「小さなお子さんがいますね。この子が熱を出した時、どうしますか」「親も近くにおらず、私が見ます」「残念ですが、ご縁がなかったということで」
「おかあさん」のシューカツ(就職活動)は、こんな会話の繰り返しだ。「大正第一なかよし学童保育」(大阪市大正区)に子どもを預ける親たちも厳しい現実に直面してきた。
5年前、長女サヤカ(7)=仮名=を連れて離婚したカオリ(34)=同=は当初、ファストフード店で1日8時間のアルバイトをしていたが、ある日、店長から「勤務を1日4時間以内にしてほしい」と言われた。店の売り上げが落ち、人件費を抑えるためだ。
これでは収入が激減し、生活できない。店を辞め、ハローワークで求人を探したが、小さな子どもがいることを理由に軒並み採用はかなわなかった。「2時間以上の残業」を条件に提示されたこともあった。長時間勤務も無理で、あきらめざるを得なかった。
結局、再びファストフード店でアルバイト採用された。「よほど人手不足だったのか、子どものことは聞かれなかった」。今は準社員として店を支える。
小学3年の長女(8)を預けるカヨ(38)=同=は薬剤師。長女が生後10カ月の時、復帰を目指したが、三つの調剤薬局で採用を断られた。その後、うち一つから「パートなら」と連絡があった。1年後、正規雇用に切り替わり、毎日午後9時ごろまで働く。学童保育は午後7時まで。夕方、長女を迎えに行くのは福祉ヘルパーの夫(36)だ。(敬称略)=つづく
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毎日新聞 2007年12月25日 大阪朝刊
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