石原知事定例記者会見録
平成17(2005)年7月22日(金)
15:00〜15:14
知事冒頭発言
【知事】今日は、私の方から申し上げることは何もございません。質問があったらお受けします。よし。何だ、よしと言ったら手を挙げるなよ。
質疑応答
【記者】岐阜県で中学1年生の女の子が自然食品研究所の次世紀ファーム研究所というところで遺体、見つかったんですけれども、それで…。
【知事】うん?
【記者】遺体が見つかったんですけれども。もともと闘病中の女の子で、結局、病死なのか事件事故なのかということを含めて今、連日騒がれていまして。その後、代表の堀洋八郎という人物がそこの代表を務めていまして、カメラのインタビューに、「石原氏から話がありまして」…。
【知事】はっ?
【記者】「『宗教法人にしたらどうですか』という話がありまして…」というふうにインタビューで答えているんですけれども、ちなみに知事は…。
【知事】知らないね、そんな人。
【記者】堀洋八郎という人物はご存じでいらっしゃいますか。
【知事】知らないね。
【記者】実際にですね、東京都の方に3年前、2002年に宗教法人の申請をするかどうかの相談があって、その後、音沙汰なくて今、宗教法人ではないらしいんですけれども。
【知事】それは何か変な薬ともつかないものを飲んで…。あっ、今、テレビで盛んに出ているやつ。それは知らないね。会ったこともないね。いろんな人がいるよ。
【記者】お名前がいきなり出てきたということに関しては、どう思われますか。
【知事】いやあ、何と申しましょうか…。
【記者】ちなみに、その…。
【知事】前に、私の子供だっていう変な女がいてね。どこか長野県で、上田で大騒ぎやってさ、あの人死んじゃったな、自分で。
【記者】ちなみに、このインタビューの続きがですね、「まあ政治家でございますから、政治家が何が欲しいかというのはわかりますよ。お金以外に。私どもには信者がいるということで、信者に一声かけて500人ぐらい集まる」と、何か票まとめみたいなものを依頼したかのようなニュアンスの…。
【知事】どこだ、それ。全国区の参議院の選挙ならともかくもだね。
【記者】2年前だと、知事選かなと思うんですが。
【知事】知らないね。
【記者】全く。
【知事】全く知らないね。
【記者】この堀氏がですね、経営する関連先が東京都にもありまして、昨日東京都が立入検査を薬事法に基づいてしたということで。名前がいきなりそこに出てきたということ等を含めて、ご感想をお聞かせ願えますか。
【知事】まあ、悪いことした人かどうか知らぬけれども、いろいろ言い逃れで、溺れかかった人は藁をもつかむというからね。ありがた迷惑な話だね、本当にもう。
【記者】ありがとうございます。
【記者】昨日ですね、中国の人民元、切り上げになったかと思うんですが、ここのところ、北京オリンピックを初めとして、中国に関して果敢に発言されている知事として、ご評価はどう見られますでしょうか。
【知事】まあアメリカに押し切られた。先月、アメリカの財務省の役人を常駐するといううわさも聞いたけど、20人ぐらい北京に送っているんですね。まあそういうものの圧力か知らぬけれども、あのままの形で済むものじゃないだろうし、あとは変動相場にして、それでソフトランディング(ある経済の状態から次の局面に移行する際、円滑かつ正常に移行するための調整局面)に持っていくのかな。しかし、今、異常に(人民元が)安過ぎますからね。貿易でいろいろな摩擦を起こしているわけだけども。
中国も国際社会の本当の一員になろうと思っているんなら、自由経済社会というもののルールというか、バランスというものを備えていかないと、結局は孤立すると思いますけどね。
