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こだわり「ハデ婚」花盛り 「自分流」演出、業界も提案

2007年12月24日15時51分

 挙式・披露宴の費用の昨年度の全国平均は319万円と、前年より16万円増えたことが、結婚情報誌「ゼクシィ」の調査で分かった。首都圏の昨年度の平均は338万円で、5年間で84万円もアップした。なぜ平均費用は上がったのか。「豪華披露宴」ではどんな演出がされているのか。華燭(かしょく)の典のいまを探った。

 「ゼクシィ」の調査では首都圏以外も、昨年度は東海が310万円で5年間で46万円増、関西が289万円で67万円増、九州が342万円で37万円増だった。

 「けっこんぴあ」の07年調査でも結婚披露宴を催した人の平均費用は340万円で3年前より約20万円増えた。「海外で挙式をするだけというジミ婚派と、豪華派と二極化している」と同誌。

 豪華な披露宴は何にお金を使っているのか。急成長した結婚プロデュース業大手の「テイクアンドギヴ・ニーズ」(東京都港区)に一例を紹介してもらった。

 招待客78人で総額は約650万円。客1人あたりは「8万円超」。ドレスや料理のほか、花火や映像など演出面でもこだわりを盛り込んでいる。

 同社のサイトには「憧(あこが)れの街・白金でプール付き大邸宅を独占」「華麗な空間で優雅なひとときを」といったコピーが躍る。同社はゲストハウスを全国約60カ所で展開。西欧の邸宅風の会場を借りてセレブ気分を味わえる「ハウスウエディング」を定着させた。

 外資系高級ホテルで今年9月、式を挙げた都内のある男性会社員(33)は約60人を招き、総費用490万円。最初の見積もりは安かったが、DVD写真撮影(50万円)などサービスを付けていくうちに、気が付くと膨れあがっていた。でも男性は「会場もスタッフの対応もよく、客も喜んでいた」と満足の様子だ。

 90年代に普及したレストランウエディングも新サービスを繰り出している。フランス料理店を経営する「ひらまつ」(東京都渋谷区)は今年6月から、レストランを貸し切り、連続で宴を開けるサービスを始めた。(1)食前酒パーティー(2)披露宴(3)アフターパーティーと3部制も可能で「招待客とより親密に交流できる」という。同社では、披露宴の費用が客1人あたり8万〜10万円という例も出ている。

 なぜ、そこまで高級化するのか。「バブル経済で高価格帯レストランが一般化し、舌のこえた方が増えた。新郎新婦は人と違う披露宴にしたいと更にこだわり、より高級な料理を求めるようです」と同社の植杉かおり・ブライダル企画担当。

 ゼクシィの伊藤綾編集長は「バブル経済崩壊後、90年代後半『ジミ婚』が注目され、00、01年の『ミレニアム婚』ブームを経て02年以降は両親を含め招待客へ感謝を伝える『もてなし婚』の時代になった」と解く。

 確かに同誌の調査では平均招待客数は増えておらず、客1人あたりの費用が増加し、06年度は4万8000円。同年度の1人あたりのご祝儀を計算すると2万9000円で、客1人につき1万9000円の「赤字」になる。

 「新郎新婦は招待客の感動を引き出そうと、自分たちらしいもてなしにこだわる。企業側も商品やサービスを開発。客1人あたりの単価は上がっていった。晩婚化で資金に余裕のある人も多く、両親から援助されるケースも少なくない」と伊藤さんは話す。

 だが、こうした欲求を刺激し出費を促してきたのはブライダル誌を含めた結婚業界そのものではないのか。業界内からは厳しい声も出ている。

 「サプライズの演出も定番化しつつある。新郎新婦の潜在的なニーズをすくいとり、マージン料を切り下げてでも新しい演出として実現していくプロデュース力がなければ企業も業界も生き残れない」と、レストランウエディングを手がけるリビエラ青山の田中英樹ブライダル部支配人は率直に言うのだ。

 婚礼関連企業の社長も「結婚式の様々な値段は本来価格より高いことが多い。たいていは自分の結婚式は初の経験で、サービスや商品の価格が適正か分からないと思う。自らの価値観をしっかり持たないと費用に見合う満足は得られない」と指摘する。

   ◇

■東京都内で昨年あった披露宴の場合

◎総費用 約650万円(参列者=78人)

●ドレス・小物類 約100万円

レンタルだが、ウエディングドレスは当時の最新モデル。お色直しのドレスも新婦の好きな赤にこだわった

●花・キャンドル代 約100万円

会場内の階段や暖炉を装飾。バージンロードに大量の花。プールには花で飾った「LOVE」を浮かせ、周囲にキャンドルを並べた

●料理 約140万円(1人1万8000円)

フォアグラやオマールエビ、牛ヒレ肉を使ったフランス料理のフルコース。デザートを自由に選べる「デザートビュッフェ」を庭で

●花火 約10万円

テーブルに飾った花の中に花火を仕込み、新郎新婦の合図で噴き上がる演出。宴のお開きの瞬間は庭で「ナイアガラの滝」風の花火

●映像 約50万円

プロフィル紹介のビデオや、その日の披露宴の様子を撮影して即座に編集、終宴まぎわに上映する「撮って出しムービー」など

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