混合診療全面解禁は見送り、規制会議

 政府の規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船株式会社代表取締役会長)は12月25日、第2次答申を取りまとめた。同会議が最重要課題に位置付けていた混合診療の全面解禁については記載を見合わせる一方、薬事法の承認のない医療機器などによる医療技術では混合診療を認めないとする通知を年度内に廃止。その上で、国内未承認の医療機器や医薬品を用いた先進医療について、保険診療との併用を認める枠組みを年度内に創設する方向を盛り込んだ。

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 政府は答申を28日に閣議決定する見通し。

 混合診療をめぐっては、04年12月、当時の厚労相と規制改革担当相が、一定のルールの下で例外的に認める範囲を拡大することで基本合意に達した。しかし、厚労省はその半年後に薬事法の承認のない医療機器などによる医療技術では混合診療を認めないとする通知を出した。また今年11月には、東京地裁が「混合診療を禁止する明文規定はない」とする判決を出した。

 同会議は、第2次答申取りまとめに向けて前面解禁を迫ってきたが、厚労省の反発が強く、記載は見合わせた。これにより混合診療は、原則禁止を前提にする現行の枠組みが維持されることになった。
 ただ、薬事法の承認のない医療機器や医薬品などによる先進技術について混合診療を認めないとする通知は年度内に廃止。その上で、国内未承認の医薬品などによる技術について保険診療との併用を認める枠組みを年度内に創設する方向も盛り込んだ。
 また、04年の基本合意に伴う手続きの進ちょく状況を把握するための調査を逐次調査し、公表することも決まった。

 答申の中で同会議は、混合診療問題を引き続き最重要課題に位置付ける考えを強調。「厚生労働省による原則禁止措置が続く限り、このスタンスを変えるつもりはない」とした。

 医療関連の規制改革について検討する「医療タスクフォース」の主査を務める松井道夫委員(松井証券代表取締役社長)は答申取りまとめを受けて、「あくまで暫定的な措置で、混合診療問題が解決したわけではない」と述べた。
 また、草刈議長は答申取りまとめまでのプロセスについて、「一部分では(福田首相の)サポートしていただいたが、ものすごい追い風をつくっていただける状況では政治的にないようだった。この辺はやむをえない部分もあるのかなと思う」と述べた。


更新:2007/12/25   キャリアブレイン

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