【記者】元の切り上げと同時に、通貨バスケット制というんですか、ドルですとか、多分ユーロ、それから日本円を含めた加重平均して、今後レートをある程度の幅で決めることになると思うんですけれども、そうすると、知事、以前、代議士のときから円の国際化ということをしきりに議論された時期があったかと思いますし、この会見でも何度かやりとりさせていただいたことがあったと思うんですけど、円の地位というのは、今回の人民元の切り上げでどういうふうになりますでしょうか。一部では弱まるんじゃないかと、アジアのローカルカレンシー(ドルやポンドなどのように交換性を持つ国際通貨以外の通貨)にやっぱりなるんじゃないかというような見方もあるんですけども。
【知事】いや、それはやっぱり1つの通貨というものの国際性の裏には、その国の持っている経済産業のポテンシャリティーというものがあるわけですよ。そういうものを比べれば、日本の円がアジアの一ローカルカレンシーに転落するなんていうことはあり得ないと思うね。それは日本以上に大きな経済大国ったら、アメリカしかないじゃないですか。しかも、アメリカのドルってのは日本が支えているじゃない。
ただ中国も、これからどういうアメリカとのかかわりを持っていくか知らないけども、私は、20人ぐらいの財務省の役人が行ったってのは、なかなか暗示的だと思いますよ。かつて日本が手がけて非常に繁栄しかかった、まぎれもなく、他に比べりゃ、はるかにポテンシャルがあった東南アジアの経済圏ってのをアメリカはつぶしたわけだ、金融戦略でね。ソロス(ジョージ・ソロス:ヘッジファンド「クオンタム・ファンド」を設立し、世界経済に大きな影響を与えている投機家)なんかが片棒を担いで。
あの時に、台湾は李登輝さん(前台湾総統)がしっかりしてたんだ。これはいかんというんで、一回変動にしかかったのをとめて固定相場にした。マハティール(マハティール・ビン・モハマッド:前マレーシア首相)も、マレーシアの通貨ってのを固定したわけですよ。あの2つの国だけがやられずに済んだんだけどね。ほかの国は、タイ国とかインドネシアはひどい目に遭った。
そういうことから言って、アメリカは着々と中国の金融資本ってものを、どれだけポテンシャルがあるかどうかわかんないけど、薬籠中物(やくろうちゅうのもの:いつでも自分の役に立てることができるもの)にしようと思ってんじゃないのかな。
【記者】そういう意味では、アメリカの通貨を安定させるといいますか、そういった意味で、日本と中国がアメリカの国債を大量に保有していると知事、前もおっしゃってましたけど、変な構図と言うと、言葉は悪いですけど…。
【知事】本当にそう。
【記者】ちょっといびつな…。
【知事】妙な構図ですよ。
【記者】妙な不均衡な、危うい均衡になっているのかなと思うんですけれども。
【知事】おっしゃるとおりですね。日本だって、あの金利を維持されると、なかなか他にいい商品がないから、売るに売れない。そう簡単に動かせない。それから、アメリカは、ピーター・ドラッカー(「マネジメントの父」と呼ばれる経営学者)なんかが自己批判しているけども、経営ってものから考え直して、M&A(企業の買収・合併)みたいなことを続けてやって、マネーゲームでいると、経済の実質を失うと思うね。
【記者】どうもありがとうございます。
【記者】今日退任されたM渦副知事についてお伺いしたいんですけれど、つい先ほど衛星放送の朝日ニュースターというところに出演されて、今回の辞任について証言されていたんですけれども、その中でM渦副知事は、社会福祉総合学院の運用に関連して、その問題に触れられたくない勢力…。
【知事】うん?
