南京事件についてはまだまだ不勉強ですので、私見を述べるのもはばかられますが、現時点での自分の考えを整理しておくのも一興かと思いますので、少し書いておこうと思います。
(もちろん、「現時点での意見」ですので、今後変化していくかもしれませんし、今の意見がさらに強化されるかもしれません。)
ここ最近では、4本ほど当時の中国大陸の日本軍の軍紀の乱れについてエントリーを書きました。
・支那事変勃発から一年半で732名も
・支那事変時の軍紀の乱れの特徴
・南京事件を批判して自決した軍人がいた
・南京事件の「皇軍」に対する当時の日本人の嘆き
誤解されると嫌なので先におことわりしておきますが、
軍紀が乱れていた → 日本軍は酷かった → だから日本は悪い国。
なんて、ちょーシンプルなことを言うつもりは毛頭ありません。
乱れていたのには、何か原因があるはず、
・何でそうなってしまったのか
・どこに問題があったのか
私の関心はそちらにあります。このあたりは歴史学者らがそれぞれ研究していますし、そこから後世の人間が教訓とすべきは何なのかって考えることが、歴史を知る意味だと思います。
(だから、都合の悪い事実を隠して美談だけ教え、「日本人として誇りを持てるように」、などという歴史教育には反対です)
あったとかなかったとか、被害者は何万人だったとか、当時の国際法では問題ないとか、そんな主張をしているだけでは、何の教訓も得られないでしょ?
国際的に非難を受けるような多くの事件があったことは、数々の証拠から否定しようのない事実なんですから。
■捕虜殺害について
あと南京事件でもう一つ忘れてはならないのは、捕虜の扱いについてです。
たとえ敗残兵・便衣兵であっても、逮捕して簡易裁判もなしに、後ろ手に縛るなど無抵抗な状態で大量に殺していくことは、「虐殺」という批判は逃れられないと思います。
少なくとも、敵兵を逮捕し武装解除した時点で、「殺さなければ殺される」という戦闘状態ではなくなっていますから。
捕虜の大量殺害の事実については、否定派であっても隠しきれないらしく、「便衣兵だったから違法ではない」とか言っているようです。しかし、日本兵に反撃してくる時はともかくとして、捕虜にした後で殺すことを「便衣兵だから殺しても違法ではない」と言えるのかな、と。
■戦争だから仕方がない?
たまに「戦争だから仕方がない」という人もいますが、その論法ならば、日本への原爆投下も非難することはできないのではないかと・・・。
「国民抗戦必携」 大本営陸軍部が国民義勇隊に敵と戦う方法を教育する目的で発行、配布 |
南京事件よりも後のことになりますが、日本も「義勇兵役法」を施行して、男子は15歳〜60歳、女子は17歳〜40歳までは「国民義勇隊」となって、義勇兵役に服することとしています。
(昭和20年6月22日公布・即日施行)
これによって当時の日本には法的にも民間人は子どもかお年寄りくらいしかいないことになってしまいます。
右の写真は、大本営陸軍部が敵との戦闘方法を解説するために発行して一般に配布した「国民抗戦必携」という冊子です。
(「外交なき戦争の終末」P.174から転写)
この冊子の内容の一部は、藤田兵器研究所さんのサイトに掲載されています。フィギュアで再現していますが、管理人さんの趣味が多少含まれておりますw
日本は、この「国民抗戦必携」という冊子を配布して米兵撃退方法を指導していましたから、仮に米軍が本土上陸作戦を行えば、当時の本土の日本人はほとんど便衣兵?です。それで、アメリカから「戦争だから仕方がない」とか「違法ではない」と主張されたら・・・。
ともかく、「戦争だから(中国民間人殺害は)仕方がない」けど、「日本人殺害は許せない」というのは、蔑視感情でしかなく、嫌中フィルタを通してしか歴史を見ることができないのか?と言いたくなります。
(いうまでもありませんが、当時は中華民国であり右派が嫌いな現在の中共ではありません。)
・・・話がそれました。
■30万人説について
あと、中国の30万人説を批判する人も、中国が事件をどう定義しているかを理解した上で主張しているのかなぁ?という素朴な疑問もあります。
(私は中国の南京事件の”定義”は知りません)
期間、地域、被害者の定義(民間人のみか、捕虜を含むか、戦死を含むかetc.)で数が変わってくるのは当然のことで、これをおさえない限り「30万人はウソだ」という主張には意味がないでしょう。
例えば、「南京特別市」に範囲を広げれば、東京・埼玉・神奈川を合わせた面積に相当し、その地域の当時の人口は150万らしいし、さらに中国軍人の人数もあるし・・・。
キリがないのでこのあたりでやめておきます。
こういうややこしい問題に対する自分の考えを簡潔にまとめるというのも結構難儀なもので、何度も書き直したりしてくたびれました。
※このエントリーに対するコメントは受け付けますが、返信はしない予定です。際限なくなりそうだから・・・
おまけ
女性への軍事訓練の動画。宝塚歌劇団か松竹歌劇団だそうです。