レアメタルに関心が集まっている。希少金属のことで、ハイテク製品に欠かせない素材だ。小型化したり性能を高めたりできるが、手に入りにくくなった。
希少金属の一種であるインジウムは液晶テレビの液晶パネルに使われる。レアアース(希土類)は携帯電話の駆動モーターに活用されている。調達できないようなことになれば日本の誇る製造業は深刻な打撃を受ける。
問題は産出地が中国やアフリカに偏在し、日本は大半を輸入に頼っていることだ。希少金属の重要性に早くから気付いていたのは日中国交回復に貢献した岡山県吉備中央町出身の名誉県民・岡崎嘉平太氏だった。二十年前の講演で、中国に眠る希少金属の開発に日本は協力すべきだと強調していた。
資源の乏しい日本が将来的に生き残っていくには、中国と仲良くし、安定的に入手できる環境にしていかなければならないとの強い思いがあったのだろう。その中国は工業の発展によって希少金属の国内利用が増え、最近は輸出を抑制するようになった。
日本の産業界は危機感を募らせ、政府もアフリカとの資源外交に乗り出した。買いあさるのではなく、日本が技術や資金を提供して未開発資源を共同探査し、アフリカの自立も支援する。
世界的な資源争奪戦は激化の一途だ。日本が各国と互恵的な関係構築ができるかがますます重要になる。