県伊那保健所が主催し、市町村や公立3病院の院長らでつくる「上伊那における医療検討会」は25日、伊那市の伊那合同庁舎で第3回会合を開き、昭和伊南総合病院(駒ケ根市)が分娩(ぶんべん)の取り扱いを休止する来年4月以降、安心して出産できる体制を確保するための産科連携体制案を了承した。伊那中央病院(伊那市)を産科医療の拠点病院とし、上伊那の各医療機関で健診や分娩の取り扱いを役割分担する。
各医療機関は 1、健診のみ取り扱う 2、健診から分娩まで取り扱う3、健診からハイリスク分娩まで取り扱う−に役割分担し、連携を図る。
1は伊那市や駒ケ根市、辰野町の病院や診療所8カ所とし、このうち昭和伊南総合病院と町立辰野総合病院(辰野町)は、医師確保などとの関連で、今のところ2008年度の健診は「未定」とした。2は福島病院(箕輪町)と3カ所の助産院。3は伊那中央病院が担う。
健診した病院や診療所から出産のため伊那中央病院へ転院する場合、妊婦に関する情報を医師間で共有するため「産科共通連絡票」を導入。各市町村で母子手帳交付時に配布し、分娩予定日や検査結果など最低限の患者情報を記入し、役立てていく。
伊那中央病院で出産を希望する場合は、連携する医療機関の健診で出産予定日が分かった段階で、医療機関から分娩の予約が行われる。来年四月以降、伊那中央病院での里帰り出産の受け入れは中止する。
妊婦健診に関し、辰野病院からは、来年4月以降新たに実施できるよう「この検討会から信大へ働き掛けてほしい」、昭和伊南病院からは「(現行の)妊婦健診がだめになると、医療が崩壊してしまう」と医師確保へ切実な声が上がった。
上伊那の初期救急医療体制で、上伊那医師会の神山公秀会長は、夜間一次救急センターの開設について「南北に長い上伊那は3カ所が理想」とした上で、「マンパワーに限度があり、ハコモノを作ればいいというものでもなく、慎重に審議したい」と述べた。