冬枯れの岡山路を舞台に繰り広げられた山陽女子ロードレース。自転車で追った。
桃太郎スタジアム付近で出発を待った。夜来の雨が上がり、空気も澄んでいる。遠くでピストルの音。しばらくして「有森裕子杯」のハーフマラソンの一団が飛び出してきた。青、緑、ピンクの鮮やかなコスチューム。
コースを先回りし済生会病院前に出た。白バイに先導され二〇〇〇年シドニー五輪マラソン銀のリディア・シモン選手らがやって来る。人垣から「頑張って」。十五分遅れで「人見絹枝杯」の十キロコースのランナーも元気よく走り抜けた。
次にJR岡山駅西口へ回った。旗を振る親子連れ、カメラマン。既に約四十分がたち選手の列は長く伸び、肩で息をしている人も目立つ。「元気出して」。最後に桃太郎スタジアムのスタンドにとって返した。
エバリン・キムエイ選手が優勝テープを切り、三位で地元の中村友梨香選手が入ってくると一際大きな拍手がわいた。「温かい応援ありがとう」と二位のマーラ・ヤマウチ選手の弁。沿道のムードをよく表していたと思う。
一九二八年アムステルダム五輪八百メートル銀の人見絹枝さんを顕彰し八二年からスタートしたこの大会は若手の登竜門。次にだれが世界の扉を開くのか、楽しみだ。次々にゴール、動けなくなった選手たちを包み込むように柔らかい冬の日差しが降り注ぐ。