いつの時代の風呂なのか…。
さすがに、シャンプーは到底できそうにない！！！！！
頭の泡を流そうと思ったら、１時間はかかるんじゃないのか？？？
シャンプー断念！！！
一体、この家の住人は、どうやってシャワーを浴びているんだ？？？！！！
謎だ。
風呂上りは、「夏は蚊取り線香えぇよなぁ〜〜〜。」と、
狭い部屋、タバコの煙でパチンコ店の店内、麻雀店、それ以上に
煙たいのに、さらに蚊取り線香で、部屋を燻す。
（煙が好きなのね…。工場の煙突の上に引越ししたらいいよ…。）
風呂上りの清潔な体に、（苦労してシャワー浴びたのに…）
一気に、煙まみれ。
目も痛いし、のども痛いし、頭痛までしてきた。
タバコの煙でしんどいのに、蚊取り線香の変な薬品の臭いもプラスされて、
部屋の中は猛毒実験室状態。
くだらない話をして、時間は過ぎてゆく。
でも、子供はいたって平気。慣れているの？？
こんな環境で大丈夫なの？？？
せっかく一年に一度、くりぽんが先に寝てしまうのはもったいない。
T子さんに合わせて、夜中の３時頃まで起きて、
一年分のおしゃべりを夜通ししました。
驚いたことに、T子さんは一度火をつけたぐるぐる巻きの蚊取り線香は、
全部灰になって燃え尽きるまで一本全部燃やし続けるものだと
思っていたらしい。
そんなバカな！！
こんな狭い部屋で、何時間も蚊取り線香付けて、
虫なんてとうの昔に絶滅してるよ！！
このままじゃ、人間まで駆除されるよ！！！！！！
くりぽん、死にそうな気分だったよ。
話の内容は、一昨年とも、去年とも全く同じ。
借金の話とか…。
借金が膨らみ、生活がヒーヒーで…。
だったら、もっと物を大事に使おうよ。
節約らしいことをしようよ…。
支離滅裂。本末転倒。
でも、話して話して同じ話をまた話しまくった。
じっくり聞いたよ。
洗面所（その奥に風呂場）、を台所から撮影。
洗面所の、むき出しの衣装ケース（引き出し）がさらに生活感をかもし出す。
すっかり踏み潰され、色あせて、カビが生え気味の風呂足元マット。
廃墟は、廃墟でしかないが、
古く生活感あふれ出しそうな家に、人が住んでいるという事実は、廃墟よりも
もっと興味深い。
くりぽんの煙まみれの夜はさらに続く…。後編へ。
(C)2003 - 2007 Kuripon all rights reserved.
|