「XM」の二文字を見て何を想像するだろう。今の季節なら「Xマス=クリスマス」と読む若者もいるだろう。実はこれ、金沢城石垣に残る刻印の一つなのである 二の丸の極楽橋下付近の石垣にある。もちろんアルファベットが明確に刻まれているのではなく、そう思って見ればそう見える。いや、そうとしか見えないくらい珍しい刻印である 高岡城や富山城石垣にも多くの刻印がある。何人もの研究者がその意味に挑んでいるがナゾは深い。文字は少なく○や△や×のほか☆や卍形など約二百種あるが、普通は石一つに一刻印で「XM」と並ぶ例は珍しい。そこに空想がふくらむのである 以上は、イブの日の余談。ここからまじめに北陸の宗教史の話をしたい。一六〇八(慶長十三)年、高山右近が金沢で開いたのが日本最古のクリスマスとの説についてである。その意味するところは重要だ 東洋と西洋文化が庶民の宗教レベルで交わった最初の城下町ということになるからで世界史的にも意義がある。イブの「四百年祭」をしたいほどの城下町である。地方から世界を見る、世界遺産とはそういうことではなかろうか。
|