「県民ばかにしている」/「軍強制」文言回避
沖縄戦「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題で、文部科学省が教科書会社に日本軍による「強制」の表現を避けるよう求め、会社側もほぼ従って再申請していることが分かった。「このままでは文科省の思い通りに史実が曲げられる」。二十二日、県民大会実行委員会の危機感は頂点に達した。
県民大会実行委員長の仲里利信県議会議長は「強制記述の有無は非常に重大。内容を確認した後にコメントしたい」とした。二十五日からの東京での要請行動を控え、「県民は蚊帳の外。不退転の決意で行く」と強調した。
副委員長を務めた小渡ハル子県婦人連合会会長は「沖縄をばかにするな」。怒りは収まらず、「県民の努力を徒労に終わらせるわけにはいかない。文科相に会って検定を撤回させるまで、東京から帰らない」と語気を荒げた。
琉球大学の山口剛史准教授は「三月の検定結果発表からまったく前進がなく、史実として間違った記述になる」と批判。「柔軟姿勢を示していた文科省が強硬になったのは、強制を否定する団体の巻き返しに力を得たのではないか」と指摘した。