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黒い賭博師 価格:¥ 2,940(税込) 発売日:2005-01-21 |
絶対負けないバクチというのがあったらやってみたいもんだが、アメリカではあるらしいね。サブプライムローンというヤツ。おいら以前に書いたんだが、
日本では住宅ローンといえどもノンリコースローンでない場合がほとんどなので、借金返せなくて、不動産が値下がりして、損して手放しても、延々と残りのローンを払わなければならない。バブルの頃に、そんな話が山ほどあったな。アメリカでは、住み続けて払い続ければそのままだが、不動産が値下がりしてローンの残高が現在の不動産価格を上まわるようだったら、とっとと踏み倒して、もっと安くて上等な家を買い直せばいい。なんせノンリコースなので、踏み倒しても現物渡せばいい。
どう考えたって、そら、賭場では通らないですぜw 負けたら「あ、今のナシね」って、それが許されれば、世の中に博打は成り立たない。で、投資というのも一種の博打みたいなもんだが、サブプライムローンというのは「負けたらナシね」が許されるわけだ。で、こういう事になる。
前々からおかしいと思っていたことが多少確認された形となりました。ブルンバーグからの孫引きですが、格付け会社のひとつFitch(フィッチ)社が出したレポートによると、昨年実行された住宅ローンのうち実行後6ヶ月以内にデフォルトとなったものから45件のローンを抽出して調べたところ、三分の二(つまり30件ほど)は借主が居住の意思について嘘をついていた(つまり住むつもりもないのに家を買いローンを借りた)、ということです。(中略)
そもそも多少住宅価格が下がったからといって急激にデフォルト率が上がるって言うのがおかしいと思いませんか?
はじめから下がったらデフォルトするつもりだったとしか思えません。Case-Shiller住宅指数がマイナスに転じ始めてからまだ1年も経っていない。はじめから住宅の値上がりを前提に投機を行い、うまくいけば値上がり益(元値がでかいから利益もでかい、しかも金は借りられる)を得て、失敗すれば金を払わないでデフォルト。その場合も家を手放せば債務から開放される(ノンリコース)。そういう仕組みで、投機的な住宅投資が数多く行われていた可能性が強いと感じます。
儲かったら自分のモノ、損したら勝負を放棄w こんなインチキ賭博が成り立つわけないんで、まぁ、人を馬鹿にするにも程があるというものだが、人間、恥を捨てればどこまでも悪辣になれる。
で、むかしむかしそのむかし、日本には武士という人たちがいたわけだ。借金に行って断られて腹を切った武士の話はさっき書いたが、一般的には町人のところに行って借りるわけだ。儲けている商人とか。で、借金の証文というのが面白い。「万が一、借金を返せないときは、町なかにてお笑い下されたく候」というもので、これで借金踏み倒すヤツはいなかったわけだ。ところが、アメリカの資本主義とかいうシロモノでは借金を踏み倒したヤツはアッケラカのカーで、カネを払わなくても許されるが、赤の他人が尻拭いしてくださいね、という、まぁ、これが許されるのだから、素晴らしい発明だ。もっとも、そんなヤツにカネを貸してくれる人はもう、出て来ないだろうけどね。で、案の定、サブプライムローンの被害総額はどんどん増えているようで、ぐっちーさんによれば、だ、
「100兆円はべらぼーだろ」、とおっしゃいますがね、あーた・・・・
根拠はあるんです。きちんとした公式データはないので、それこそメリル、シティー、など民間業者の出す数字からゲスするんですが、CDOは大体年間4000億ドルくらい発行していた訳です。これで約45兆円。それがまあ、10年発行残高が残っているとみて、450兆円(実際は15年くらいみたほうがいいかも)、そのうちの20-25%がとんだとみると大体100兆円という計算になる訳です。ほんとにラフかつ甘めの計算でもこのくらいは出てくるはず。
実際に25%とんだというのはかなり甘い見積で、半分無くても僕は驚かない。となるといくらになるか・・・・おわかりですよね。だからこそ連銀もあせり狂ってるし、あのモルガンが中国から資本提供を受ける・・・そういう事態なんです。
日経ではそもそも、当初、1000億円程度と報道しているのだ。それが、最近では「既に3兆円」とか言ってるわけで、まだまだ増えますよ、というわけだな。で、おいらの予想では、ノンリコースローンの場合、不動産価格が下がればみんな、踏み倒して現物を放棄する事になると思われるので、楽しいですね、という昨今です。まぁ、アレだ、アメリカ人にとっては、名誉やプライドよりカネが大事なのは言うまでもないんで、さて、そうなると日本もつき合いきれないので、せいぜい命よりカネが大事な中国の金貸しからでも借金してくださいね、という今日この頃です。
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