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ウラン濃縮問題で米朝間の緊張高まる(下)

 しかし時間が過ぎるほど状況はさらに複雑化する一方だ。ライス国務長官は、「重大な局面」となる可能性もあると圧力を加えている。その上北朝鮮が「ウラン開発に対する潔白の証拠」として提示したアルミニウム管から、ウラン濃縮の痕跡が発見されたことも明らかになり、北朝鮮の立場はさらに困難な状況となった。今月5日に送られたブッシュ大統領の親書、19日から21日までのソン・キム国務省課長の北朝鮮訪問など、これまでにも何度かチャンスはあったが解決の見込みは立っていない。ある外交消息筋は「北朝鮮は過去に日本人拉致を告白したことから困難な状況に陥った経験がある。ウラン開発問題でも同じような悩みを抱えているようだ」と語った。

◆重大な局面が現実となるか 

 韓国政府の関係者は最近、「北朝鮮の完全な非核化のためには、北朝鮮に関する疑惑を細かく解明していくことを必ずしも悪い方向にだけ解釈する必要はないが、あまりにも時間が遅れると不信が拡大して6カ国協議の推進力が失われてしまうのではないかと心配している」と述べた。ライス国務長官が警告した「重大局面」が現実となる可能性もあるということだ。このような動きはすでに現れている。北朝鮮は25日付の労働新聞で、「米国の好戦的な勢力が、第2の朝鮮戦争準備を発狂的に行っている。米国が繰り返している話も偽装されたものではないのか」と主張するなど、米国に対する疑いの念を強めている。

 統一研究院の全星勲(チョン・ソンフン)研究委員は、「北朝鮮は韓国の政権交代に合わせ、韓国を自分たちの側につけるためにも柔軟な態度を示さない可能性が高く、深刻な危機的状況を招く可能性もある」と警告した。

 しかし米朝両国とも現在進んでいるプロセスを原点に戻すのは、あまりにもリスクが大きいとの分析が今も支配的だ。米国政府が「アルミニウム管疑惑」を公式に発表していないことや、北朝鮮が少なくとも無能力化については予定通り進めていることなどがその根拠だ。東国大学のキム・ヨンヒョン教授は、「北朝鮮の核に対する米国のスタンスを穏健な方向へと導いたブッシュ政権が、選挙を前に元の状況に戻すのは難しいだろう。北朝鮮もテロ支援国家指定解除などを簡単にあきらめることができない点などを考慮すれば、どのような形であれ妥協点を見いだすのは間違いない」と予想した。

任敏赫(イム・ミンヒョク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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