【記者】社会福祉総合学院の運営に関連して、その問題をあまり取り上げられたくないような勢力、あるいは、M渦副知事に従来から反感を持っていらっしゃるような勢力から追い落としに遭ったというような趣旨の話をされているんですけれども、改めて今回のM渦副知事の辞任について、知事はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。
【知事】残念です、非常に。私は本当にね、懐刀を失ってね。彼にかわって、国の役人と丁々発止やれる人材が東京都にいますか。ある副知事を育てようと思ったけど、うまくいかなかったね。それで、彼がやめた後で、国の役所の高官やほかの地方自治体の首長さんから、彼を通じて、僕がもちろん承知して彼におろした仕事だけど、「あれ、これからどうなるんでしょうか」ってな心配事も聞かされましたがね。
前に申し上げたけどね、30人近い(主要官庁の元官僚からなる)顧問団みたいなのがいて、そのアドバイザリーボード(運営諮問会議)、いろいろ知恵ももらい、またOBとして動いてもらって。省をまたいだ問題もありますから、そういうもののコーディネーターは彼にこれからもやってもらうつもりですよ。東京都のためにね。国絡みの仕事の推進のために。
【記者】それで、M渦副知事の退任に関連して、都議会での偽証を認定されたということが直接の引き金になったのかと思うんですけれど、それ以外に、M渦副知事に対する反発がもともと根強かった、その結果として、M渦副知事が引きずりおろされるような形になったというような、M渦さんの考えについてはどのようにお考えですか。
【知事】それは当事者と私の立場と、また議会の人たちの立場も違うでしょうしね、それは軽々に言うべきことじゃないし、彼がそう言っているなら、彼自身の問題ですからね。それは人間それぞれ、みんな主観を持っているんだけれども、それはそのとおり受け取ってくださいよ。私がそれを論評する、是とか否とかと言う立場じゃないでしょう。
【記者】今のM渦さんの話の続きなんですが、M渦さんが、今度9月1日から東京交通会館の方に再就職されるというお話が今伝わっていますけれども、知事はそういったことに関して、M渦さんは外郭団体の改革をやってこられた方だと思うんですが、それが外郭団体の方に回るという…。
【知事】ちょっと違うんじゃない? 彼が手がけた外郭団体って、いろんな問題があってね、合理化するとか統廃合するとか、整理をしなくちゃいけないものから手がけてきたんです。東京交通会館は別に問題のあるセクターじゃないしですね。それは当然、彼がああいう形でやめたときに、その後の就職の世話を都としてするのは当然じゃないですか。
【記者】それはやっぱり功労者として再就職を世話するということ…。
【知事】そうですね。功労者、人材ですね。
【記者】天下りということで世話をするのはやっぱり当然だというふうにお考えですか。
【知事】天下りというのはあなたの言い方かもしれないけど、あの人材を埋もらせるわけにいかないでしょう、それっきりにして。東京都のためにこれからも働いてもらいますよ。東京交通会館もいささかのかかわりもあるだろうし、また、私のアドバイザーとしても、一緒に6年間やってきたこの東京のために、彼をこれから活用もしようと思いますよ。
【記者】以前から知事は新しい体制になって、庁議であるとか幹部との話し合いを充実、活発化させて進めていきたいというお話をされていましたけれども、今日の第1回といいますか、新しい体制になっての庁議ということで、ごあいさつ中心だったせいもあるかとは思いますが、知事は非常に退屈といいますか眠そうにしていらっしゃるように見えたんですけれども、ああいう形式張った形は…。
【知事】各局長が自分で書いてきたのを読んだのを聞いたって、通り一遍のことで、一々拍手して聞いているようなものでもないわな、あんなもの。それからその前に、特別職の協議会は今までもやっていましたが、これは定例化してやっていますから、ご心配なく。
【記者】具体的に活性化する方策というか、そういったものはお考えなんでしょうか。
【知事】活性化しているじゃない。今までも活性化しているじゃないですか。やるだけのことやってきたじゃないですか。
【記者】当初、就任当時に比べて開催回数がどんどん減っていって、それは知事がああいう形式張った、活発な議論がない状態をお嫌いなことも…。
【知事】そうね、活発な議論なら幾らでも聞くけどね。お通夜行ったみたいな感じで座っているんだったら、会議しなくたっていいよ。こっちはアイデアたくさんある。
【記者】そのお考えはよくわかるんですが、そうならないための方策といったものはお考えなんでしょうか。
【知事】それは、理事者というか職員の方からアイデア出してこなかったら。
【記者】そのお考えを徹底するということですか。
【知事】だから、そこで初めて議論が起こるんでしょう。
【記者】これからに期待しているということですか。
【知事】これからも期待し、今までも期待し、やるだけのことやってきたし、一々会議してやるべき問題でもないものもあるわけだ。
外形標準(課税)なんてのは、計画どおりやってきて、裁判も起こるだろうと想定して。あなた方なんかね、裁判が起こったことは不本意に思っているかもしれないけど、そんなものみんな織り込み済みでだね。あれは見事に秘密が守られたケースだけどね。
議論の途中でベラベラしゃべるやつがいるんだよ。あなた方に対するおもねりか何か知らぬけれども、それはやっぱり困るわな。だから、情報ってのはきちっと守ってもらいたいと、成熟するまで余計なことしゃべるなと言おうと思ったら忘れちゃった。
はい、終わり。
(テキスト版文責 知事本局政策担当 細井)