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社説

テロ新法対案 民生支援になぜ自衛隊(12月24日)

 アフガニスタンの復興を民生面から支援するための法案を、民主党が国会に提出した。

 インド洋での給油活動再開を目的とする政府の新テロ対策特別措置法案への対案だ。

 私たちは民主党に対し、政府案に反対するのならそれに代わる法案を提出すべきだと求めてきた。

 ようやく国民に新たな議論の材料が示されたわけだ。だが国会の会期が残り少ない中、世論の風向きを見ながら重い腰を上げた民主党の対応も法案の中身も、手放しでは評価できない。

 民主党案はアフガンに自衛隊や警察官、医師らを一年間に限って派遣する特措法だ。派遣先は紛争停止の合意が成立した地域に限定している。

 派遣の目的もテロとの戦いの後方支援ではなく、武装集団の武装解除、道路や農業施設などの復旧、食糧や医薬品の輸送といった民生支援にある。

 武力によるテロ制圧の戦いがかえって憎悪や貧困を拡大させ、新たなテロの温床をつくっていることはアフガンの現実を見れば明らかだろう。

 そうした観点からいって、民主党案は部分的には検討に値する。

 だが大きな疑問もある。民生支援になぜ自衛隊か、ということだ。

 派遣先は紛争停止地域に限るといっても、テロが頻発するアフガン国内で治安の確保は容易ではない。「非戦闘地域」が拡大解釈されたイラク派遣の反省を忘れてはいけない。

 これまで、民間人による地道な民生支援がアフガンの人たちの生活を向上させてきた。そうした活動が危うくなるという指摘にも耳を傾けたい。

 「やむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合」などとする武器使用の基準も、あいまいだ。

 給油活動再開については、国連決議があれば検討するという。自衛隊の海外派遣の恒久法整備も必要だという。

 民生支援の法案に、どうして自衛隊の海外活動の道を広げるような条項を盛り込まなければならないのか。

 民主党案は政府案と違い、自衛隊派遣に国会の事前承認を必要とする。文民統制という原則に照らして当然だが、その前に自衛隊派遣が妥当かどうかをきちんと考える必要がある。

 政府・与党は衆院で再議決してでも対テロ新法案を今国会で成立させる方針だ。しかし共同通信の最新の世論調査では、法案についても再議決についても反対の声が賛成を上回っている。国民の支持があるとは思えない。

 テロをなくし、アフガンに平和を築くために日本は何ができるのか。国際社会の一員としての責任と憲法の平和主義を両立させるためには、どういう道があるのか。

 そうした議論を、もっと深める必要がある。力ずくの国会運営はすべきではない。

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