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初音ミクも活用:

1人のイブ、ITにすがりつく

今年もあの忌まわしき日がやってきた。だがITさえ、ITさえあれば、1人でも幸せに過ごすことは、不可能ではないはずだ。あきらめちゃだめだ。あきらめたらそこで、試合終了なのだ!
2007年12月24日 11時43分 更新

 クリスマスイブに1人って、そんなにいけないことですか? イブに1人というだけで、みじめな気持ちにさせられるのはなぜですか――

 今年もとうとう、あの日になってしまった。12月24日。サンタとかいう名のメタボリックなじいさんが、文字通り煤けた格好で飛び回る日だ。そう、幸せな人はもっと幸せに、寂しい人はもっと寂しく。ああ幸福の格差社会

 正直に言う。記者はもう、クリスマスにキャピキャピするほど若くはない。29歳。何者にも拘束されないフリーダムなクリスマスを過ごして、何年目になるだろうか……。

 く、くそう。なんだってこんなみじめな気持ちにならなきゃいけないんだ!? 1人っていうだけで、彼氏も旦那もいないというだけで、何も悪いことはしてないのに。愛を教えるキリスト教の記念日なのに、心がささくれ立つよパトラッシュ!

 この事態にどう対処すればいいのか――記者の脳内では、クリスマスという非常事態に対処するための緊急対策会議が開かれた。「今からでもいいから彼氏を作れ」「それはさすがに無理」「去年は作っただろうが」「いやそれ人じゃない。紙に男描いただけでむしろ余計寂しかった」「じゃあナンパされに行け」「3年前にやった。みじめだった」「1人で楽しめ」「4年前にやったけど寂しかった」。……あらゆる可能性は試してきた。そして、玉砕してる。


画像 昨年のクリスマス。パネルに男性の全身像を張った「2次元彼氏」を作成し、2人でラブラブに過ごした振りをした。寂しかった
画像 3年前のクリスマス。ナンパ待ちしたけど誰も来なかった。寂しかった

 「じゃあ、クリスマスをなかったことにしたらどうだ」「『クリスマス中止のお知らせ』ってやつか。でもどうやって……。日本中が浮かれポンチキになっている今、クリスマスムードから逃れるのは容易ではないぞ」「そうだな、クリスマスの代わりに、別の記念日を祝ってみてはどうだ。その記念日の力によって、クリスマスをかき消してやるのだ」

 ――よし決まった。今年のクリスマスは中止。別の記念日にしてやる。「IT」という武器を活用してネットの力で、クリスマスという巨悪と戦い、勝利を収めなくてはならない。IT戦士の守護聖人・ググレカスの力を借りて。

キャラボの日?

 ググレカス(生没年未詳)――Google検索「ググる」楽しみを伝えた思想家である。彼が見いだした「検索」という武器を、IT戦士たる記者は、振りかざしていかねばならない。

 まずは12月24日でググってみる。Wikipediaがヒットした。12月24日は――クリスマスの前夜。ええい黙れ黙れ! そんなのは知ってる。ほかにはないのか。「納めの地蔵」(地蔵菩薩の年内最後の縁日)、「終い愛宕(しまいあたご)」(愛宕権現の年内最後の縁日)……ふむ、悪くないが、クリスマスに対抗するには若干地味か。他はどうだろうか。「記念日」でググって最初にヒットした「日本記念日協会」の12月24日によると、毎月24日は「キャラボの日」らしい。

画像 メキシコ風の衣装が手持ちになかったため、メキシコの隣・パラグアイのナショナルサッカーチームのユニフォームを着てチャレンジします

 キャラボとは何か。解説によると「アボカドの生産量が世界一といわれるブランド、Calabo(キャラボ)が創業されたのが1924年。この24にちなんで毎月24日をアボカドの販促PRの日に定めた」そうだ。ね、年号をそのまま記念日にしてしまうとはあまりに強引。だがそれがいい。決めた、今年の12月24日は、アボカド記念日だ。

 アボカド、それは森のバター。前菜からデザートまで何にでも化ける万能食材である。醤油にもメープルシロップにも合う上、生のままで食べられて調理も簡単というすごいやつ。前菜からデザートまでが30分で作れちゃうよ!

イブに負けるな! キャラボの日――アボカド尽くしの作り方

 キャラボの日を祝うべく、アボカド尽くしのメニューにしよう。(1)エビとアボカドのタルタルソース和え、(2)アボカドごはん、(3)アボカドと牛肉のわさび醤油あえ、(4)アボカドパフェ――の4品。作り方の詳細は、書くのが面倒なので動画でどうぞ!

