NHK新会長に決まり、会見する福地茂雄アサヒビール相談役=東京都渋谷区のNHK放送センターで2007年12月25日午後7時半、小出洋平撮影
NHK経営委員会(委員長=古森重隆・富士フイルムホールディングス社長)は25日、来年1月24日に任期満了を迎える橋本元一会長の後任に、アサヒビール相談役の福地茂雄氏(73)を起用する人事を賛成多数で決めた。就任は来年1月25日付。任期は3年。NHK外部からの会長は、88年就任の池田芳蔵氏(三井物産出身)以来20年ぶりとなる。
福地氏は長崎大経済学部卒業後、アサヒビールの前身「朝日麦酒」に入社。大阪支店長、営業本部副本部長などを経て99年に社長、02年会長。06年から現職。今年4月から企業メセナ協議会理事長に就任し、先月からは「東京芸術劇場」の館長も務めている。
古森委員長は選任理由を「大企業のトップとして改革を進めた実績がある。企業メセナに取り組み、文化的素養も十分」と述べた。
古森委員長によると、福地氏は午前11時に東京都内で開いた会合で経営委メンバーと面会。その後、NHK内で開かれた「指名委員会」で、古森委員長が福地氏を、菅原明子委員(食生態学研究家)が元日銀副総裁の藤原作弥氏(70)をそれぞれ推薦した。藤原氏は毎日新聞監査役を務めているため、過去1年以内に新聞社の役員を務めた人物の会長就任を禁じる放送法の欠格事由に該当するとして除外。福地氏を候補に絞って採決を行い、10対2の賛成多数で決定した。反対票は、古森委員長の議事運営に異議を唱えた菅原、保ゆかり両委員。
福地氏は25日に会見し、「公共放送の重要さを説明されて引き受けた。不偏不党、中立性を大事にし、私の人生の最後で最大の仕事として取り組みたい」と抱負を述べた。
NHKの橋本元一会長は25日、新会長決定を受けて「編集権の独立を深く認識した事業運営を行い、自主自律の立場で、視聴者に信頼される公共放送とするための改革をさらに進めてもらうよう願う」とのコメントを出した。