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医師不足:国の緊急対策に都道府県は期待薄 毎日新聞調査

 国の緊急医師確保対策の目玉で、来年度から認められる大学医学部の臨時定員増(最大10年、各都府県5人、北海道15人)によって、医師不足が完全に解消すると考える都道府県はほとんどないことが、毎日新聞の調査で分かった。国は「地域や診療科によっては医師が不足しているが、全体では足りている」とするが、医師が充足していると答えた都道府県はゼロで、国の医師数抑制策の転換を求める声も目立った。

 調査は11月、都道府県の医師確保対策担当課を対象に実施し、現状や取り組み、国への要望などを聞いた。

 都道府県内の医師の充足状況は、42都道府県が「不足」と答え、「分からない」などが5県だった。日本全体の医師数も、国と同様の「医師の偏在」との見解を示したのは5府県しかなかった。

 臨時定員増で医師不足が解消できるかは、23都府県が「できない」と答え、15道府県が「分からない」など。9県は「できる」と答えたが、うち8県は「一部は」「ある程度は」などの条件付きで、根本的な解消策とはとらえていなかった。

 国は5月、勤務医の労働環境整備など6項目の緊急医師確保対策を打ち出し、来年度予算案にも盛り込まれたが、抜本的な対策を求める声が目立つ。

 秋田県は「医療の高度化や安全対策など医師の業務は飛躍的に増えており、今回の定員増では不十分」と、医学部定員削減を決めた97年の閣議決定の見直しを求めた。日本の人口あたりの医師数は経済協力開発機構(OECD)加盟国中最低レベル。医師数が最も多い東京都ですら「諸外国との比較を含め、必要な医師数を議論する必要がある」とした。

 妊婦の搬送を巡る問題が相次いだ奈良県は国に望む対策として、▽大学医学部の定員増▽臨床研修医は都道府県ごとに定員を設ける▽産科医のリスク軽減措置として、無過失補償制度と第三者機関による死因究明制度の創設--を挙げた。【まとめ・鯨岡秀紀】

毎日新聞 2007年12月25日 2時30分

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