(同じ動画のニコニコ動画のURL:要ログイン)


画像 アボカド尽くしとアボカドスイーツ。全体的に茶色く和風で、たいへん地味です

 記者は毎朝アボカドを食べるほどアボカド好き。アボカド尽くしに大変わくわくしていたのだが、実際作ってみるとどうも地味。陽気でラテンな食卓を期待していたのだが、醤油ベースでむしろ日本のおふくろの味だ。いや、おいしんだけどさ。おいしくできても食べてくれる人もいないし、アボカドだらけで飽きるし、買いすぎて1個余っちゃったし……。

 心に吹くすきま風、アボカドでは埋まらない。ふと外に目をやると、隣の家のツリーが輝く。ねえ、何がダメだったのかな? 今年も私、いい子にしてたよ? サンタさん、こないのかな……。

 1人でも幸せなクリスマス――それを実現するのがIT戦士たる記者の役割のはず。アボカドをかみしめながら、幸せなクリスマスをイメージする。南米方面に逃げている場合じゃない。日本のクリスマスと対峙し、勝利を収めねばならない。ITの力で。

 さて、クリスマスに欠かせないものといえば何だろうか。まずプレゼントだろ、そしてクリスマスソングに……。ええいくそっ、すべてITの力で解決してやるぜ!

クリスマスソングを作るぞ

画像 初音ミクをあげる左手ともらう右手

 まずはプレゼントから。自らサンタになりすまし、「自分サンタ」から自分にプレゼントを手渡すのだ。「メリークリスマス♪ ユカタン!」「ありがとう」「あけてみてよ」「うん、ガサゴソガサゴソ、うわぁ、これ、ほしかったんだ!!」「喜んでもらえてうれしいっ」(以上、1人芝居)。もらったのは「初音ミク」。言わず知れた、歌声作成ソフトだ。これでクリスマスソングもばっちりだぜ!

 ミクのパッケージをじっと見つめ、ひとしきりみっくみくにされた後、早速PCにインストール、起動した。表示されるピアノロール風画面に、心のおもむくままに曲と詞を流し込む。洪水のようなインスピレーションがわいてくるぜ。今こそ隠された音楽的才能を発揮するとき。キタキタキタァァァッ!

 ほんの1時間ほどでメリーでホーリーなクリスマスソングが完成してしまった。自分の才能が怖いぐらいだ。さあ、聞いてくれ。

「幸せなクリスマスのうた」

作詞・作曲:岡田有花 演奏:初音ミクさん

(同じ動画のニコニコ動画のURL:要ログイン)

詞:

クリスマス 1人です

1人のほうが 楽しいよ

寂しくない 寂しくない 寂しくない

クリスマス イブの夜

サンタさんも 来ないけど

寂しくない 寂しくない 寂しくなんかない


 あれ、おかしいな、おかしいな。聞いていると余計に寂しくなってくよ。単調すぎるメロディと未調教のミク声。幸せにしてくれるどころか、むしろこれ何てレクイエム。「寂しくない」って言葉が逆に、猛烈にさみしいよ! くっ、われらの抵抗もここまでかぁっ。

 いやいや待て。記者の音楽的才能はこんなもんじゃないはずだ。そういえば記者は、3歳からピアノを始めた音楽の早熟児。ミクだけに歌わせてるんじゃなくて、記者も演奏に加わればいいんじゃないだろうか。それに加えて、鍛え抜かれたダンスの技も披露してやろうじゃないか。今こそ隠されし才能を発揮すべき時。いくぞおおおおっ!

「幸せなクリスマスのうた」

作詞・作曲・出演:岡田有花 演奏:初音ミクさん パーカッション:岡田有花

(同じ動画のニコニコ動画のURL:要ログイン)


画像 使用後のネギは全部食べました。1人で

 クリスマスを意識して赤いユニフォームを装着。初音ミクさんに敬意を表し、緑色のもみの木モールでツインテールも作成した。クリスマスのサイレントでホーリーな雰囲気を出すべく、鈴でビートも刻んだのに、寂しさがより深まるのはなぜだろう。ああ、踊りすぎて疲れたよ……。

 さて、もういいかげん、強がりはあきらめようか。

 今年も記者は、1人です。寂しいから「ニコニコ動画」「はてなハイク」「2ちゃんねる」あたりをうろうろして、「明石家サンタ」見ながら実況スレで寂しさ紛らわせようと思います。

 みなさん、すてきなクリスマスを! インターネットのどこかで会いましょう。

[岡田有花,ITmedia]

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