年末年始、家族がそろう“特別な日”が続き特別なメニューが食卓を飾る。クリスマスケーキに年越しそば、おせち料理。冬休みの子どもたちの笑顔が浮かんでくる。
そんな一家だんらんの風景に冷水を浴びせるような本が話題になっている。「普通の家族がいちばん怖い 徹底調査! 破滅する日本の食卓」(岩村暢子著)。首都圏の二百二十三世帯を対象にクリスマスと正月の家族の過ごし方を調査した。
クリスマス飾りやプレゼントに一生懸命でも、料理は買ってきたものばかりで、手作りにこだわらない。元旦でも「好きな時間」に「好きなもの」を食べる家族が増えており、おせち料理は作らない―こんな傾向が目立ってきたという。
特異なケースではと、いぶかってはみるものの、最近は正月でも早くから店が開く。食べるものがなくて困ることはないし、デパ地下やコンビニで総菜を買うのも、ごく日常的になっている。
一方、外食が増え、グルメブームと言われる。ごちそうが日常的にあふれ、本来のハレの日の食卓を特別なものではないようにしているのかもしれない。
それでもせっかく家族がそろうのが年末年始だ。一緒に食べれば、子どもたちの学校や友達のこと、いろいろ情報交換ができる。食育の面からも家庭の役割が重視されている。食卓を通して家族のきずなを見直す機会にしたい。